新型トヨタRAV4に試乗|Toyota
TOYOTA RAV4|トヨタRAV4
新型トヨタRAV4に試乗
得意科目はオフロード
1994年にデビューしたトヨタ「RAV4」は、今や国内外のほとんどのメーカーが手がけている乗用車ライクなクロスオーバーSUVの草分けとして大ヒットを記録した。一時は海外専用モデルとして日本市場から姿を消していた同車だが、最新型となる5代目は日本にも導入され、この4月10に販売が開始された。世界的なSUVブームのなか、新生RAV4はいかなるモデルに仕上げられているのか。さっそく試乗してみた。
Text & Photographs by HARA Akira
5代目が目指したのは、オフロード感を高めたSUVらしいモデル
トヨタのミドルクラスSUV「RAV4」が5代目にフルモデルチェンジして、4月10日から日本で販売が開始された。
初代がデビューしたのは今から25年前の1994年で、「Recreational Active Vehicle 4 Wheel Drive」の頭文字を車名とし、アウトドアにも都会にも似合う、見て乗って楽しいコンパクトなスペシャリティ クロスオーバーSUVとして新しいジャンルを開拓した。
2000年の2代目、2005年の3代目と続いたRAV4は、世界170カ国以上に輸出されるトヨタ グローバル モデルの主力車種に成長し、2013年の4代目では象徴であった背負式スペアタイヤを廃したよりカーライクなSUVになるとともに、海外専用モデルとして生産が続けられた。
世界的なSUVブームで内外の各メーカーから多彩なモデルが発表される中に登場した5代目RAV4は、現在のSUVのトレンドである乗用車テイストやオンロード感を求めたものではなく、アドベンチャーやオフロード感を高めたSUVらしいモデルを目指したのだという。
車名も「Robust(逞しさ、頼もしさ) Accurate(洗練さ、緻密さ) Vehicle with 4Wheel Drive」の頭文字に変わっている。 SUVらしい力強いデザインと、どこでも安心して走れる走行性、使用性へのきめ細かな配慮を兼ね備えた4WDとして、再び日本に復活した新型RAV4の出来栄えを確かめるため、富士の裾野で開催された試乗会に参加した。
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新型トヨタRAV4に試乗
得意科目はオフロード (2)
2種類のパワートレーンと3種類の4WDシステム
トヨタのSUVといえば、「ハリアー」や「C-HR」など都会派クロスオーバーSUVがまず頭に浮かぶ。新型RAV4のボディは全長4,600×全幅1,855×全高1,685mmで、ハリアーよりわずかに小さく、C-HRよりも大きいという絶妙なサイズとなっている。
一方ホイールベースは2,690mmと長く、2,660mmのハリアーがやや腰高に見えるのに対して、RAV4は大径タイヤを四隅に配した安定感のあるスタイルと広い室内空間を実現している。
エクステリアで特徴的な顔つきは、トヨタの国内モデルに多く採用されるキーンルックではなく、メインターゲットである北米市場で人気が高いピックアップトラックの「タコマ」や「タンドラ」と共通するOctagon(8角形)の大型グリルとつり目のフロントライトの組み合わせとなっている。
標準モデルよりさらに力強い押し出し感のある専用フロントグリルやバンパー、フォグランプベゼルを採用し、オフロードイメージを象徴する「Adventure(アドベンチャー)」グレードも設定されている。
パワーユニットは、最高出力131kW(178ps)/5,700rpm、最大トルク221Nm/3,600-5,200rpmの2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン+モーターでシステム最高出力163kW(222ps)を発生するE-Fourハイブリッドと、最高出力126kW(171ps)/6,600rpm、最大トルク207Nm/4,800rpmを発生する2.0リッター直列4気筒エンジンの2種。
トランスミッションは、前者が電気式無段変速+6段シーケンシャルシフトマチック、後者が発進用ギア付きCVT+10段シーケンシャルシフトマチックを採用している。
4WDシステムは、ガソリンモデルでは、左右の後輪それぞれにカップリングを持ち、トルク配分比が最大で前後50:50、左右が0:100-100:0となる世界初の4WDシステム「ダイナミック トルク ベクタリングAWD」と、リアデフの前に1つのカップリングを持ち、前後・左右とも50:50のトルク配分となる「ダイナミック トルク コントロール4WD」の2種。
ハイブリッドでは後輪をモーターで駆動し、最大で前後20:80、左右50:50で配分する電気式の「E-Four」4WDシステムを採用。合計で3種類もの4WDシステムを展開する。
