BMWの最新ロードスター Z4に試乗|BMW
CAR / IMPRESSION
2019年6月6日

BMWの最新ロードスター Z4に試乗|BMW

BMW Z4|ビー・エム・ダブリュー Z4

BMWの最新ロードスター Z4に試乗

2018年のペブルビーチ コンクール デレガンスでデビューし、この3月に日本でも発売された新型BMW「Z4」。初代Zシリーズたる「Z1」から数えると6代目となる同モデルに試乗した。

Text & Photographs by HARA Akira

Zシリーズの系譜を振り返る

60年以上の歴史を持つBMWのロードスターモデル。その現代的量産モデルとして1989年に登場したのが、Zシリーズの初代モデルである「Z1」だ。縦にスライドする独創的なサイドドアが特徴で、1991年までの2年間で8,000台が生産された。

BMW Z1

BMW Z8

2代目となる「Z3」は1995年に登場。コンパクトなボディに軽量なソフトトップが組み合わされたこのモデルは世界中で大人気となり、7年間で29万7,000台が販売された。

向かって左から、BMW Z1、Z3、Z8、初代Z4

3代目は2000年にお目見えした高級オープンモデルの「Z8」で、ジェームス・ボンドの愛車として007シリーズの映画に“出演”。

2002年にはリトラクタブル ハードトップを装備した先代の「Z4」がデビューし、2008年までの間に11万5,000台が製造されている。

2009年には、2世代目となるZ4が発表され、2016年まで販売された。

2019年3月にデビューしたZシリーズ6代目となる新型Z4のテーマは、「美しさとダイナミックの共存」。ロングノーズ ショートデッキの美しいボディに、パワフルな6気筒と4気筒エンジンを搭載し、軽量ソフトトップを採用した2シーター ロードスターとして設計されている。その出来栄えを確かめるため、馴染みのワインディングロードで開催された試乗会に参加した。

BMW Z4|ビー・エム・ダブリュー Z4

BMWの最新ロードスター Z4に試乗(2)

3リッター直6を搭載したM40iに試乗

新型のボディサイズは全長4,335×全幅1,865×全高1,305mm。車重は1,570kg。先代モデルに比べて85mm長く、75mm広く、15mm高くなったボディに対し、25mm短いホイールベース(2,470mm)、前100mm、後75mm広いトレッドという構成とし、メタルから軽量なソフトルーフトップに変更することで、高い俊敏性や操作性を追求した。

エクステリアデザインは、長いボンネットフードの後端に2座のシートを配した古典的なスポーツカースタイルをキープ。フロントのボディサイドに沿うように配されたヘッドライトのお陰で、伝統のキドニーグリルはよりワイドなスタイルとなり、その内部はメッシュスタイルの新たなデザインが採用されている。フロントホイール後端のエアブリーザーから始まるプレスラインは上向きに流れ、ロードスターらしいダイナミックなサイドビューだ。

試乗したのは、現状ではトップモデルとなる直6搭載の「Z4 M40i」。心臓部のB58B30C型3リッター直列6気筒ツインパワー ターボエンジンは、最高出力340ps(250kW)/5,000rpm、最大トルク500Nm/1,600-4,500rpmを発生。8段ATが組み合わされ、0-100km/h加速を4.6秒でこなすと公表されている。その走行性能を示す値として、スポーツモデルのBMW「M2 コンペティション」が7分52秒でラップした独ニュルブルクリンク サーキットを、新型Z4は7分55秒でクリアしたという。

BMW Z4|ビー・エム・ダブリュー Z4

BMWの最新ロードスター Z4に試乗(3)

オープン状態でも走りの質が低下しないのはBMW製ロードスターならでは

朝イチで始まった試乗は、開始地点が気温の低い標高1,000メートルを超える駐車場からだったので、まずはトップを閉めた状態でスタートした。下り坂でエンジン回転数がそれほど高い領域まで到達しないことを割り引いても、車内の静粛性がかなり高いことにすぐに気がつく。

不快なロードノイズや風切り音がキチンと遮断されたキャビンは快適で、それならばとマニュアルモードで低いギアを選択してエンジンを高回転まで回せば、目の詰まった6気筒エンジンの回転音だけが透過音として聞こえてくる。

下の駐車場に着く直前に、シフトレバー下のボタンでルーフをオープンに。新型では50km/h以下であればたった10秒で開閉が可能で、先代が20秒かかったことを考えれば、まさにあっという間と言ってよい。

オープン状態でも走りの質が低下しないのは、さすがBMWのロードスター。3速あたりで通過する上りの中速コーナーでは、このモデルが標準で搭載するバリアブル スポーツステアリング、アダプティブMスポーツサスペンション、Mスポーツ ディファレンシャルの3点セットがミックスされ、一度のステアリング操作で狙ったコーナーの頂点を見事に通過してくれる。リアから旋回しつつボディを前へ前へと押し出してくれる様子が、深いサイドサポートのスポーツシートでガッチリとホールドされた身体に直に伝わってくるのが嬉しい。

こうした特性は、スポーツモードを選択した際に顕著となり、合わせてルーフクローズ時にはあまり意識しなかったアクセルオフ時の「パパーン」という音がエキゾーストから直接耳に届いてくるので、思わず頬が緩んでしまう。

アクセルペダルを踏み込めば、7,000rpmまで刻まれたタコメーターの上限まで一気に吹けきる一方、1,600rpmから最大トルクを発生するので、街中の低速走行時にも全くストレスなし。アクセル開度に車速が正確に比例する、フラットなエンジン特性だ。ただし、回転域が高まれば高まるほどパワーが伸びるという面では、昔の自然吸気エンジンの方が爽快感が高かったような気がするのは、私だけだろうか。

BMW Z4|ビー・エム・ダブリュー Z4

BMWの最新ロードスター Z4に試乗(4)

トランク容量はルーフの状態に関わらず281リッターを確保

インテリアに目を向けると、新型「8シリーズ」や「3シリーズ」と同様、スピードメーターとタコメーターが反対方向に回転し、その間にナビ情報を表示する新しいデジタルメーターパネルや、センターコンソールのインフォメーション ディスプレーが採用されている。

ルーフの状態に関わらず281リッターという実用的な容量を確保したトランクや、シート背後のラゲッジネットなど、実用面にも十分な配慮がされている。

さらに、自由に起点となる名前が選択でき、自然な会話に近い言葉で各種操作が行えるAI技術を活用した音声会話機能「BMWインテリジェント パーソナル アシスタント」や、ロングドライブでの疲労を軽減する高音質の「harman/kardon サラウンド サウンド システム」をオプションで用意するなど、今時のクルマならではの機能も用意されている。

モデルレンジは、今回試乗がかなわなかった197ps(145kW)、320Nmの2.0リッター直列4気筒エンジン搭載車が3種、3.0リッター直6搭載車1種の計4種。価格は標準モデルである「Z4 sDrive20i」の566万円から今回試乗した「Z4 M40i」の835万円までとなる。

問い合わせ先

BMW カスタマー・インタラクション・センター

0120-269-437(平日9:00-19:00、土日祝9:00-18:00)

           
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