アルファ ロメオ 4Cに試乗|Alfa Romeo
Car
2015年1月5日

アルファ ロメオ 4Cに試乗|Alfa Romeo

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

アルファ ロメオ 4Cに試乗

今年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアを飾った、アルファロメオ「4C」。そのステアリングを握る機会がついにやってきた。場所はアルファロメオの聖地、イタリア・バロッコ。アルファ渾身のライトウェイトミッドシップモデルの実力を西川 淳氏がためす。

Text by NISHIKAWA Jun

夢のようなひととき

イタリアンブランドをためすためにイタリアへ。いつだって、期待に胸が大きく膨らむものだ。スポーツカー好きにとって、それはワクワクドキドキ最大級レベルの経験、なのだから……。


今年も既に何度となくイタリアを訪れて、いろんなイタリアのスポーツモデルに試乗してきたわけだけれども、今年イチバンの“期待”は何?と、年初あたりにでも問われていれば、今回の主役、アルファロメオ「4C」だ、と、躊躇わずに応えたことだろう。


実際、試乗会当日の朝、バロッコ(アルファロメオの聖地であり、今やフィアットグループ全体のテスト開発サーキット)に近いゴルフリゾートホテルの一室で目覚めたとき、真っ先に脳裏に浮かんできたのは、真っ赤な4Cの艶やかなスタイリングだった……。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

夢のようなひとときは、素晴らしいプレゼンテーションで始まった。

バロッコのサーキットコース上に立つ、見慣れぬ四角い建物。側壁には大きくロゴと4Cの文字が。外で出迎えてくれたのは、伝説のスーパーカー、アルファ ロメオ「ティーポ33 ストラダーレ」とそのレースバージョン。白い建物は、なんとコース路面の一部に覆いかぶさるように建っており、なかにはメインスタンド風のプレス席が舗装路に面して設えてあった。


轟音とともに、ロッソコンペティチオーネの4Cが、建物内に飛び込んでくる。走ってきたクルマを前にして、アルファロメオ&マセラティブランドCEOのハロルド・ウェブスター氏によるプレゼンテーションがはじまった。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

つづいて、デザイナーとエンジニアが、実車を使ってそれぞれの分野を詳説する。実車と内部構造のバーチャル画像を組み合わせた映像がモニターに映し出され、盛大なエグゾーストノートが“室内”にこだまし、華麗なローンチスタートと見事なフルブレーキングをメディアの眼前で披露した。


こんな刺激的なプレゼンテーションは初めてだ。
そして、アルファロメオの開発陣は、何度もこうアピールした。
これは、「だれにも所有可能なスーパーカーである」、と。

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アルファ ロメオ 4Cに試乗 (2)

車両重量は、なんと895キロ

いたずらにエンジンパフォーマンスを上げるのではなく、馬力あたり重量(=パワーウェイトレシオ)を下げることで、スーパーカー級の高性能を得たい。それが、4Cの技術的ハイライトだ。


軽量化は確かに徹底されている(たとえば内装の見栄え質感の割り切りや、ダンパーのないエンジンフードなど)が、イギリス車のようにストイック過ぎないあたりが、イタリアンセンスであろう。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

そして、軽量化に貢献する最大のポイントが、炭素繊維樹脂(CFRP)で作られたモノコックボディ構造である。しかも、オートクレーブを使った“プリプレグ”方式という、CFRP界においては最強の成型方法を採った。


モノコックボディ単体で、わずかに65kg。車両重量は、なんと895kgで、肝心のパワーウェイトレシオはといえば、4kg以下(最小重量仕様で3.85)。エアコンなしのイタリア式ドライウェイトであっても、驚異的な数字であることにはちがいない。

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アルファ ロメオ 4Cに試乗 (3)

すべては軽量化のために

ドライバーの背後に置かれているのは、1,750ccのオールアルミニウム製直4直噴ターボエンジン。基本設計こそジュリエッタ用とおなじものだが、ブロックやシリンダーライナー、吸排気系、フルカウンターのクランクシャフトなど、随所に専用設計がほどこされており、単体重量も22kg軽く仕上がった。


あらたに専用プログラムでアップデートされ、ローンチコントロールもそなわった、乾式6段TCT(2ペダル デュアルクラッチシステム)を組み合わせている。フルスロットル時のシフトアップタイムは、なんと130ms。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

アルファロメオ4Cのパフォーマンススペックは、まちがいなくスーパーカーに迫るものだ。エンジン排気量がモノをいう最高速度こそ258km/hと平凡な数値に留まるが、0-100km/h加速は4.5秒というから、フロントエンジンの高級V8スポーツカーにも食らいつく。

試乗車は、ロッソコンペティチオーネに塗られたレースパックオプション仕立て。前後タイヤ&ホイールがそれぞれ1インチあげられ、スポーツエグゾーストやスポーツサス、レザー&マイクロファイバーハンドルが与えられていた。カーボンヘッドライトベースやバイLEDヘッドライトもオプションだ。

