アラビアンナイトの街に建つ、フェラーリの遊園地|Ferrari World Abu Dhabi
Ferrari World Abu Dhabi|フェラーリ・ワールド・アブダビ
跳ね馬の魔法にオトナもかかる
アラビアンナイトの街に建つ、フェラーリの遊園地
フェラーリ・ワールドは、アラブ首長国連邦のアブダビにある、その名のとおりフェラーリのテーマパーク。アブダビのヤス島にあるヤス マリーナ サーキットに隣接する施設として2009年11月にオープンした。フェラーリに関する20以上ものアトラクションの中には、時速240kmを誇る世界最高速度のジェットコースターが存在する。
Text by SAKURAI Kenichi
フェラーリのスピードと世界観を具現化
フィナーリ・モンディアーリの会場となったアラブ首長国連邦のアブダビにあるヤス マリーナ サーキットには、世界初となるフェラーリのテーマパーク、「フェラーリ・ワールド・アブダビ」が隣接する。ここではそのフィナーリ・モンディアーリの表彰式と同イベントに参加した関係者を集めたガラパーティーが12月5日、盛大に執りおこなわれた。
すでにフィナーリ・モンディアーリの模様は報告したとおりだが、このイベントは、フェラーリ・レーシング・デイズのプログラムとして各地域で開催されたチャレンジ・レースの表彰のほか、フェラーリとしておこなっているレース活動の年間結果を報告するステージでもある。実際に今回はWEC(世界耐久選手権)でクラス優勝を果たしたAFコルセのドライバーの表彰や、F1で活躍したキミ・ライコネンも登壇。フェラーリの2014年シーズンを改めて振り返った。
ガラパーティーの会場となったフェラーリ・ワールド・アブダビは、屋内型のテーマパークで、その敷地面積は約20万平方メートル。高さ48メートルに及ぶ屋根には、フェラーリのエンブレムであるカバリーノ・ランパンテ(跳ね馬)の紋章があしらわれており、この外観は、サーキットからも確認できる。F1レースのTV放送(日本ではCS放映のみだが)で第7コーナー奥に映る建物といったほうが分かりやすいかもしれない。
今回、フィナーリ・モンディアーリの取材で初めて訪れたフェラーリ・ワールド・アブダビは、想像以上に大きな建物が印象的だった。エントランスからすでにフェラーリの世界観が全開で、ファンにはたまらない演出が施されていた。例えばエントランスを過ぎ、最初にゲストを迎えてくれるのはF1マシン、F2003-GA。そう、かのミハエル・シューマッハに6度目の世界チャンピオンをもたらし、コンストラクターズチャンピオンに輝いた栄光のマシンである。
その先には2014年に発売された最新のスペチアーレ、458 Speciale Aや、La Ferrari、250GTO(こちらはオブジェ)、F1マシンのF10などが展示され、否が応でもテンションは上がる。左にはフェラーリのグッズを取り扱うショップがあり、ここはこのテーマパークで1日を過ごした後に寄る場所だが、ファンならば財布のひもを緩めないわけにはいかない、ここだけで販売されているレアものの宝庫である。
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アラビアンナイトの街に建つ、フェラーリの遊園地(2)
フェラーリの旅は未体験のスピードとともに
大小含め、20以上ものアトラクションがこの建物内にはあるが、なかでも注目は、世界最速の時速240kmを誇るジェットコースター、フォーミュラ・ロッサである。スタート地点は屋内にあるが、そのコースの大半は建物を出た屋外。一般的なジェットコースターのように、カチカチと坂を上り、頂点に達した落下スピードを利用するようなタイプとは異なり、スタートの加速からいきなりトップギア全開で加速。まるで空母からカタパルト発進する戦闘機のような加速を体験できる。もちろん、アドレナリンも当然全開になる。
搭乗するゲストは、手荷物はもちろんのこと、洋服以外の持ち物をすべて乗り場に預ける必要がある。メガネをしている方ならば、大きめのゴーグルの着用が義務づけられる。理由は簡単だ。その加速が想像以上だからであり、どこか体に人工的な付加物(例えば帽子やヘアピースなど)などが万が一あろうものなら、そういったアイテムはスタートから数秒で確実に吹き飛ばされるので注意が必要だ。
先にフォーミュラ・ロッサを体験した女性が「心配だからピアスは取って乗る」と話したのは決して大げさではなかったことを、自分の番になって身をもって体験した。プライベートでは、これまでカリフォルニアのスリーフラッグスなどで名だたるジェットコースターに乗ったが、このスピードは文字通り世界一。フェラーリの名を冠すだけのことはある。
F1マシンを模したジェットコースターの加速は4.9秒でいきなり240km/hに達し、このパフォーマンスは0-100km/h加速が2秒に匹敵するという。公道を走行可能なクルマではあり得ない速さだ。最大加速Gは1.7、1.5メートルに設定された地上すれすれのコースも、スピード感をあおる。一番きついコーナーは70度、全長は2.07kmだが、その旅は未体験のスピードとともにあっという間に終了する。
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盛りだくさんのアトラクション
もうひとつ、注目のアトラクションとして紹介したいのが、ゴーカートアカデミー。電動のカートを使用するのでさほどスピードが出るとはいえないが、ヤス マリーナ サーキットを模したスリッピーなコースでは、日頃のドライビングテクニックがものをいう。最高速度は80km/hにも達するので、子供だましのゴーカートとは決して侮れない。全長280メートルのコースを数周するのだが、順位がリアルタイムに表示されるので、闘争心に火が付くこと間違いナシだ。
今回はフィナーリ・モンディアーリの一貫として、スペシャルゲストに元フェラーリのF1パイロットであり、AFコルセのドライバーとして活躍したジャンカルロ・フィジケラが登場。ライン取りやレースの駆け引きにおいても、格の違いをも見せつけ、ギャラリーから大きな歓声が送られていた。
そのほか、REDと題したアクロバティックな25分のエンターテイメントショーをはじめ、4Dアドベンチャー体験のスピード オブ マジックや、シネマ・マラネッロで上映されるフェラーリの歴史的情熱をショートフィルムにまとめたフォー ザ ラブ オブ ザ レース。
さらには、フェラーリのワークスドライバーが使用するレーシングシミュレーターを体験できるスクーデリア・チャレンジ、F1マシンのタイヤ交換のタイムを競うタイヤチャレンジエクスペリエンス(これが結構ハマって本気になる)、そして、ヴィンテージ フェラーリや最新モデルをディスプレイするガレリア フェラーリなど、盛りだくさんのアトラクションや展示が、ファンの心に火を付ける。
また、館内ではイタリアンをはじめとするファーストフードなど飲食店も充実。フェラーリ本社ファクトリー前にあるリストランテ カバリーノも出店しているので、話の種に寄ってみるのも一興だ。こうして一日たっぷりとフェラーリの世界に浸ったあとは、フェラーリ・ストアで記念品や、ここでしか購入できないお土産物などのショッピングを楽しめば完璧である。
現状でも十分に楽しめる内容だが、さらなるアトラクションの増設工事も進行中だというフェラーリ・ワールド・アブダビ。アラブ首長国連邦にバケーションで訪れる際は、マストな訪問先と紹介できるテーマパークである。
フェラーリ・ワールド・アブダビ
http://www.ferrariworldabudhabi.com