TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回
CAR / LONG TERM REPORT
2015年4月15日

TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回

TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回

プリウスαと乗りくらべた(1)

長期リポート2号車としてトヨタ プリウスを導入しているOPENERS編集部にとって気になる1台がある。今年5月に発売がはじまり、1カ月で5万2000台と月販目標3000台にたいして約17倍という受注をうけ、納車まで1年近くを要するというワゴン版プリウス、プリウスαだ。はたしてその実力はどうなのか? 2号車と比較試乗した。

文=OPENERS写真=五十嵐 隆裕

2号車は快調

まずは、2号車の現状をお伝えすると、前回ダンパーの交換をおこなって以来、トラブルらしいトラブルがない。現状で2万7000kmあまりの走行を終えているが、相変わらず燃費はいい。エアコンを使いはじめたので、18km/ ℓ台まで落ちることはあるが、おおよそ19~20 km/ ℓ台をキープしている。

導入からすでに2年を経過したが、不満といえば大人数を乗せたときの室内空間の物足りなさくらいのものだ。たとえば、リアにチャイルドシートを取り付けて子どもを乗せ、さらに大人4人が乗るというようなシチュエーションだとかなり厳しい。荷室空間も445リットルなので、それほど広いとはいえないものだ。

TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回 02

サイドビューは比較的似た造形となっている。とくにリアクォーターウィンドウ下のラインを斜め上にキックアップさせたデザインを採用したことで、「プリウスらしく」なっている。

TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回 04

インパネについては、メーターに表示されていたエネルギーモニターがナビ画面に移ったため、従来のプリウスから乗り替えると戸惑うことになるかもしれない。

マークX ZiOの兄弟?

そんななか登場したのが、ワゴン版プリウスである、プリウスαだ。ワゴン版といってもプリウスのラゲージスペースをストレッチしたというものではない。じつは、プラットフォームはプリウスのそれではなく、マークX ZiOと共用する。そのため、ディメンションが大幅に違う。

プリウスが全長4,460×全幅1,745×全高1,490mm、ホイールベース2,600mmであるのにたいし、プリウスαは全長4,615×全幅1,775×全高1,575mm、ホイールベース2,780mmと、全長155mm、全幅30mm、全高85mm、ホイールベース180mm、それぞれ拡大されている。実際、二台を並べてみると、形も大きさもかなりちがうし、よく見ると顔つきまでちがう。

パワーユニットにかんしてはプリウスとおなじ、1.8リッターガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせた「THS II」というハイブリッドシステムで、エンジンは最高出力73kW(99ps)/5,200rpm、最大トルク142Nm(14.5kgm)/4,000rpm、モーターは最高出力60kW(82ps)、最大トルク207Nm(21.1kgm)、システム出力100kW(136ps)。燃費については、140kg以上車重が増加していることもあり、JC08モードでの走行燃費26.2km/ℓ、CO2排出量89g/kmと、プリウスにくらべて燃費で4.2km/ℓ悪化、CO2排出量が13g/km増えている。

TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回

プリウスαと乗りくらべた(2)

走りはおとなしい

さっそく、試乗してみて感じたのは、あきらかに重くなった車重だ。それをプラスにとれば重厚感があるともいえ、実際にステアリングのフィールやタウンスピードでの乗り心地がしっとりとした印象を受けた。ただし、さすがに箱根の山坂道を駆けると、パワー不足の感は否めない。また、リアの剛性が不足しているからか、荒れた路面ではリアまわりがややバタつき、コーナーでの接地感については心もとないこともあった。

ただ、このクルマのキャラクターからして、そもそもコーナーをかっ飛ばすようなことなどないだろう。それよりも、いかに快適に大人数でドライブできるかが重要だろう。そういう面ではまず、圧倒的に広いということ。これは、かなりのアドバンテージとなっている。

試乗車は7人乗りモデルだったので、サードシートの存在によってラゲージルームこそ狭くなるが、頭上空間の余裕はこれまでのプリウスにはないものだ。乗り心地についてはプリウスにみられるコツコツと突き上げるような印象が薄らいだが、聞けばショックアブソーバーをよりグレードの高いものに改良したのだという。また、細かなところではナビなどを表示するディスプレイの液晶が高解像度になって非常に見やすくなったことも特筆すべき点か。

TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回 07

撮影に持ちだしたのは7人乗りモデルだったので、サードシートがあるが、大人が乗るにはちょっと厳しい。セカンドシートのヘッドクリアランスは格段に大きくなった。

TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス 第5回 08

以前から見やすかったディスプレイだが、さらに視認性が向上した。

燃費は1割程度のちがい

乗りくらべをとおしてわかったのは、プリウスとプリウスαは見た目やハイブリッド車であるという点を除けばべつのクルマであるという当たり前の事実だった。プリウスは、軽快感のある走りが魅力であるが、プリウスαはあくまでもミニバン的使い方をして、なおかつ燃費のいいハイブリッド車を求めるひとのためにつくられた1台だということだろうか。

今回は、市街地30%、高速道路70%程度の割合で、それなりのスピードで運転し、約404kmを走行した。プリウスαが示した数値は約16.9km/ℓというもの。これは、2号車に比べると1割程度の悪化であるので、けっして悪い数値とは言えないだろう。

結論としては、どちらを選ぶかはその用途によるということだろうか。ただし、プリウスαが欲しければ来春まで待たなくてはならないが。

TOYOTA Priusα│トヨタ プリウス アルファ
ボディサイズ│全長4,615×全幅1,775×全高1,575mm
ホイールベース|2,780mm
車輌重量(5人乗り)|1,470kg
車輌重量(7人乗り)|1,480kg
エンジン│1.8リッター直列4気筒
最高出力(エンジン)│73kW(99ps)/5,200rpm
最高出力(モーター)|60kW(82ps)
最大トルク(エンジン)│142Nm(14.5kgm)/4,000rpm
最大トルク(モーター)|207Nm(21.1kgm)
JC08モード燃費|26.2km/ℓ
JC08モードCO2排出量|89g/km
駆動方式│FF
価格│235万円~330万5000円

           
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