ドアを開けると、カーボンファイバー柄がむき出しのサイドシルが目に飛び込む。特別なスポーツカーであることの、それは証である。やや高めのサイドシルを乗り越えて潜り込んでしまえば、コクピット内の空間はじゅうぶん。着座位置は、かなり低め。


全ての操作系やメーター類が小ぶりにまとまっている。バイク感覚の、非常にスポーティなダッシュボード周りだが、見栄え質感はさほど高くない。むしろ、安っぽく感じられることだろう。けれども、それもまた、軽量化のためだった。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

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アルファ ロメオ 4Cに試乗 (4)

楽しくてしょうがない

オプションのレーシング・エグゾーストシステムのせいだろう。背後のサウンドは猛々しい。細かな振動も容赦なく伝わってくるけれども、スポーツカー好きならかえって気分が盛り上がる、と思えるレベルだ。


「アルファ ロメオ D.N.A.」と呼ばれるドライブモード選択をN(=ノーマル)にして、フルオートマチックで走りだした。ノンパワーゆえに、発進時のステアリングはかなり重いが、動き出してさえしまえば、軽さが印象的になる。しかもそれは、四肢がしっかりと路面に踏ん張る類の軽快さ。車体にはかなり“しっかり感”があり、そのぶん、ダイレクトさが心地いい。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

しばらくオートマチックでバロッコ郊外のカントリーロードや村道を楽しむ。乗り心地はフラットかつハードだ。ガツンガツンと車体は常に硬く反応している。けれども、ドライバーにとって不快な硬さではなかった。


前方が開けた。たまらずD.N.A.スイッチのD(ダイナミック)を長押しして、レースモードでフルスロットルを試みる。加速フィールは、強力のひとこと。アッという間に、200km/h近くに達する。しかも、安定しているから、恐怖感がない。ブレーキの利きも素晴らしく、コントローラブルだ。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

シフトアップそのものも非常に早かった。もう少し、キレ味のよさを演出してくれてもよかった気がしたが、変速時間はやはり、相当に短い。アクセルオフ時のバックタービン音は、イマドキちょっと、お下品か。

ターボラグもほとんど感じない。それはまるで、トルクの太いNAエンジンのようである。車体の軽さと相まって、細かなスロットルワークにもよく反応し、アクセルを加減しながら走ることが楽しくてしょうがない。

もっとも、5,000回転以上のエンジンフィールはさほど官能的ではない。回して楽しいエンジンでないことが、アルファロメオとしては、残念だ。

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アルファ ロメオ 4Cに試乗 (5)

等身大の、そして実現可能なスーパーカー

バロッコの特設サーキットでも試乗する機会に恵まれた。 


どこまでもフラットに徹するハンドリングが印象に残った。特にハイスピードコーナリング時の安心感と、腰を中心にして回っていく感覚が、たまらなく気持ちいい。


一体感にみちているから、とても扱いやすい。ミドシップカーのハンドリングにありがちなピーキーさがまるでない。前アシが常にしっかりと路面に張り付き、リアがブレークすることを心配することなく、ガンガン攻込んでいける。ブレーキペダルも含む右足の操作に、車体が素直な前後左右の反応をみせてくれるから、楽しいし、結果的に速く走れるというわけだ。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

運転が難しいといわれるミドシップカーでありながら、誰でも存分に楽しませてくれる懐の深さもまた、4Cの大きな魅力である。


ローンチエディション(世界1,200台限定、アジア200台、日本への割り当て台数は不明)の日本価格が、730万円と発表された。ということは、日本仕様のベースモデルには、600万円台後半のプライスタグがかけられることは確実だ。なるほど、これは等身大の、そして実現可能なスーパーカー、である。


価格や装備など日本仕様の正式な発表は、来年。デリバリー開始は、早くて来春、遅くとも初夏、になるという。

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C

Spec|スペック

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C
ボディサイズ|全長 3,989 × 全幅 1,864 × 全高 1,183 mm
ホイールベース|2,380 mm
重量|895 kg
エンジン|1,742cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 177 kW(240 ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|350Nm/ 2,200-4,250 rpm
トランスミッション|6段オートマチック(6段アルファTCT)
駆動方式|MR
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後|ストラット
タイヤ 前/後|205/45R17 / 235/40R18
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク 305×28 mm
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク 292×22 mm
最高速度|258 km/h
0-100km/h加速|4.5 秒
100-0km/h減速|36 m
燃費(NEDC値)|6.8 ℓ/100km(およそ14.7km/ℓ)
CO2排出量|157 g/km
燃料タンク容量|40 ℓ
トランク容量|110 リットル
価格|56,000 ユーロ

           
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