連載・藤原美智子 2014年5月|大人の女性が輝くためのホリスティック美容
女性を輝かせる根源とは ~私がそこに辿り着くまでの道のり~
「大人の女性が輝くためのホリスティック美容」
5月20日に私の新著、『大人の女は、こうして輝く。』(KKベストセラーズ)が発売されました!! 内容はタイトルのとおり、大人の女性が輝くために必要な事柄を綴ったものです。この連載で紹介していることも多く載っていますが、精神論からメイク論、食や栄養、運動、日常生活といった外見的にも内面的にも私が体験したり、日々、実践したりしていて「これは大事!」と思っているアレコレを紹介しています。
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Photographs&Text by FUJIWARA Michiko
内面の魅力を引き出すメイクができるアーティストになりたい!
私はヘア&メイクアップアーティストの仕事をするようになって、今年でちょうど35年になります。この仕事に就いたときは、こんなにも長くつづけるなんて想像もしていませんでした(笑)。その当初から、そして今でも変わっていない想いがあります。それは「内面の魅力を引き出すメイクができるアーティストになりたい」ということです。たとえば男っぽく振る舞っているけれど、本当は繊細な気持ちをもっている少女らしい人だと感じたら、それを魅力としてメイクで外見にあらわすというようなこと。それを的確に表現できるためにも、いろいろなテクニックを身につけたいと思ったし、いろいろな魅力に気づける人間になりたいと思いました。それが私のアーティストとしての原点であり、核となったように思います。
また多くの女性の顔に触れていくうちに、女性の美は25歳ぐらいを過ぎると、もって生まれたものよりも、内面的なものが外見を大きく左右するようになることに気づきました。日常的に何をどんな風に考えたり、思ったり、行動しているか。そうしたことが歳を経るごとに、顔つきにあらわれてくるからです。住まい方なども、良くも悪くもその人の外見に染み込んでいくようです。あるいは、自分らしさを知ること(つまり自分自身を知るということ)がどれだけ大事かも痛感して、今から思うと私は20代後半はそればかり考えていたように思います。
「身体と心はつながっている」ということに気づいた!
そして34歳のときに事務所を立ち上げたのですが、それによって内面を見つめていた日々から解き放たれたように、一気に行動する人生へと変わりました。自分の限界を伸ばすことによろこびを感じて、仕事漬けの日々を送るようになったんです。でも、それが祟って40歳の頃には首は曲がらず、背中全体は鉄板が入っているかのように硬くなって、朝起きるのも辛いほどになっていました。それをなんとかしようと整体やマッサージや鍼(ハリ)などに通って、身体が少しずつ楽になっていったある日。身体だけではなく、心も軽くなっていることに気づきました。「身体と心はつながっている」ということに気づいた瞬間でした。また、それは身体の堅さや歪みを正して「もっともっと、身体も心も軽やかになりたい!」という私の生涯の(!)目標が生まれた瞬間でもありました。42歳のときです。
それ以来、ストレッチに励んだり、定期的にマッサージに通ったりして、身体の強張りが少しずつ緩んでいったのですが、それに合わせて少しずつ外見も変化していることに気づきました。背中の贅肉がとれてきたり、全身のむくみがとれてきたり。また顔の歪みやたるみが軽減されてきたり、目がパッチリと見開くようになったり……などなど。こうしたことから「身体を正すことは、健康と美の基本のキ」という持論が生まれたのです。
「人は口にするものでつくられる」という実感
そして、だいぶ身体にしなやかさが蘇ってきた46歳の頃。ひょんなことから“食”に目覚めることになりました。無農薬・有機野菜の宅配のチラシが自宅の郵便ボックスに入っているのを見つけ、興味本位で注文してみたんです。その当時はまだ「無農薬・有機野菜」という言葉は一般的ではなく、珍しかったからです。送られてきた野菜を食べてみたところ、そのおいしさにビックリ! それだけでなく、野菜の生命力も味わうことができました。子どもの頃にも、そのような野菜を食べていたと思うのですが、大人になってからは「○○のレストランがおいしい」とか「こんな料理、食べたことがない!」といったことばかりに興味が向いていたので、本来の素材のおいしさというものに無頓着になっていたのでしょう。
こうして野菜本来のおいしさに目覚めた私は“欲”を重視した食事ではなく、“食”そのものに興味が湧いてきて、いろいろな食餌法を試すようになりました。「マクロビオティックにはこんな効果がある」、「タンパク質を重視する食餌法をすると、こんな効果がでる」などなど。最近では、この連載でも紹介したローフード(12年5月連載)にはまって、それがきっかけで畑を借りて野菜作りを始めたり(12年11月連載)、栄養学の学校に通ったりしました(13年9月連載)。このように、いろいろな食餌法を試したり、野菜を作ったり、学んだりすればするほど“食”の奥深さを痛感すると同時に、「人は口にするものでつくられる」ということも実感するようになりました。そうそう、早寝早起きの生活スタイルに切り替えたのも、46歳の頃。食べるものが変わったことが、行動にも影響したのかもしれません。
ついにたどり着いた、「大人の美容」とは
また50歳のときに取材を引き受けたことがきっかけでマラソンを始めたのですが、それをつづけられたことが自信となり、若い頃、中途半端に終わっていたヨガに再挑戦してみる気に。そして、さらに正しい筋肉の使い方を学びたいという欲が出てきて、最近はピラティスの個人レッスンを受けています。このように徐々に身体を正しく使えるようになってきて、実感したことがあります。それは「今までの私は普通に“立つ”ことも、頑張って立っていたんだなー」ということです。素直な筋肉になると何の苦労もなく、力まなくとも楽に身体を使えるようになる。そして、それこそ私が目指している「軽やかさ」にダイレクトにつながるということに気がついたんです。
このように若い頃に重視していた内面性に、身体、食、生活習慣、運動といった具体的な事柄が少しずつ加わっていき、最近、それらがやっと混じりあってきたというように感じています。そしてすべてがバランスよく保たれているときにこそ人は幸福を感じるし、こうしたホリスティックな美容を積み重ねていくと幸せ度がより増していく。そして、それこそが女性を輝かせる根源になるということを確信するようになりました。つまり大人の美容というのは幸福感を積み重ねていくためにするものであり、そうした幸福を感じるからこそキレイになるのであり、輝くということなのです。
――なんだか今月の連載は書きはじめたら、はからずも、今までの自分の人生を振り返るような内容になってしまいました(!)。というのも今回の本の執筆を進めながら、これからは女性の美というものをメイクだけではなくホリスティックに捉えて、より広い視野からキチンと発信していきたいという気持ちが高まっているからだと思います。そして今までの自分の道のりは、ここに行き着くまでのものだったのではないかと思っているからです。そうした自分の気持ちを文面で確認したかったからなのでしょうね。私の体験から生まれた、大人の女性が輝くためのホリスティック美容。それをまとめたものが、この本です。ぜひ、読んでみてください!