TOYOTA iQ|トヨタ IQ|第26回 (後編)|もっともエコ・コンシャスなクルマの1台
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2015年3月31日

TOYOTA iQ|トヨタ IQ|第26回 (後編)|もっともエコ・コンシャスなクルマの1台

第26回 TOYOTA iQ(後編)

もっともエコ・コンシャスなクルマの1台

「脱・石油」「離・石油」の時代に、トヨタがリリースしたマイクロカーiQ。新世代のプレミアムカーを謳う同車の走りやいかに。

文=下野康史写真=トヨタ自動車

高速道路でのすぐれたスタビリティ

短いノーズに収まるエンジンは、ヴィッツやパッソに使われている1リッター3気筒DOHC。変速機もおなじみのCVTだ。停車していると、3気筒特有のかすかな振動はあるが、パワーは必要にして十分だ。遮音性の高いフロントガラスを採用するなどして、静粛性にも留意している。

乗り心地はスマートより快適だ。ホイールベースが短いクルマにありがちな、ピョコピョコした揺れはない。寸詰まりでも、全幅はしっかり広くとられているので、操縦性は安定してる。横風に対する抵抗力など、高速道路でのスタビリティはリアエンジンのスマートよりすぐれる。狭い道でUターンしてみると、小回りもスマートよりきくので驚いた。

ボディサイズは全長2985×全幅1680×全高1500mm。1リッター直列3気筒DOHCエンジンは最高出力50kW[68ps]/6000rpm、最大トルク90Nm[9.2kgm]/4800rpmを発生する。

CO2排出量はプリウスを上まわる

燃費に直結するCO2排出量は99g/km。つまり、1km走行あたり平均99gの二酸化炭素を出す。これは日本仕様のスマートやハイブリッドのプリウスをしのぐ好データである。200キロほど走って燃費を測ったら、14km/ℓ弱だった。プリウスには歯が立たないが、スマートよりはいい。1000ccのヴィッツより車重は約100kg軽いから、それだけ燃費もいいはずだ。いずれにしても、もっともエコ・コンシャスなクルマの1台にはちがいない。

ぼくが初代スマートを乗り継いできたのは、小さいからでも、燃費がいいからでもない。いや、もちろんそれらは大きな魅力だが、それだけではない。いちばんのチャームポイントは“楽しいから”である。最初のカブリオは、オープン2シーターそのものだった。いまのブラバスは、2シータースポーツカーである。そういう点で、iQはちょっと物足りないと思った。まあ、ファン・トゥ・ドライブより“プレミアム”なのだから仕方ないか。

全長3m未満のボディに4人乗りの空間を実現。9つのエアバッグを備えるなど、安全性能にもぬかりがない。価格は140万円から160万円。

ひとつ気になったのは、せっかくの超コンパクトサイズなのに、視界があまりよくないことである。最近のクルマとしてはウエストラインが高く、ウィンドウの天地が低い。ダッシュボードも高めだから、室内にいると、開放感はいまひとつだ。だから、スマートのようにオープンモデルを出してもらいたい。こまっしゃくれた高性能モデルなんかもおもしろそうだ。ぼくはプレミアムよりファン・トゥ・ドライブを応援したい。

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