TOYOTA|トヨタ|LONG TERM TEST 第1回 最新ハイブリッドカーの真価をさぐる
TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第1回
最新ハイブリッドカーの真価をさぐる
前代未聞の18万台という受注を記録しているトヨタ・プリウス。1号車たるNISSAN GT-R Spec Vとは対極の意味で、注目を集めているモデルだ。昨今、メルセデスをはじめ欧州のカーメーカーもこぞって開発に取り組んでいるハイブリッドカーの先駆者たる同車を、オウプナーズでは長期リポート車の2号車として導入した。
文=オウプナーズ写真=杉田 真
日本車史上かつてない18万台のバックオーダー
6月19日、トヨタ自動車から一通のニュースリリースが届いた。5月18日に発売されたプリウスの受注台数が、1カ月後にあたる6月17日時点で約18万台に達したというのだ。同車の月販目標台数は1万台だから、発売直後とはいえ18倍という日本車史上かつてないバックオーダーを記録したわけである。
100年に一度といわれる大不況の嵐が吹き荒れ、自動車業界も大打撃を受けている昨今の状況を鑑みるに、これはもう社会現象といえるのではないか。もちろん、プリウスというクルマ自体のポテンシャルや魅力のほかに、「エコ減税」や「新車購入補助制度」といった政府の政策も後押ししての結果であるとも否定できない。が、トヨタにはほかにもハイブリッドカーがラインナップされ、ホンダ・インサイトをはじめとするライバルが存在するなかでのこの記録は、当のトヨタですら想定外だったのではないだろうか。
いずれにせよ、プリウスは現在わが国で販売されているクルマのなかで、もっとも多くのひとの興味を集めているモデルであると言っても過言ではない。オウプナーズではそんな注目の同車を、長期リポート2号車として、今回導入した。
エコロジー問題へのとり組みが現在の自動車社会において急務ななかで、インフラ等の諸条件を考慮にいれれば、ハイブリッドカーは有効なソリューションのひとつであることは間違いないだろう。そしてトヨタ・プリウスは、現状においてもっとも先進的なハイブリッドシステムを搭載しているモデルであり、そのポテンシャルを日々の生活に用いることで今後明らかにしていきたい。
一番人気は最廉価グレードの「L」
プリウスとひとくちに言っても、そのグレード展開は多様だ。具体的には「L」、「S」「G」という3つのグレードをベースに、17インチタイヤと専用のチューンドサスペンションが与えられた「ツーリングセレクション」、レザーシートを装備する「レザーパッケージ」という仕様が設定され、計6つのグレードがラインナップされている。
ちなみに価格は、最廉価グレード「L」の205万円から最上級グレード「Gツーリングセレクション レザーパッケージ」の327万円まで、ナント122万円の価格差がある。これは、200万円を切る価格でデビューした強敵、ホンダ・インサイトを視野にいれつつ、2代目で開拓した、ハイブリッドカーにより高いクオリティを求める層にも対応させた結果であろう。
今回お世話になった東京トヨタ江戸川店の小嶋一彦氏によると、もっとも人気が高いグレードが、時勢を反映してかもっともリーズナブルな「L」。次点が「Sツーリングセレクション」とのこと。で、オウプナーズでは「Gツーリングセレクション」をセレクトすることにした。燃費性能のみならず“走り”にも焦点をあてた「ツーリングセレクション」の真価を確かめたかったのだが、それが「S」と「G」のみの設定なのが一点。さらに「G」には4ドアすべてに有効なスマートエントリーシステムが装備されているのだが、2名以上での乗車が多い編集部の使用状況では便利なツールだと思われたからだ。
減税額は20万4571円
今回の導入にあたっては、いま話題の優遇税制と新車購入補助制度の恩恵を充分に受けることができた。というわけで、上記の制度をおさらいしておくことにする。
