ジャガー XJR575にポルトガルで試乗|Jaguar
CAR / IMPRESSION
2017年12月7日

ジャガー XJR575にポルトガルで試乗|Jaguar

JAGUAR XJR575|ジャガー XJR575

ジャガー XJR575にポルトガルで試乗

高級かつ高性能サルーンでは、英国だって負けていない

10月に2018年モデルが発表になったばかりのジャガーのフラッグシップサルーン「XJ」。なかでも新たに設定されたグレード「XJR575」は、XJ史上最もパワフルな仕様だ。そのホットな最新モデルに、小川フミオ氏がポルトガルで試乗した。

Text by OGAWA Fumio

パワフルさとハンドリングの良さ

ジャガーのトップライン、「XJ」シリーズの2018年イヤーモデルが発表された。相変わらずぜいたくなクルマだが、最大の注目は新たに追加された「XJR575」。最もスポーティなモデルだ。

ジャガーはポルトガルで(「XFスポーツブレーク」とタイミングを合わせて)XJR575に試乗する機会を与えてくれた。

従来のXJR(550馬力)に代わる最高のパフォーマンスモデルで、最大の特徴はそのモデル名が表すように、575psにパワーアップした5リッターV8搭載にある。

XJは「XF」の上に位置するトップモデル。自分で運転するひとのためともいえるショートホイールベース版と、後席をより重視したロングホイールベース版とがある。

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基本的にはぜいたくで快適な大型サルーンだ。しかし、それだけと思っていたら大間違い。これが、今回のXJR575(ショートホイールベース版に設定)の痛快な点である。

なにしろ速い。ひたすら速い。そう続けて書きたくなるほど速い(くどい)。メーカー発表による静止から100km/hまでの加速はわずか4.4秒。

運転してみると、それは絶対にウソではないだろうということを感じる。アクセルペダルを軽く踏んだだけで、1.8トンのボディが弾かれたように加速するのだ。痛快のひとことである。

XJはそもそもアルミニウムのストラクチャーを持ち、軽量化により操縦性と燃費とを両立させることを狙っている。

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温暖な気候ゆえ海外のメーカーが試乗会を開くとき選ばれることの多いポルトガル。山が多く、日差しの角度の関係からだろう、斜面はワイン用ぶどう畑に利用されている。

そこにあるのが、ぶどう畑を縫うようなワインディングロードだ。景観として美しい。同時にスポーツドライビングにもふさわしい場所である。

感触のいい握りの小ぶりのステアリングホイールを握って、走らせたXJR575。少し切り込んだだけで、車体は敏捷に反応する。

コーナリング時の姿勢はロールもあるがきちんとコントロールされている。ごくわずかにフロントの外側が沈み、それを追いかけるようにリアの反対側のスプリングが伸びて駆動力が確保される。

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ジャガー XJR575にポルトガルで試乗

高級かつ高性能サルーンでは、英国だって負けていない (2)

快適な走りの鍵はブレーキ

エンジンは3,500rpmで最大トルクが発生する設定だ。なので回せばどんどん力が出てくる。アイドリングに近い回転でもパワフルだと思うが、2,500rpmを超えたあたりからパワー炸裂だ。

コーナーの出口からは次のコーナーまで、怒濤といった感じのパワーで加速してゆく。パワフルなエンジンを搭載した重量級サルーンには軽量スポーツカーとは違ったよさがあることがよく分かる。

このV8エンジンの特性を知り尽くしているのであろう。ジャガーの技術者はレスポンシブで、かつ高回転まで回るグッドフィールを実現している。

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どれだけアクセルペダルを踏めばどれだけ力が出てくるか。加速感の設定がクルマのキャラクターを決めることも少なくない。それは人間の感覚と密接に関係する。その“フィール”の部分がいいのだ。

ただしそれも効きのよいブレーキがあってこそ楽しめる。その点でもXJR575はぬかりがない。効きは(当然期待していたとおりに)よく、ペダルによるコントロール性は抜群。

微妙な減速が可能で、これもワインディングロードでの楽しさに貢献している。

怒濤のパワーによる加速をうまく受け止めて、ブレーキペダルの踏み込み量に応じてしっかりと車体を減速させてくれる。

より小ぶりなスポーツサルーンを凌駕するような操縦性を確立しているのは、加速性のよさとともに、効きのいいブレーキのおかげだろう。

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ふだんは(ショートホイールベースとはいえ)3メートルを超えるホイールベースのおかげでリラックスして後席乗員を載せて走ることも得意なはずのクルマである。

街中や高速では騒音もきれいにカットされ、安逸。メリディアンのオーディオシステムを試してみたが、こちらも1音ずつきれいに聴き分けられるように感じるほどだ。

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たしか……僕の記憶なのであいまいなのだが……「目を閉じたときにそこに演奏者がいるように感じられるように」というポリシーを持っていたはずの同社が得意とする小さな編成の室内楽などの再生は見事だった。

ようするにXJR575は強烈なパワーをもったファイターなのだが、精神は洗練されている。そんなイメージなのだ。こういうクルマはライバルを見つけるのがむずかしいかもしれない。

日本での価格は1,887万円と発表されている。右ハンドルが導入される(じつはポルトガルでの試乗車も右ハンドルだった)。日本への導入は2018年早々だそうだ。

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Jaguar XJR575│ジャガー XJR575
ボディサイズ│全長 5,130 × 全幅 1,899 × 全高 1,460 mm
ホイールベース│3,032 mm
重量│1,875 kg
エンジン│5,000 cc V型8気筒 直噴DOHC スーパーチャージャー付き
最高出力│423 kW(575 ps)/6,250-6,500 rpm
最大トルク│700 Nm/3,500-4,500 rpm
トランスミッション│電子制御8段AT
サスペンション 前/後|ダブルウィッシュボーン
タイヤ前│265/35R20
タイヤ後│295/30R20
燃費(EU)│11.1ℓ/100km(約9.0km/ℓ)
トランク容量│478 リッター
価格│1,887 万円

           
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