Audi R8|レーシングカーの名を受け継ぐスポーツカー
Audi R8
アウディ R8
レーシングカーの名を受け継ぐスポーツカー
古くからアウディはモータースポーツ活動に力を注いできた。たとえばアウトウニオンの時代、“タイプC”なるグランプリカーでその名を知らしめ、1980年代には、同社が誇る4WDシステム“クワトロ”でWRC(ワールド・ラリー・チャンピオンシップ)を席巻するなど、モータースポーツは同社の技術力を誇示するには格好のフィールドだった。最近では、世界でもっとも過酷な耐久レースとして知られるルマン24時間レースにマシーンを送り込み、10戦8勝という好成績を続けているのはご存じだろう。
このうち、最初の5勝をあげたのが「アウディR8」で、2004年には日本から参加のプライベートチームが総合優勝を果たしたのは記憶に新しい。そんな伝説のレーシングカーの名を受け継ぐモデルが、2006年のパリサロンでデビューしたアウディの新しいスポーツカー「R8」である。
R8は、レーシングカーのR8がもつミドエンジンレイアウトや高回転型V8直噴ガソリンエンジン、シーケンシャルギアボックスといった特徴を引き継ぐとともに、ルマンのレーシングカーでは許されないフルタイム4WDシステムのクワトロを搭載。軽量かつ高剛性のボディは、アウディご自慢のアルミスペースフレーム構造“ASF”により実現した。
スポーツカーとしての高いパフォーマンスを誇りながら、優れた実用性と高い質感を備えるのも大きな特徴で、これぞアウディのクルマづくりそのもの。R8は現在のアウディを象徴するモデルなのだ。
アウディ R8
ボディ|全長4435×全幅1905×全高1250mm
エンジン|4.2リッターV型8気筒
最高出力|309kW[420ps]/7800rpm
最大トルク|430Nm[43.8kgm]/4500-6000rpm
駆動方式|4WD
トランスミッション|Rトロニック(6段シーケンシャルギアボックス)
価格|1670万円
(2008年7月現在)
BRAND HISTORY
Audi(アウディ)のエンブレムは“フォーリングス”。その輪ひとつひとつが自動車メーカーのアウディ、DKW(デーカーヴェー)、ホルヒ、ヴァンダラーを表しているのはご存じだろう。いずれもザクセン州に本拠を置き、20世紀のはじめ、ドイツの自動車産業を牽引したブランドである。しかし、第一次世界大戦後に起きた世界恐慌の煽りをくらった4社は、生き残りをかけて、1932年にアウトウニオンを結成。DKWがモーターサイクルと小型車、ヴァンダラーが中型車、アウディが高級中型車、そして、ホルヒがラグジュアリーカーに特化する戦略をとることになった。
しかし、第二次世界大戦の敗戦により旧東ドイツのザクセンはロシアの占領下となり、アウトウニオンは消滅。これを見越して、旧西ドイツのバイエルン州インゴルシュタットに新生アウトウニオンが設立される。BMWやメルセデス・ベンツとちがい、工場のない状況からの苦しいスタートをしいられたアウトウニオンであったが、DKWデリバリーバンなどの生産により徐々に体力をつけていった。
1964年末にフォルクスワーゲン傘下に収まったアウトウニオンは、ほどなくしてアウディの名を冠した新型車を世に送り出す。そして1969年には、ネッカースウルムに本拠を置くNSU(“ヴァンケルエンジン”の開発で知られる)を合併し、アウディNSUアウトウニオンとなり、1985年からはアウディとして現在にいたる。クワトロをはじめとするテクノロジーと、モータースポーツ活動に裏付けられたダイナミック性能、エレガントなデザイン、そして、質感の高い仕上がりが、アウディの人気を牽引している。