ゴルフ、ポロ、up!のGTI3兄弟に試乗|Volkswagen
Volkswagen Golf GTI|フォルクスワーゲン ゴルフGTI
Volkswagen Polo GTI|フォルクスワーゲン ポロGTI
Volkswagen Up! GTI|フォルクスワーゲン アップ!GTI
GTI3兄弟にスペインで試乗
ホットハッチの元祖ともいえるフォルクスワーゲン「ゴルフGTI」がデビューして42年。今では、兄弟車種の「ポロ」「up!」にもGTIが設定されるにいたった。最新のGTI3兄弟に、モータージャーナリストの金子浩久氏がスペインで試乗した。
Text by KANEKO Hirohisa
新鮮だったGTIの“一挙両得コンセプト”
フォルクスワーゲンのゴルフに「GTI」モデルが加わってドイツで発売されたのが1976年6月だから、ちょうど42年が経ったことになる。
GTIはゴルフのスポーティ版のモデル名で、その後の世界中のクルマに大きな影響を及ぼした。
ゴルフのような実用的な2ボックス型のコンパクトカーに強力なエンジンを載せ、足回りを引き締めて、内外装をドレスアップして爽快に走るようなクルマはそれまで存在していなかった。走りを満足するにはスポーツカーとGTカーしか存在していなかった。
日頃は日常的な使い方をし、休日には峠道やサーキットなどでドライビングを楽しむ。そうしたGTIの“一挙両得コンセプト”が新鮮だったのだ。フォロワーもたくさん生み出した。
当のゴルフGTIはモデルチェンジを重ね、今では7代目を数えている。ボディはもうコンパクトとは呼べないほど大型になり、性能も大幅に向上した。
そこに追加されたのが、「ポロGTI」である。ゴルフの弟分であるポロにもGTIモデルが追加されたのが1998年8月。それから19年が経過し、3度のモデルチェンジを経過。4代目ポロGTIが発表されたのが2017年5月。
さらに2018年に入って、ポロの弟分である「up!」にも「up! GTI」が設定された。GTIは3兄弟を形成するにいたったのである。
そのGTI3兄弟に、スペインのマラガ近郊の公道とアスカリサーキットで乗ってきた。
Volkswagen Golf GTI|フォルクスワーゲン ゴルフGTI
Volkswagen Polo GTI|フォルクスワーゲン ポロGTI
Volkswagen Up! GTI|フォルクスワーゲン アップ!GTI
GTI3兄弟にスペインで試乗(2)
ゴルフGTIと変わらぬペースで走ってもネを上げないポロGTI
まずは、ポロGTI。先にフルモデルチェンジを果たしたポロの完成度がきわめて高かったので、そのGTI版にも大いに期待した。
GTIの特徴であるフロントグリルのGTIバッジと赤いストライプを確認し、乗り込むと真っ赤なダッシュボードとドアパネル、センターコンソールなどに意表を突かれた。
それも、今までに見たことのない、スマートフォンやノートPCのボディのような艶消し素材を使っているから、クールでモダンな雰囲気に仕上がっている。
ポロGTIのエンジンは、最高出力200psを発生する2.0リッター4気筒ターボ。ノーマルのポロのエンジンは、最高出力95psを発生する1.0リッター3気筒ターボだから、倍の排気量から倍近い最高出力を発生している。
だから、速いことこの上ない。ただ速いだけでなく、あまりエンジンを回さなくても十分に加速するので、走り方と気持ちに余裕が生じてきて、余計に“高級感”が増してくる。
ポロGTIはスペック的には2世代前のゴルフGTIに近く、一部は6代目に等しいところもある。スポーツモデルとしての静粛性や乗り心地などの快適性の高さなどまで含めると先代ゴルフに匹敵しているというのが、一般道とサーキットでの試乗を終えての感想だった。
特に、サーキットで印象的だったのは、XDSだ。XDSは電子制御タイプのディファレンシャルロックで、コーナリングの際にイン側タイヤのブレーキを瞬間的に掛けることによって、パワフルな前輪駆動車に特有の中高速コーナリングでのアンダーステアを解消するものだ。
フォルクスワーゲンでは、XDSは先代ゴルフGTIから装着(現行ゴルフでは「XDSプラス」)されていて、ポロGTIにも先代から装備されている。新型ポロGTIでも、その効き方はスムーズで、ニュートラルなコーナリングを実現していた。洗練度の高さは先代ゴルフGTIを超えているほどだった。
一般道では快適に走り、サーキットではゴルフGTIと変わらぬペースで走ってもネを上げることはなかった。
それに対して、ゴルフGTIは“余裕の走りっぷり”のひとことだ。パワーは230psもあり、ボディサイズも大きく、前述のポロGTIに装備されているXDSはXDSプラスに進化している。
さまざまなコーナーが連続するアスカリサーキットの高速コーナーでも、パワフルな前輪駆動車に特有の中高速域でのアンダーステアに悩まされることなく、安定した姿勢を維持しながら周回を重ねることができた。
Volkswagen Golf GTI|フォルクスワーゲン ゴルフGTI
Volkswagen Polo GTI|フォルクスワーゲン ポロGTI
Volkswagen Up! GTI|フォルクスワーゲン アップ!GTI
GTI3兄弟にスペインで試乗(3)
GTIの血統を感じるup! GTI
「up! GTI」は、ポロGTIやゴルフGTIにはサーキットでは置いてけぼりにされてしまうが、小さく軽いクルマのエンジンパワーをフルに引き出しながら走る楽しさに溢れていた。
ちょうど、up! GTIのエンジン最高出力は115psで、初代ゴルフGTIの110psを5psだけ上回っている。
歴代のゴルフGTIも少しだけ運転することができて、up! GTIとゴルフGTIとの間には42年の隔たりがある。進化が著しいことを差し引いたとしても、GTIの血統を感じることができた。
しっかりとした建て付けのボディに引き締まったサスペンション、正確なステアリングにパワフルなエンジンなどが時代やモデルの違いを超越して貫かれていた。
また、ゴルフGTIが2代目から現行モデルまで、“GTIらしさ”を失わずに少しずつ進化を繰り返していることも体感できた。特に、運転支援やコネクティビティなどにおいて顕著な進化が最近のモデルに認められる。
現代のクルマに課せられたもう一つの大きな課題である電動化については、プラグインハイブリッド版の「ゴルフGTE」がすでに存在している。今後、GTI各モデルが電動化をどのように取り入れていくのかが課題となるのだろう。そんなことを考えながら、マラガ近郊の山道を走っていた。ポロGTIとup! GTIの日本仕様は大いに期待できる。
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
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