BENTLEY AZURE|伝統の名前が復活
BENTLEY AZURE
ベントレー アズール
伝統の名前が復活
2005年1月、ベントレーは1台のコンセプトカーをロサンゼルスモーターショーで御披露目した。「アルナージ」をベースに、ソフトトップを与えた4人乗りのオープンモデル「アルナージ・ドロップヘッドクーペ」だ。
その優雅な佇まいを目のあたりにしたファンから市販化を望む声が上がり、それに応えるべく、同じ年のフランクフルトショーに送り込まれたのが市販版「アズール」である。ベントレーには1955年から2002年まで同名のオープンモデルが存在しており、約3年のブランクを経て伝統の名前が復活することになったのだ。
4ドアのアルナージからは、フロントマスクやプラットフォーム、エンジンを受け継ぐ一方、2ドアボディとなるリア部分やインテリアなどには独自のデザインを施している。ソフトトップは3層構造のファブリックが用いられ、スイッチ操作により約30秒で開閉が可能である。
エンジンは「アルナージR/RL」に搭載される6.75リッターV8ツインターボで、最高出力457ps、最大トルク89.2kgmのスペックもアルナージR/RLと同一だ。
オープン化によるボディ剛性の低下や重量増を最小限に抑えるために、アズールではアンダーフロアにカーボンファイバーによる補強を施すといった努力も欠かさない。ベントレーきっての贅沢なモデルには伝統の輝きと最新のテクノロジーが息づいているのだ。
BENTLEY AZURE|ベントレー アズール
ボディ|全長5430×全幅1930×全高1495mm
エンジン|6.75リッターV型8気筒ツインターボ
最高出力|336kW[457ps]/4000rpm
最大トルク|875Nm[89.2kgm]/1800rpm
駆動方式|FR
トランスミッション|6段オートマチック
価格|4000万円
(2008年5月26日現在)
BRAND HISTORY
「クラス最高の速さと価値を持つクルマをつくりたい」。“W.O.”の呼び名で親しまれているBENTLEY MOTORS(ベントレー・モーターズ)の創業者、ウォルター・オーウェン・ベントレーの言葉である。
若い時分からエンジニアとして経験を積んできたW.O.だが、はじめはクルマではなく蒸気機関車を相手とする仕事だった。仕事の合間にモーターサイクルでレースに参加するうち、彼の興味はエンジンに向けられていき、退職後、レーシングエンジンの開発を本格化させたのが第一次大戦のあと。
1920年代になると、イギリス内外のレースに参加。なかでもルマン24時間レースでは、“ベントレー・ボーイズ”の活躍により、1924年から1930年の7年間に5度の優勝を手に入れ、その名を知らしめた。しかし、経営状況は厳しく、1931年にはロールス・ロイスに買収され、かろうじてその名を残すことになった。
その後67年のあいだロールスの支配が続くが、1998年に転機が訪れる。フォルクスワーゲンがベントレーの名前とイギリスのクルー工場を買収。これによりベントレーはロールスとは別の道を歩みはじめ、「コンチネンタルGT」を皮切りに、「コンチネンタル・フライングスパー」「コンチネンタルGTC」といったニューモデルの投入により、見事、高級車市場での復活をはかった。さらに、2003年のルマン24時間では73年ぶり、6度目の優勝を手中に収めている。