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2021年8月2日
例え50km/hでも十分楽しい──フェラーリポルトフィーノMに試乗|Ferrari
毎日使えるフェラーリ
もちろん、F1で知られたフェラーリのプロダクトだけあって、凝るべきところは、凝っている。その一つが、ステアリングホイールから手を離さなくても、9割がたの操作ができること。シフトはもちろん、ウィンカーもワイパーも親指で、といった具合なのだ。
もう一つ、このクルマの味わいどころは、「マネッティーノ」と名づけられたドライブモードセレクターにある。通常の「コンフォート」と「スポーツ」に加え、濡れた路面での走行安全性を確保する「ウェット」と、その反対ともいえる「レース」(これは今回新設)と、さらにサーキットで使うときなどのための「ESCオフ」というモードがマニュアルで選べる。
普段は「コンフォート」と、ギアの自動変速モードで走っていれば安逸。走りを楽しみたいときは、「スポーツ」に加え、手動でギアを選ぶマニュアルモードに設定すれば、さすがフェラーリ、と言いたくなる、体と一体化したようなダイレクトな操縦感覚が体験できる。
レースとESC(電子制御のスタビリティコントロールシステム)オフのモードは市街地では使わないで、と試乗のとき、フェラーリジャパンから釘をさされた。駆動力をフルに使って、リアが流れるようなドライブができる。ただしサーキットで、ということなのだ。
フルオープンで走っても、風の巻き込みは少ない。むしろサイドウィンドウを下げて走った方がよい。空力をしっかり考えて設計されているのに感心。ウィンドシールドは、快適性を重視した結果だろう、12気筒の「812GTS」などより高く、乗員をしっかり守っている感覚だ。
カーナビゲーションやオーディオといったインフォテイメントシステムも使いやすくなっていて、「エブリデイ・フェラーリ(毎日使えるフェラーリ)」と日本法人が定義するのも、よく分かる気がした。
同じドライブトレインを搭載した、もう1台のGTとして、20年4月1日に発表されたクーペ「ローマ」がある。スタイリッシュさで人気の高いモデルだ。フェラーリの8気筒のGTは、かなりキャラクターの違うこの2台で構成されていて、自分が買う立場だったら迷う。価格は2737万円だ。
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