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新型トヨタRAV4に試乗
得意科目はオフロード (3)
オフロードで3種の4WDを試す
まずはダートコースの周回路で3種類の4WDシステムを走り比べてみる。1周300メートルほどの旋回コースに40km/hほどで侵入してアクセルを踏み込み、クルマの挙動を見るというもだ。
最初は「ダイナミック トルク ベクタリングAWD」を搭載したブルーの「Adventure」でトライ。ステアリングを切ると同時にノーズがインを向き、そのままコーナー出口に向かって加速しながら旋回してくれる。後輪の左右トルクをうまく配分している様子が、メーター内のマルチインフォメーション ディスプレイに表示されているのが分かる。
次は「ダイナミック トルク コントロール4WD」を採用した白の「X」グレード。こちらは通常の4WDらしく次第にアンダーステアが出てくるが、自然にアクセルコントロールしながら旋回できるので、これはこれでありだ。
最後は「E-Four」を搭載するシルバーの「ハイブリッドG」。車重がガソリンモデルより60kg重いため、先の2台に比べて上下左右の車体の動きが大きくなり、挙動が異なる感覚だ。
コーナリング中は後輪にトルクが大きくかかるFR的な動きとなり、そのままアクセルオンだと内側に切れ込むオーバーステアの傾向が見られた。ただしその動きに慣れてしまえば、ドリフト走行が思うままにできてしまいそうなイメージが湧いてきて、楽しさという点ではこちらが一番だ。
次は凹凸の大きなモーグルと急な坂道を上り下りするコースをガソリンモデルの2種類の4WDで体験。モーグル部分では一輪が完全に宙に浮いてしまうが、「ダイナミック トルク ベクタリングAWD」では残りのタイヤにトルクがすぐに配分され、容易に走破が可能だった。
「ダイナミック トルク コントロール4WD」でも走破はできるが、駆動力の配分時間にタイムラグがあり、タイヤの空転時間が長くなることがわかる。浮いたタイヤにブレーキがかかる様子はディスプレイにオレンジ色で表示され、駆動輪はその配分量とともにブルーで表示される。
また前者には「ダウンヒル アシスト コントロール」が標準装備され、急勾配の下りで使用すればハンドル操作に集中するだけで安定して下ることができた。
オフロード走行では、どのモデルもシフトレバー横のマルチ テレイン セレクトなどでモードを選択するのだが、Adventureではダイヤル式、Xではボタンプッシュ式、ハイブリッドGではダイヤル上部のTRAILモードスイッチで行うというそれぞれ違う操作方法になっている。
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新型トヨタRAV4に試乗
得意科目はオフロード(4)
オンロードでガソリンとハイブリッドを試す
富士山周辺のオンロードで試したのは、ガソリンモデルのAdventureと、ハイブリッドの2モデル。フロントフェイスが他モデルと異なるAdventureは新型のイメージリーダー的な存在で、このモデル専用のアーバン カーキとルーフのアッシュ グレー メタリックとのツートーンカラーがとても似合っている。
低いインストルメントパネルや、室内から見えないワイパー、ドアに取り付けたドアミラーなどにより前方視界はすっきりと広く、荷物を積み込むことの多いこの手のモデルへの回答としてデジタルインナーミラーが装備されているのも嬉しいポイントだ。オレンジを差し色にしたオーキッドブラウンの内装カラーも良い。
走りは、発進用ギアを備えたダイレクトCVTにより軽快で、CVTの特性として全開時に現れる、いわゆる“ラバーフィール”さえ気にしなければ文句なしだ。
4WDが不要な巡行時には、後輪に動力が伝わる駆動系を切り離す「ディスコネクト機構」が採用されているので、燃費面(WLTCモード15.2km/ℓ)も優れている。
一方、ホワイト メタリックボディのハイブリッドモデルは、コーナリングなどでガソリンより重いボディであるという感覚が伝わるが、2.5リッターのハイブリッドシステムはとてもパワフルで、後輪駆動車のようにグッと車体を前に押し出していくような感じの走りはなかなかのものだ。
試乗後にRAV4の製品企画を担当した松本章主査に話を聞くと、「先に販売が開始された北米や欧州では、性能の高さが評価され、8-9割がハイブリッドモデルとなっています。一方日本では、ガソリンより0.5リッター大きなエンジンとモーターを搭載した分価格差が50-60万円となるため、ハイブリッドは3割程度になるのでは」と分析する。
ガソリン4WDモデルは283万5,000円からで、Adventureは317万7,400円、ハイブリッド4WDモデルは345万600円のXと381万7800円のG(いぜれも税込)というモデルレンジとなる。
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