iQの3倍の価値をどこに見出すか？

アストンマーティン シグネットは、同社として、はじめてのコンパクトカーで、その価格については以前から非常に注目されていた。今回発表されたのは、ローンチ時に発売されるモデルの一部内容と価格だ。

まず、今年4月の発売時に登場する特別仕様車の存在だ。その名も「ローンチエディション」と名づけられたもので、ボディカラーはホワイトとブラックの2色が用意される。トランスミッションは既報どおり6速マニュアルが標準、オプションでCVTも選択可能である。エンジンについては、現行のトヨタ iQが積んでいる1.33リッター デュアル VVT-iエンジンで、72kW(98ps）、123Nm（12.5kgm）を発生させつつ、CO2排出量は120g/kmを目指しているとされる。

ローンチエディションにあたえられたのが、ホワイトとブラックの2色のみとはいえ、非常に凝ったペイントがなされているようだ。ホワイトは、「スノーホワイト」という、比較的おとなしめのボディカラーで、フロントマスク中央部からテールにかけてシルバーメッシュのストライプが入る。足もとには、おなじくホワイトのアルミホイールを装着する。インテリアは手縫いのパールホワイトレザーに穴をあけたサテンクローム色のアルカンターラ素材が組み合わされる。

対するブラックは「マジックブラック」と名づけられたカラーで、これは、緑色のような深海の色に見える効果をもっているという。ストライプはマットなブラック、ホイールもダークなクローム塗装がなされ、インテリアももちろん黒で統一された精悍なつくりに仕上がっている。

また、このローンチエディションには、ビル・アンバーグがシグネット専用に特別にデザインしたバッグが用意されている。素材はブラックレザーと化学繊維の組み合わせで、グローブボックスバッグ、取り外し可能なドアポケットバッグ、ホールドオール、ガーメントバッグ、折りたたみできるトートバッグの5つからなる。

装備面では、ABSや9エアバッグ、スタビリティコントロール、電動ブレーキアシストのほか可倒式ドアミラー、キーレスエントリー&スタートシステム、ナビゲーションシステムなどが用意されるとしている。

そして、注目の価格は3万995ポンド（約410万円）からだと発表された。これは、英国国内においては、メルセデス CクラスやBMW 3シリーズ、アウディ A4などDセグメント各車と同程度の価格で、ベースとなったトヨタiQに比べ2万1,000ポンド（約278万円）も高いプライスタグがかかげられる。つまり、ベース車両より3倍も高価というわけだ。アストンマーティンというブランドや技術力、内外装の装備や質感にそれらの価値を見いだせるか否か、シグネットの成否がかかっているといえるだろう。

このシグネット、ローンチ時の発売は欧州に限定されるが、2012年からはそのほかの地域でも販売する予定だという。