ASTON MARTIN Cygnet|アストン・マーティン シグネット アストンとトヨタのコラボレーション
Car
2015年4月16日

ASTON MARTIN Cygnet|アストン・マーティン シグネット アストンとトヨタのコラボレーション

ASTON MARTIN Cygnet|アストン・マーティン シグネット

アストンとトヨタのコラボレーション

英国のアストン・マーティンが現在、マイクロコンパクトカー「シグネット(Cygnet)」を開発中。これは英国ウォリック州ゲイドンに本拠を置く同社が6月29日に発表したもの。全長3メートルほどの超コンパクトなこのモデル、じつはトヨタiQがベースになっている。

文=小川フミオ

知的なシティコミューター

「(シグネットは)高級でニッチな技術力で世界をリードするアストン・マーティンと、品質と信頼性において世界をリードするメーカーであるトヨタのコラボレーションモデルです。両社はメーカーとしての規模はまったくちがいますが、クルマに対する強い情熱によって支えられる卓越した技術力とイノベーションで構築されている信念を共有しています」とは、アストン・マーティンのプレスリリースの文言。

知的なシティコミューターというのが、アストンマーティンがシグネットに与える位置づけのようで、「まだ多くの仕事が残されていますが、私はこのプロジェクトが遠くない時期に実現するものと確信しております。このコンセプトは、豪華ヨットを作る時のようなエクスクルーシブな提案に近いと言えるでしょう。そしてこのコンセプトによってアストン・マーティンのデザイン、クラフツマンシップ、ブランドバリューをまったく新しいセグメントへ導入させることができるのです」と同社のCEO、ドクター・ウルリッヒ・ベッツの談話が引用されている。

超小型の超高級車

実際にはまだクレイモデル制作中の画像1点しか公開されておらず、同社広報部でも、どんなエンジン、どんなサスペンション、また内装など、シグネットの諸元については詳細をつかんでいないとしている。ただ、誰が見てもそれとわかるアストン・マーティン独特のフロントグリルとヘッドランプが大いに期待をもりあげる。

アストンマーティンでは、さきごろ発売されたニューモデル、DBSヴォランテを皮切りに、このあと4ドアセダンのラゴンダ・ラピード、限定「超」高性能モデル、I-77などで、フルラインメーカーへの道を進んでいるともいえる。そこにはインドや中国など急伸長を見せるマーケットでのニーズも大きく影響しているとみられるが、超小型の超高級車。こんなものが出たら乗ってみたいと思うクルマ好きは、日本をはじめ欧米先進国にも数多くいるのではないだろうか。

2009年の新作

アストン・マーティン社CEO、ドクター・ウルリッヒ・ベッツ。

BRAND HISTORY
いまもっともクールなスポーツカーブランドとして、世界中から注目を集めているのが、イギリスのASTON MARTIN(アストン・マーティン)だ。1914年にライオネル・マーティンとロバート・バンフォードにより設立された小さな会社は、アストン・クリントンと呼ばれるヒルクライム競技で成功を収めたことからアストン・マーティンのブランドを名乗るようになり、その後もモータースポーツやスポーツカーの歴史に輝かしい足跡を残す。

反面、経営の面では幾度も危機に追い込まれ、そのたびに救いの手が差し伸べられるという、まさに波瀾万丈の道を歩み続けてきた。たとえば、1947年にオーナーとなったデイビッド・ブラウンは、優れた経営力とエンジニアリングのセンスを活かして、自らのイニシャルを冠したスポーツカー「DB2」や、レース用マシーン「DBR1」で、その名前を残している。最近では、フォードがその株式を、プロドライブを創業したデイビッド・リチャード率いる投資家集団に売却したことが記憶に新しい。

しかし、アストン・マーティンはいつの時代も漲るパワーと美しいスタイルを備えたスポーツカーづくりを貫いている。現在のラインアップは「V8ヴァンテージ」と「DB9」。また近い将来「ヴァンキッシュ」にかわる新しいフラグシップモデル「DBS」が日本にもお目見えするはずだ。

           
Photo Gallery