レクサス LS460 バージョンSZ|スポーティな感覚を拡大
LEXUS LS460 version SZ|レクサス LS460 バージョンSZ
スポーティな感覚を拡大
レクサスのLSシリーズがマイナーチェンジを受け、2009年11月9日に発売された。それを機に設定された、スポーティ仕様「LS460 version SZ」にさっそく乗ってみた。
文=小川フミオ写真=荒川正幸
エクステリアデザインの変更で見た目の印象をリフレッシュ
レクサスのフラッグシップモデル、LSシリーズ全体におけるマイナーチェンジの眼目は①エクステリアデザインの細部変更②外板色に新色追加③内装のカスタマイズ化を可能にした「L-Select」の一部仕様へのオプション設定、となる。同時に専用チューニングをほどこしたトランスミッション、サスペンション、高性能ブレーキ、大径ホイールの採用で「走りの楽しさを追求した」とレクサスがするLS460 version SZが新設定されたのも注目に値いする。
エクステリアデザインにおいては、フロントのグリル、ヘッドランプ、バンパー、リアではリアコンビネーションランプ、バンパーの意匠に変更がほどこされた。これで見た目の印象がリフレッシュされた。同時に18インチアルミホイールの意匠が変更され、ウィンカー内蔵型ドアミラーが採用されている。外板色は、新開発された「ラピスラズリマイカ」をはじめ、LS460とLS460Lに新色4色を追加して全10色に、LS600hとLS600hLは新色5色追加されて全11色となった。
走行安全性の面では、むちうち傷害軽減に寄与するアクティブヘッドレストとオートマチックハイビームが全車に標準装備された。後者は、対向車や先行車にくわえ周囲の明るさなどの状況を認識し、ハイビームとロービームを自動的に切り替える装備だ。
19インチの鍛造アルミホイールとブレンボ社製ブレーキ
内装では、シート、ドアトリム、ルーフ、本木目パネルの素材とカラーの種類を豊富に設定、さらにシートやインストゥルメントパネルのステッチの色も選択できるようになっている。これによって内装の組み合わせが3万通りを超えるという。これは「L-Select」と名づけられた内装カスタマイズプログラムで、一部車種にオプション設定される。
「LS460 version SZ」はなかでも注目されるスポーティな仕様だ。フレームはクロームだが、なかはブラックアウトしたメッシュタイプとなる専用デザインのグリルをはじめ、前後のアンダースポイラーの形状変更や、サイドロッカーモールを与えられた。併せて、ホールド性にすぐれた新設計の専用スポーツシートが採用されている。
「LS460 version SZ」のエンジンは385馬力の最高出力をもつ4.6リッターV型8気筒。これに専用チューニングをほどこした8段オートマチック変速機が組み合わせられる。ステアリングホイールから手を離さずマニュアルで変速が楽しめるパドルシフトにくわえ、シフトダウン時にはコンピューターが最適なエンジン回転数に合わせるブリッピング制御など、スポーティな変速フィーリングが味わえるようになっている。
足まわりも従来よりスポーティになっていて、新開発の減衰力可変式ダンパーを採用するとともに、エアスプリングやスタビライザーも車両のキャラクターに適合するように手が入れられている。さらに19インチの鍛造アルミホイールと、ブレンボ社製ブレーキがおごられている。
意外なほど軽快
実際に運転すると、もともと走らせて楽しいというLS460の素性のよさもあり、むりやりチューニングをほどこしたような不自然さはなく、伸びやかな加速感と素直なハンドリングを楽しめる。足回りに手が入ったことでやや硬めになった印象だが、コーナリング時の車体のロール角が抑えられるなど、スポーツカー的な性格が強められている。大型セダンでも硬めの足まわりなど好むひとには向いているだろう。
LS460のV8は51.0kgmという強大なトルクを誇るので、2トン前後と重量級でも、意外なほどクルマの動きは軽快だ。併せて、ほんの少しの舵角で反応よく動くステアリングの設定によって、スタンダードホイールベース版でも全長5060mmという車体が、意志どおりに気持ちよく動いてくれる。過敏ではないが俊敏、これがLS460の持ち味で、LS460 version SZはそのスポーティな感覚を拡大した魅力をもっている。
内装の意匠も変わり、黒基調のなかにサドルタンとよばれる茶系の「差し色」が入ったのもLS460 version SZの特徴だ。とくにドアの内張りにはこのサドルタンの革による大胆な曲線が入るので華やかな印象が強くなっている。シートのホールド性もよく、開発者が明確な目的をもってこのクルマを作り上げたことがよく分かるのが好ましい点だ。
LEXUS LS460 version SZ|レクサス LS460 バージョンSZ(2WD)
ボディ|全長5060×全幅1875×全高1465mm ホイールベース2970mm
車両重量|1980kg
エンジン|4608cc V型8気筒
最高出力|283kW[385ps]/6400pm
最大トルク|500Nm[51.0]/4100rpm
駆動方式|FR
トランスミッション|スーパーインテリジェント8速AT
サスペンション|F:マルチリンク R:マルチリンク
タイヤ|F:245/45R19 R:245/45R19
価格|910万円
レクサスインフォメーションデスク
0800-500-5577
http://lexus.jp
BRAND HISTORY
トヨタがアメリカ市場において高級車ブランドLEXUS(レクサス)を立ち上げたのは1989年のこと。トヨタが誇る高い技術力と優れた品質、そして極上の顧客サービスにより、アメリカやドイツの高級車とは一線を画す新しい価値を提供しようというのが狙いであった。
同年9月、「LS400」(日本名セルシオ)と「ES250」(同カムリ)がアメリカ市場に投入されると、翌1990年2月には早くもLS400がベストインポートカーを獲得している。その後もレクサスの評価は高まるばかりで、ラインナップの拡大とともに、高級車ブランドとしてのポジションを確実にしていった。
アメリカでの成功を受けて、2004年にはヨーロッパ進出を果たしたレクサスは、同年5月、日本での事業展開を発表。翌2005年8月には、母国での高級車ビジネスをスタートさせた。開業当初は、「GS」(トヨタブランドのアリストの後継車)、「SC」(同ソアラ)、「IS」(同アルテッツァの後継車)と、フラッグシップの「LS」を欠くラインナップだったが、2006年9月には待望の新型LS、そして、2007年5月にはそのハイブリッド版の「LS600h/LS600hL」を投入することで、ラグジュアリーサルーン購買層の期待に応えている。
一方、2007年10月にスポーツモデル「IS F」を発表、また、2008年5月に行われたニュルブルクリンク24時間レースに開発中のスポーツクーペ「LF-A」を投入するなど、スポーツイメージの獲得に力を入れており、さらなる人気拡大が期待される。