東京モーターショー 2015 リポート|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz|メルセデス・ベンツ
Mercedes-AMG|メルセデスAMG
smart|スマート
東京モーターショー 2015 リポート
未来の東京をイメージしたコンセプトモデルを発表
国内で販売される輸入車ブランドのなかでも、ひときわな好調が伝えられるメルセデス・ベンツ、およびそのサブブランドたち。東京モーターショーにおいても、新モデルの導入をおこなうなど、その勢いは止まらない。小川フミオ氏による現地リポート。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki
新型SUVを披露
日本市場での販売好調なメルセデス・ベンツ。その理由を探るのにもっともよい方法は、東京モーターショーのブースを見ることかもしれない。現在、26車種127モデルを日本で販売するメルセデス・ベンツ日本。さらにショーでは、2015年、圧倒的な速さで選手権を獲得したF1マシンをはじめ、導入予定の新型車、さらに世界初公開のコンセプトモデルと、多岐にわたる内容がいっきに展開されている。
新型車では、「Mクラス」のフルモデルチェンジ版である「GLEクラス」が目を惹いた。特徴的なリアクォーターピラーのデザインは踏襲しつつ、シャシー性能が向上したのが特徴だ。日本の販売戦略は従来と一線を画しており、3リッターディーゼルの「GLE 350 d」と、パワフルな5.5リッターV8ガソリンエンジン搭載のメルセデスAMGブランドになる「GLE 63 S 4MATIC」の2本立て。効率とパワー、2つの個性をより明確にあらわすモデルの投入だ。
GLEと同時に、「GLEクーペ」も導入予定として展示された。こちらはBMW「X6」をライバルとしそうなクーペ的なスタイリングをもった斬新なイメージのSUVだ。全長4.9メートルに対して全高1.73メートルのボディは、なだらかに傾斜したリアウィンドウによる軽快感をもつ。リアコンビネーションランプは、メルセデス・ベンツのクーペとイメージを共有する横長のもので、特別な存在感が強調されている。パワートレインは未発表だが、プラグインハイブリッドも可能性がありそうだ。
SUVでは、「GLCクラス」も導入予定として展示されていた。「Cクラス」と基本プラットフォームを共有しつつ、33mmもホイールベースを伸ばしている。全長4.7メートルの比較的大ぶりな車体をもち、従来の「GLKクラス」に代わるモデルだ。BMWの「X3」や、アウディ「Q5」とライバル関係になるだろう。
東京モーターショーに先駆けて発表された新型「Vクラス」も、来場者の注目を集めていた。日本に導入されるのは2.2リッターディーゼルエンジン搭載モデルのみで、ホイールベース3,200mm、ボディは全長4,905mmのスタンダードと、5,150mmのロング、2種類が用意される。7名乗車のパッケージングと、ロングでは通常でも1,035リッターもの荷室容量が実用的だ。
後輪駆動方式に7段オートマチック変速機を組み合わせていて、燃費はリッター15.3km/ℓ(JC08モード)。先代の3.5リッターV6ガソリンエンジン車と比較して最大125パーセントも向上しているという。
さらに世界初公開となる「ビジョン トウキョウ」という衝撃的なモデルが公開された。
Mercedes-Benz|メルセデス・ベンツ
Mercedes-AMG|メルセデスAMG
smart|スマート
東京モーターショー 2015 リポート
未来の東京をイメージしたコンセプトモデルを発表 (2)
新世代に向けたコンセプトモデル
「クールな都市「東京」にふさわしいクールなクルマです」。メルセデス・ベンツをおさめるダイムラー社のデザイン統括、ゴードン・ワグナー氏は、東京で初お目見えした「ビジョン トウキョウ」についてそう語った。「メガシティに住むもっとも若い年齢層の「ジェネレーションX」をとくに意識して開発し、現代のメガシティに暮らす彼らのニーズに応える未来のクルマです」。
2030年頃の自動走行のラグジュリーセダン(未来の「Sクラス」?)の提案である「F015 ラグジュリー イン モーション」とともに並べられた「ビジョン トウキョウ」は、前出のワグナー氏の言葉を借りれば「ワンボックスデザインをもっともスポーティな形にしたもの」となるが、クロームのボディのマス(質量)感と、ブルーのライトがかなり目を惹く。室内へは1枚のみというドアを開けて入る設定になっているようだが、ショーモデルでそれを確かめることはできなかった。
メルセデス・ベンツによると、室内はラウンジふうで、中央に3Dのホログラムプロジェクターがある(設定)とのこと。「すべての席で3Dマップやアプリ、エンターテインメント機能などのコンテンツが利用できます」とワグナー氏はコンセプトを説明する。スマートフォンやソーシャルネットワークが登場したときまだ子どもだったジェネレーションZのためのモデル。一度目にしてもいいかもしれない。
メルセデスAMGのブースには、パワフルな6.3リッターV8エンジン搭載のAMG GT3も展示されていた。3月のジュネーブでの自動車ショーでお披露目されたレース車両だ。その隣には2014年にF1で選手権を獲得した「W05 ハイブリッド」も展示(W06はまだ2015年シーズンで戦っている)。ハミルトンとロズベルグ両選手による圧倒的な速さでグランプリを制した記憶を鮮明によみがえらせてくれる。
「モータースポーツのイメージは、多くのマーケットでブランドイメージを強力に押し上げてくれます」。メルセデス・ベンツの開発部門を統括するドクター・トマス・ウェバーがかつてそう語っていたのを思い出す。「F1をやっていることで、SUVまでセールスが伸びますから」。
隣りには発売されたばかりの新型スマート「fortwo」と「forfour」。リアに搭載した91kWの最大トルクをもつ999cc 3気筒エンジンに、ツインクラッチの6段ATを組み合わせている。fortwoの全幅は100mm拡幅されて操縦性が向上したいっぽう、ハンドル切れ角の見直しなどで隘路での取り回し性のよさを確保。forfour(209万円~)も久しぶりの日本市場登場。今回はfortwo(限定発売のedition1で209万円~)とおなじシャシーを使うことでより操縦性が高くなったことをアピールしている。
東京モーターショーにおけるブースはまさに、破竹のいきおいで進撃を続ける巨人、メルセデス・ベンツの象徴に見える。