小林ひろ美│2009年秋冬ビューティトレンド(4・最終回)「45+(plus)用のアイテム編」
小林ひろ美の2009年秋冬ビューティトレンド(4・最終回) 45+(plus)用のアイテム編
「45歳は、もうひとつのお肌の曲がり角」
オウプナーズBEAUTY恒例、ビューティディレクター・小林ひろ美さんに聞くビューティトレンド。
2009年秋冬の最終回は「45プラス用のアイテム」です。
まとめ=染谷晴美写真=高田みづほ
これまで使っていた化粧品が合わなくなる年齢、それが45歳
いまは各社、エイジングケアに力を入れていますが、なかでも最近目立ってきているのが、45歳以上をターゲットにしたアイテム=45プラス用アイテムです。いままでは“25歳”がお肌の曲がり角と言われてきましたが、じつはもうひとつ、45歳というのも、女性にとってはお肌の変わり目。
ひと昔前の45歳とちがって、いまの45歳は見た目も意識もだんぜん若いのだけれど、やっぱりホルモン的なものとしては変化が出てきていて、たとえば、「これまで使っていたローションではちょっとつっぱって入らない気がする」とか、「ビビッドピンクが似合わなくなってきた、これはもしかして肌がくすんでいるせい?」というようなことを突然感じはじめるのが、45歳なんですね。
大丈夫、私はまだまだ若い! という精神的なものだけでは引っ張ってこれないところに来てしまって、だんだんに女性ホルモンが味方をしてくれなくなりつつあるから、そのまま放置するとどんどん乾いていっちゃうし、水を蓄えられない肌になってしまう。
ではどうすればよいか、ということで出てきたのが45プラス用のアイテム。“45歳肌の悩み”に対して効果的なものをポンと入れてケアしていくことによって、お肌の変わり目を上手に乗り越えられる。具体的には、フランスのブランドがぐぐっと攻めてきています。
ストーリー的にも原点に帰る素材は、とても説得力があります
45プラスのアイテムは、からだのなかに働きかけるということから、原料も“自然のパワー”が感じられるものが多いですね。原点回帰というか、「え? こんな昔からあるものでいいの?」という素材。アフリカ原産だったり、ヒマラヤの高いところに自生しているものだったり。そういうトライバルなところや、民族のなか入り込んじゃって秘伝のモノを譲り受けましたというような、ストーリー的にも原点に帰る素材はとても説得力があります。
ekiaというブランドもそのひとつ。アマゾンにある“サングレデルドラゴの樹液”を全商品に配合しています。
このブランドはそもそも、フランスの大手化粧品会社で働いていた女性が、更年期で悩んでいた母親のために立ち上げたブランド。母親をなんとか元気づけたいと、一年間休みをとって原料探しの旅に出た彼女が、世界中をまわるなかでサングレデルドラゴの樹液に出合ったことが、すべてのきっかけです。
その樹液は血のように真っ赤な色をしていることから、ブラッドツリーと呼ばれていて、古くから、現地では傷や潰瘍の治療に用いられていた秘伝の成分。
彼女はすぐさま「これだ!」と思ったそうですよ。これは枯れつつある肌を元気にさせてくれる成分だと。そして、独自の研究で肌細胞を活性化させる働きがあることをつきとめ、念願の商品化を果たした。過程のひとつひとつにストーリーがあって、これ以上ない説得力。がぜん使ってみたくなりますよね。
強力なパワーのあるハーブ、東洋の思想、内と外からの総合的なアプローチ
OENOBIOLは、まさしく45歳以上の女性の商品ということで、その名もずばり「45プラス」というサプリメントのシリーズを出しています。もちろん、素材はハーブがメイン。水をしっかり入れながら、水はけのよいからだにするためのサプリなど、目的別にいろいろ揃っています。
Lilas Blancのアンチエイジング用サプリメントも、フランスでは人気が高いですね。乾燥させたハイビスカスからつくられたタブレットは、目のまわりのめぐりをよくさせることで、シワやくすみなど、気になる目もとのトラブルを改善にみちびいてくれます。
この2つを代表的なものとして、45プラス用アイテムは、比較的サプリ系が目立ちます。強力なパワーのあるハーブを飲むことで、からだのなかからアンチエイジングをする。それはつまり、肌本来のちからをとりもどすということなんですね。
VISOANSKというブランドからはこんなユニークなアイテムも。この美容液は45プラスのマチュアな女性のためのものなのですが、マチュアな肌になってくると「ただつけるだけじゃだめだから内側からも」ということで、ボトルの下にサプリメントケースがついていて、なかにタブレットが1ヵ月分入っているんです。この“飲んで、塗る”という発想は、皮膚科のドクターによるもの。なるほどなぁと思います。
つづいて、カウンセリング系のブランドMY BLEND。これはアンチエイジングに限らず、どうしようもない“へこたれ肌”をなんとかしてくれるドクターズコスメで、カウンセリングによって、効果別に何種類もあるアイテムから、そのひとに合ったものを選んでくれるシステム。注射器のような容器に入った美容液をクリームに注入し、かくはんして使い切るというプロセスはドクターズコスメならではです。
日本のブランドでは、東洋エイジング思想に着目した、アユーラの「センシエンス」シリーズが代表格。厳密には、45プラスよりちょっと若い、アラフォー世代に向けたシリーズですが、考え方はまさしく45プラスです。
東洋では「女性は七年を一紀として成長過程が変わる」と考えられていて、7歳、14歳、21歳、28歳と、だんだんと大人の女性へと成長していくのだけれど、35歳になると急に、顔に疲れやくすみが出はじめるといったマイナス方向に転換するのだとか。35歳のつぎは42歳、49歳……。ドキッとしますね。
ロート製薬から今秋誕生したエピステームも注目ブランドです。肌老化を“加齢、光老化、酸化、糖化”という4つの視点でとらえ、内と外から総合的にアプローチするという点が新しい。この独自の“トータル・エイジングコントロール・システム”は、アンチエイジング医療を応用したものなのだそう。改めて、アンチエイジングは内外美容なのだと実感します。
化粧品を“選んで使いこなす”ことができれば、美容はもっと楽しくなる
45プラスになってくると、「どこの誰がつくったのだろう? そこにどういうストーリーがあるのだろう?」ということに関心をもちはじめる。テクノロジーよりもトレーサビリティ(生産履歴管理システム)。“昔からある秘伝”のもののほうがだんだん好きになる気がしますし、実際、45歳からはそういうもののほうが効くのではないかとも思っています。
化粧品は年々進化している、そしてだんだんセグメントされてきている。いままでみたいに、“大人の女性の”じゃなくて、“45からの”とか。アユーラのように、7年ごとに肌は変わるというドキッとするようなピンポイントでがちっと抑え込むとか、完全にエコロジカルなものだとか、いろいろに分かれてきています。
ハイテクなものがあるいっぽうで、あえてローテクにしているものもあり、それぞれのメッセージ色が強くなって、マーケティングも細かくなっているのだけれども、私たち消費者はいまひとつそれに追いつけていなくて、だからどれを使っていいかがわからない。そこに大きなエアホールみたいなものができてしまっている感じがしますね。
でも、それはじつにもったいないこと。せっかくいいものが揃ってきているのだから、消費者も選ぶということをしないともったいないですよ。積極的に“選んで、使いこなす”です。化粧品にふりまわされるのではなくて、自分が中心になって消化させる。それができると、これからの美容はもっともっと楽しいものになるはずです。
※商品はすべて私物