パリ現地リポート|Jaguar
Jaguar F-Type|ジャガー Fタイプ
ブランドイメージを変革させる一台
間違いなく今回のパリモーターショーで最注目株のひとつだったのが、「ジャガーFタイプ」だ。ブランドにとっては、51年前にセンセーショナルに市場に投入されたEタイプ以来、ひさびさの「スポーツカー市場への再参入」をうたう意欲作である。
Text by SHIMASHITA YasuhisaEvent Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
発売は2013年春を予定
プレスデーに先立ち、その前夜にロダン美術館にてお披露目がおこなわれたFタイプ。大いに人目を惹き付けるスタイリングは、昨年9月のフランクフルトモーターショーにて発表されて、その美しさが絶賛されたコンセプトカー「C-X16」のイメージを、ほぼそのまま受け継いでいる。
しかしながらC-X16がクローズドルーフだったのにたいして、Fタイプは意外にもオープンボディでの登場となった。オープン化によってリヤフェンダーのボリュームとトランクリッドの薄さが強調され、印象はよりグラマラスになった。とりあえずいまの段階では、クーペが追加されるというアナウンスは一切されていない状況だ。
全長4,470mmの2シーターオープンボディは、ジャガーのお家芸であるオールアルミ製。あたらしい合金材の採用により、さらに滑らかなボディラインを描けるようになり、また軽量化も推進されている。エンジンはV型8気筒5リッターとV型6気筒3リッターのいずれも直噴スーパーチャージドで、クイックシフト8段ATを介して後輪を駆動する。
Fタイプの正式な発売は2013年春を予定している。それまで半年をかけて、ジャガーはさまざまなかたちのプロモーションを仕掛ける心づもりだという。グローバルブランドダイレクターのA.ホールマーク氏は「Fタイプは私たちのブランドにとって非常に重要なモデルです。もちろん、このクルマが売れることも大事ですが、ブランドのイメージを変革するのに、この上無い貢献をしてくれるでしょう」と語った。
クルマ自体の出来映えはもちろん、ブランドの進化を含めて、今後がますます楽しみなジャガー。Fタイプという強力な武器を得て、このブランドはあらたな局面を迎えることになりそうだ。