CITROEN C6|シトロエンC6|第4回 (前編)|「久々に涙モノのシトロエン」
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2015年4月13日

CITROEN C6|シトロエンC6|第4回 (前編)|「久々に涙モノのシトロエン」

CITROEN C6|シトロエンC6|

第4回 (前編)

「久々に涙モノのシトロエン」

斬新さを身上とするブランド、シトロエン。そのフラッグシップサルーン「C6」には、他車にはない独自の魅力が感じられるという。

文=下野康史写真/ILLUSTRATION=CITOROEN

一目で“他とは違う”とわかる奇抜な衣を纏ったシトロエンの旗艦「C6」。久々のビッグ・シトロエンは、2006年10月に日本上陸を果たした。

シトロエンを読んで泣いた

中島らもの『健脚行----43号線の怪』という小説に、シトロエンが登場する。『油圧式の気むずかしいクルマ』と、わざわざ主人公に説明させているから、ハイドロ・ニューマチック・サスペンションの大型シトロエン、おそらくは「CX」と思われる。

ホラー小説集『人体模型の夜』で初めてこの短編を読んだのは、らもがまだ元気で、八面六臂の活躍をしていたころである。エッセイでも小説でも、この作家がクルマをフィーチャーするのはたいへん珍しい。というか、ぼくが知る限り、この作品が初めてである。

大酒飲みだから、もともと運転には興味がなかったのか。印刷会社の営業マンだったころの昔話にも、自分のクルマで走り回ったという記述は出てこない。免許も持っていなかったのかもしれない。

それがいきなり、ハイドロ・シトロエンである。しかも怪談話だ。ウキウキ読み始めると、怖くはなくて、むしろエエ話だった。とくに、シトロエンに乗る主人公と競輪選手の幽霊が追いかけっこをする幻想的なラストシーンは、胸に迫る。最後はンガンガ泣きながら読んだ。

昔、路上で自分のシトロエンに泣かされたことは何度かあるが、シトロエンを読んで泣いたのは初めてだった。

まるでナマズのようなフロントフェイス同様、サイド&リアビューもきわめて個性的。滑らかな曲線を描くサイドビューから、鳥の足先のようなテールランプ、そして車内に向かってえぐられたようなリアウィンドウなど、強烈なインパクトを放っている。

ハイドロ・サスの御利益

「C6」は久々に涙モノのシトロエンである。先代「XM」の空席を埋めるフルサイズ・シトロエン。プジョーとの部品共通化が進むなか、、存続を危ぶむ声もあったハイドロ・サスの最新型でもある。

油圧エアスプリング及びダンピング機構そのものは、ひとクラス下の「C5」に使われているものの発展型だ。C6は、かなり柔らかめに味つけされていることから、昔のハイドロらしさが戻ってきたという声が高い。

だが、冷静に考えて、いまのハイドロ・サスに、それほど大きな現世御利益があるとは思えない。熱心なシトロエニストならともかく、ふつうのクルマ好きがC6のステアリングを握ったとしても、あ、このサスペンションはほかとまったく違うなと感じるほどの差異が、果たしてあるかどうか。

技術解説:ハイドロ・サスとは
シトロエンのお家芸ともいえるのが、世にいう“ハイドロ・サスペンション”。スプリングのかわりにオイルとガスを封入した球体(スフィア)を用いる技術で、その乗り心地は「魔法のカーペットに乗っているような」とも表現される。

その発展型が、C6に搭載される「ハイドロニューマティック・アクティブサスペンション」だ。積極的に電子制御され、速度や路面に応じて車高は3段階に自動変更。車内のスイッチでも4段階に調節できる。さらに別のスイッチで「コンフォートモード」「スポーツモード」も選ぶことが可能だ。

C6に搭載される「ハイドロニューマティック・アクティブサスペンション」の模式図。(2)がスフィアにあたる。

           
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