まず優遇税制についてだが、「平成17年度排出ガス基準75%低減レベル」認定を取得し、かつ「平成22年度燃費基準+25%」を達成した車両のうち、ハイブリッドカーを新車で購入する場合、自動車重量税と自動車取得税が100パーセント、自動車税が50パーセント、減税されるのだ。
一方、上記基準をクリアしたエンジン車の場合、自動車重量税と自動車取得税が75%、自動車税は50%の減税対象となる。また「平成17年度排出ガス基準75%低減レベル」認定を取得しつつ、「平成22年度燃費基準+20%」「同15%」を達成しているクルマについては、自動車重量税、自動車取得税ともに50%、自動車税が25%減税される。
今回編集部で購入したプリウス「Gツーリングセレクション」(HDDナビゲーションシステム、G-BOOK mX Pro専用DCM、ETCユニットをオプション装着)の場合、自動車取得税で14万7871円、自動車重量税で5万6700円、合計で20万4571円の減税措置を受けている。言うまでもなく、レクサスLS600hやクラウン・ハイブリッドといった高価格車では、減税額はさらに大きくなる。
ちなみに、上記税制の有効期間だが、自動車重量税は平成24年4月30日まで、自動車取得税は平成24年3月31まで、自動車税は平成22年3月31日までとなっている。
優遇税制と補助金制度でマイナス30万円
一方、新車購入補助制度については2パターンが用意されている。まず新車登録から13年以上経つクルマを廃車にし、新車(平成22年度燃費基準達成車)へ買い替える場合には25万円が支給される。また、廃車を伴わない場合でも、平成17年基準排出ガス75%低減+平成22年度燃費基準+15%以上の新車を購入する場合、10万円の補助金が用意される。今回、プリウスを導入するにあたっては、後者が適用されるわけだが、優遇税制と合わせれば、30万円以上の値引きを受けたことになる。これは多くの消費者にとって大きな購買動機になるだろう。実際、前述の小嶋氏によると、現在東京トヨタ江戸川店での販売のうち、プリウスの占める割合は65%にものぼるという。
補助制度の期限については来年3月末日までとなるが、期限前でも3700億円の予算を使い切り次第、終了する。つまり、現在プリウスをオーダーしても、納車は来年だろうから、補助制度を受けられるかはやや微妙かもしれない。
なにはともあれ、バックオーダー18万台という日本車史上かつてない人気を博しているトヨタ・プリウス。オウプナーズ長期リポートでは、その魅力を、燃費性能をふくめ、今後日々の生活のなかでことこまかにリポートしていきたい。
トヨタ・プリウス G ツーリング 初期コスト詳細
車両本体価格 | 270万円 |
メーカーオプション | |
ホワイトパールクリスタルシャイン | 3万1500円 |
G-BOOK MX PRO専用DCM | 5万4600円 |
ETC | 1万500円 |
HDDナビ | 30万8000円 |
付属品 | |
QMIグラスシーラント+ファインセット | 7万3000円 |
アルミホイール4本QMIグラスシーラント | 8400円 |
フロアマット | 3万3600円 |
ナビ用地デジ | 8万4000円 |
ナビ用VICSビーコンユニット | 2万4150円 |
ETC用ナビ連動キット | 4935円 |
自動車税 | 3万2900円 |
自動車取得税 | 0円 |
自動車重量税 | 0円 |
リサイクル法関連費用 | 1万3570円 |
合計 | 341万755円 |
TOYOTA PRIUS G Touring
ボディ | 全長4460×全幅1745×全高1490mm ホイールベース2700mm |
車両重量 | 1380kg |
エンジン | 1.8l直列4気筒+電気モーター |
最高出力 | エンジン:73kW[99ps]/5200rpm モーター:60kW[82ps] |
最大トルク | エンジン:142Nm[14.5kgm]/4000rpm モーター:207Nm[21.1kgm] |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | 電気式無段変速機 |
価格 | 270万円 |