新型ポルシェ911試乗リポート 九島辰也編|Porsche
CAR / IMPRESSION
2019年4月10日

新型ポルシェ911試乗リポート 九島辰也編|Porsche

Carrera S Coupe|ポルシェ 911 カレラ S クーペ

最新型911のテーマは“安定“

2018年11月のロサンゼルスオートショー前夜に発表された新型911。モータージャーナリスト大谷達也氏による試乗リポートにつづき、第2弾では先々代997型オーナーでもあるモータージャーナリスト、九島辰也氏によるインプレッションをお送りする。

Text by KUSHIMA Tatsuya

3.0リッター水平対向6気筒ターボの最高出力は450psに

クルマ好きでない人にも高い知名度を誇るポルシェ「911」。歴代モデル全てにファンがいて、ユーザーはそれらを日々愛でている。1963年の初代モデル発表からすでに7世代。でもって、今回その次となる8世代目が登場したのだから静観してはいられない。

発表は2018年11月のLAオートショー前夜、ロサンゼルスのポルシェ パフォーマンスセンターで大々的に行われた。そして、今年1月ついにそのステアリングを握る機会を得た。スペインのバレンシアで行われたメディア向け国際試乗会である。

Porsche ポルシェ911

Porsche ポルシェ911

試乗車として用意されていたのは「カレラS」と「カレラ4S」。従来、2輪駆動モデルにはノーマルボディ、4輪駆動モデルにはワイドボディが採用されていたが、最新型では駆動方式を問わずワイドボディの1タイプとなったのがトピックだ。エンジンは3.0リッター水平対向6気筒ターボで、最高出力は450psを発生。これは先代となる991型の「GTS」と同じ数値だ。

Porsche ポルシェ911

Porsche ポルシェ911

ユニークなのは、今回のフルモデルチェンジでプラットフォームやサスペンションを見直し、フロントのトレッド幅も大きく変えているが、パワートレーンは少変更にとどまったこと。エンジンは補器類の最適化がメインで、ギアボックスもギア比を見直し8段としているが、基本的なPDKのロジックは同じだ。

その理由は911の歴史をなぞれば分かる。トランスミッションがATをベースとしたティプトロニックSからツインクラッチ式のPDKに変わったのは997型のマイナーチェンジでだし、自然吸気からターボエンジンにスイッチしたのも991型のマイナーチェンジ時だったからだ。その意味では新型992のマイナーチェンジの
際に、何か大きなサプライズがあるのかもしれない。

Page02. 911史上初となる前後異径サイズのタイヤを採用

Carrera S Coupe|ポルシェ 911 カレラ S クーペ

最新型911のテーマは“安定“(2)

911史上初となる前後異径サイズのタイヤを採用

それはともかくカレラSの走りの印象をお届けしよう。

走り出してまず気づくのはボディ剛性の高さだ。先代991型でも十分だと思っていたが、今回さらにカッチリとして堅牢さがボディ全体から伝わってくる。ステアリング操作に対するボディの一体感はレーシンカーレベルだろう。

Porsche ポルシェ911

Porsche ポルシェ911

もちろん、それでも乗り心地の良さは確保されていて、路面のいいところではフラットライドを見せる。段差もダンダン!という衝撃はあるものの一発でおさめるのだから問題ない。

従来モデルから大きく進化したと思えるのは、高速走行時の安定性だろう。フロントのトレッドが広がったことで、安定感をより強く感じられるようになった。ここは991型と乗り比べるとより明らかになるだろうが、この安定感ならば、もしかしたらロングドライブでの疲労度 も軽減されるかもしれない。

Porsche ポルシェ911

Porsche ポルシェ911

それでいてワインディングロードでは、フロントがステアリング操作に応じてスイスイと気持ちよくイン側へ入っていく。この運動性能の高さはさすがだ。

そういえば、今回フロントタイヤが20インチ、リアが21インチとなったこともお伝えしておこう。前後異なるサイズを標準とするのは911史上初だ。もしかしたら開発チームは、フロントがワイドトレッドになった分、操縦性を高めるために前後異径サイズのタイヤを採用したのもしれない。

Page03. ウェット性能が大幅に向上

Carrera S Coupe|ポルシェ 911 カレラ S クーペ

最新型911のテーマは“安定“(3)

ウェット性能が大幅に向上

ちなみに、今回サーキット試乗も体験できたのでその印象を語ると、ここでも“安定”の文字が頭をよぎった。ハイスピードコーナーをトレースする際の精度は相当高く、自然な感覚で制御される電子デバイスと相まって、ドライバーは不安なくアクセルを踏み込める。

Porsche ポルシェ911

Porsche ポルシェ911

ブレーキ性能の高さは言わずもがな。ストレートからコーナーへ進入する際のブレーキングでも挙動は非常に安定しており、ちょっと引きずる感じでの減速からガツンと効かせる場面まで、イメージ以上のパフォーマンスを発揮してくれる。ポルシェユーザー納得の仕上がりだ。

また、新型ではウェット性能の向上も大きな柱になっていることも付け加えておこう。今回911に初採用されたウェットモードが、低ミュー路での安定した走りを実現させる。アクセルを戻すのが遅れてもお尻が流れることはない。

Porsche ポルシェ911

Porsche ポルシェ911

そう考えると、992型のテーマは “安定(スタビリティもしくはステー ブル)”なのかもしれない。まぁ、より刺激的な走りを求めるユーザーに対しては、今後GT3をはじめとする“じゃじゃ馬”なモデルも登場するだろうが......。とにもかくにも、先々代となる997型オーナーである私にとっても、992型は気になるクルマに仕上げられていた。

問い合わせ先

ポルシェ カスタマーケアセンター

0120-846-911

           
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