ニューヨーク オートショーは新型SUV祭り|NYIAS 2018
CAR / FEATURES
2018年4月9日

ニューヨーク オートショーは新型SUV祭り|NYIAS 2018

New York International Auto Show 2018|ニューヨーク モーターショー 2018

ニューヨーク オートショーは新型SUV祭り

SUV祭りの様相を呈したニューヨーク国際自動車ショーが、2018年3月30日から4月8日にかけて開催された。キャデラックXT4をはじめ、SUVの新型が多く出そろった。

Text & Photographs by OGAWA Fumio

伝統ある自動車ショー

キャデラック、メルセデス・ベンツ、トヨタ、スバル、ホンダ、日産といった名だたるメーカーがワールドプレミアの新型車を発表した2018年のニューヨーク国際自動車ショー(以下ニューヨーク オートショー)。

まず注目すべきは地元代表キャデラックだ。ショーの前日にゲストを世界中から招いて全長4.6メートルを切るコンパクトSUV「XT4」を発表。

「(XT4でもって)これまでに踏み出したことのないセグメントに参入します」。発表会の席上でキャデラックのヨハン・ダ・ネイシン社長はそう語った。

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Cadillac XT4

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Cadillac XT4

使いやすいサイズに躍動感のある都会的なスタイルは、ニューヨークの路上によく似合いそうだ。

プレミアム感のあるコンパクトSUVは、既発のジャガー「E-PACE」といい、まだ成長が見込まれるセグメントだとされる。

キャデラックXT4を筆頭に、コンパクトサイズのSUVが多かったのが2018年のニューヨーク オートショーの特徴といえる。

New York International Auto Show 2018|ニューヨーク モーターショー 2018

ニューヨーク オートショーは新型SUV祭り (2)

日本メーカーもこぞってSUVを発表

ジャビッツセンターの展示スペースとは別の場所で開催された記者会見の場が記者で溢れたのがトヨタだ。「RAV4」の新型のワールドプレミアをニューヨークで行ったのである。

「トヨタのグローバルコアモデル」と世界戦略車の位置づけであるRAV4は、2017年、販売台数の半数にあたる41万台という好成績を米国だけで記録しているのだ。

キャデラックXT4と同じ全長を持つ、扱いやすいサイズで、TNGA(トヨタ ニュー グローバル アーキテクチャー)に基づいて開発されている。

エンジンは2.5リッターガソリンと、2.5リッターエンジンに電気モーターが組み合わされたハイブリッドと発表されている。

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Toyota RAV4

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Toyota RAV4

RAV4ではインフォテイメントシステムの充実も謳われている。たんなる実用道具ではないが、たんなる“クルマ”でもない。

生活に新しい楽しさをもたらすプロダクトという、従来とは少し視線をズラしたような存在価値の訴求が感じられて興味深かった。

日本での展開はないが、ホンダの別ブランド、アキュラ(たとえば米国ではNSXはアキュラブランドで販売されている)は新型「RDX」を発表した。

RDXはクロスオーバーといって乗用車的要素の強いモデルだ。2019年モデルとして発表された新型は2リッターVTECエンジンに「クラス初」と謳う10段オートマチック変速機の組み合わせ。

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Acura RDX

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Acura RDX

左右輪の駆動力を差動ギアでなく電磁クラッチで調整していくホンダ独自のSH-AWDも搭載。後輪駆動主体でドライブの楽しさを味わわせることを目指したという。

スバルも伝統的にニューヨークなど米国東部で人気あるブランドだ。ニューヨーク オートショーでは5代目になる新型「フォレスター」を世界初公開した。

記者発表会の場では舞台に歴代のフォレスターを並べたうえに、販売されたスバル車のほとんどはいまも路上を走っている、と堅牢性とともにユーザーとの距離感の近さを訴求したのが印象的だった。

フォレスターは、新しいプラットフォームが最大の特徴だ。直噴式2.5リッター水平対向エンジンに、スバルが得意とするシンメトリカルAWDシステムを搭載。

低い重心髙による走りの楽しさを強調すると同時に、アイサイト標準装備による安全性の訴求にもぬかりなく、ユーザーアピールは高かった模様だ。

New York International Auto Show 2018|ニューヨーク モーターショー 2018

ニューヨーク オートショーは新型SUV祭り (3)

スーパースポーツやEVもSUVで

電気で走るSUVである「I-PACE」を第2四半期から米国で展開するというジャガー。先立つジュネーブで量産車が正式に公開されたばかりということもあり、ニューヨークでも注目を集めていた。

ジャガーはいっぽうでハイパフォーマンス化にもぬかりはない。550psの5リッターV8エンジン搭載の「F-PACE SVR」を発表した。

680Nmの最大トルクを前後輪に配分。専用チューニングのシャシーに、強化したダンパーを組み込んだサスペンションシステムの組み合わせだ。

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Lincorn Aviator

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Lincorn Aviator

エレガントでパワフルなSUVという点で世界的トレンドに先鞭をつけたレンジローバーだが、その影響を感じたのが、リンカーンが出展した新型「アビエイター」のコンセプトである。

リンカーンのSUVラインナップにおいては比較的コンパクトなサイズだが、3列シートを備え、後輪駆動とされている。

ツインターボエンジンを使ったプラグインハイブリッドによりスポーティな走りを追求している、とリンカーン。「多くのスーパーカーよりパワフル」と謳われる。

パワーという点ではマセラティが持ちこんだ「レヴァンテ トロフェオ」も見逃せない。

ラインナップ中最もスポーティなモデルがニューヨークで発表されたのだ。

590psの最高出力と730Nmの最大トルクを持つ3.8リッターのツインターボV8に四輪駆動システムの組み合わせ。

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Maserati Levante

最高速は300km/hを超え、静止から100km/hまで加速するのに3.9秒したかからないというスーパーSUVである。

かたやコンパクト、かたやハイパフォーマンス。SUVはニューヨークで大きく“進化”した。そんな印象の強いショーだった。

           
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