いま注目の最新コンパクトハッチバック3選 Part 2|ルノー メガーヌR.S.
Renault Megane R.S.|ルノー メガーヌ R.S.
退屈へのレジスタンス
毎年2月に日本輸入車組合(JAIA)がプレス向けに開催する試乗会からの一気乗りリポート。コンパクトハッチバック編の第2弾として、ルノーが量産FF車最速を目指して開発した最新のスポーツモデル「メガーヌ ルノースポール」のショートインプレッションをお届けする。
Text & Photographs by HARA Akira
モータースポーツで培ったノウハウが注ぎ込まれたスポーツモデル
FF車最速を目指し、F1などモータースポーツで培ってきたノウハウを注ぎ込んで開発されたのがルノーの最新ハッチバックモデル「メガーヌ ルノースポール(以下R.S.)」だ。
表題の「退屈へのレジスタンス」とは、2018年8月に新型メガーヌR.S.がデビューした際のサブタイトルだ。つまり、ありふれたクルマではなく、ベーシックモデルを単にチューンアップしただけのスポーツモデルとも一線を画す、本物のスポーツモデルであることを物語っている。
その証拠に、ルノースポールの歴代メガーヌは、あの独ニュルブルクリンク ノルドシュライフェ(北コース)での量産FF車最速というタイトルを奪取するため、フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」やホンダ「シビックtype R」らと競ってきており、今回の新型もそのDNAを引き継ぐことになる。
現在の記録は2017年9月、旧型メガーヌが持つニュルでの記録を約7秒縮める7分43秒8を叩き出した新型シビックのものになっているが、新型エンジンや4輪操舵システムで“武装”した新型が果たしてどういったタイムを出してくれるのか、興味の尽きないところだ。
試乗したオランジュ トニックメタリックカラーの新型メガーヌR.S.は、全長4,410×全幅1,875×全高1,435mm。スタンダードのGTに比べてフロントが65mm、リアが45mmも広いフェンダーを持っており、その低くワイドなプロポーションや、フロントグリルセンター、ホイール、リアハッチの各所に取り付けられたR.S.バッジが、ただ者でないことを明確に主張している。
Page02. 「ゴーンショック」を吹き飛ばすほどの走り
Renault Megane R.S.|ルノー メガーヌ R.S.
退屈へのレジスタンス(2)
「ゴーンショック」を吹き飛ばすほどの走り
フロントに横置きされるエンジンは、最高出力279ps(205kW)/6,000rpm、最大トルク390Nm/2,400rpmを発生する1.8リッター直列4気筒直噴ターボ。ドイツのトランスミッションメーカーであるゲトラグ社と共同開発した電子制御6段ATを介して前輪を駆動し、0-100km/h加速は5.8秒を誇る。
走行モードの変更は、ダッシュボードのR.S.ドライブボタンを押すことで、「コンフォート」「ニュートラル」「スポーツ」「レース」「パーソナル」の5つから選択できる。
そしてこのクルマの“キモ”は、低速時(60km/hまで)には後輪が前輪と逆方向、高速時には同一方向にステアする4コントールシステムを搭載した点だ。駐車時やUターン時に取り回しが容易になるだけでなく、コーナリング時の安定性が飛躍的に高まるという。
実際に乗ってみると、操舵感に違和感が全くなく、アンダーステアが出そうなカーブでも鼻先が自然にコーナーのエイペックスに向いてくれる感覚が気持ちいい。さらに前出のデュアルクラッチ式ATのシフトパターン設定が適切かつ変速が一瞬で完了するので、下手にドライバーがパドルシフトを操るよりも速いタイムが出せそうだ。
マニュアルモードでブレーキペダルを踏みながらの減速中、ステアリング左側のダウンパドルを引き続けると、車速に応じて最適なギアまで自動でシフトダウンしてくれ、コーナー出口では最も適したギアで加速できるといった「マルチシフトダウン」機能も、スポーツハッチらしい装備だ。
足回りにはラリーで培った技術である4輪HCCダンパーを採用。ショックをギリギリのポイントで逃がしてくれるため、街中での通常走行でもショックの伝わり方が許容範囲に収まっていて、5人乗りのハッチバック車としてファミリーユースができる点も優れている。
メガーヌR.S.の走りは、「ゴーンショック」を吹き飛ばすほどと言っても過言でない。さらに価格面での戦闘能力も高く、ライバルのシビックtypeRより10万円ほど抑えられた440万円となっている。
ルノーコール
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