OPENERS CAR Selection 2014 西川淳 篇
OPENERS読者におくる2014年の5台
OPENERS CAR Selection 2014 西川淳 篇
2014年も終わりつぎの1年も見えてきたこの時期だからこそ、あわてずじっくり振り返った「OPENERS Selection 2014」。昨年登場した数おおくのクルマのなかでも、西川淳氏が注目したモデルはこれだ。
Text by NISHIKAWA Jun
ただ乗りたいがために乗る
とにかく子供のころからスーパーカーが大好きで、そのまま自動車ライターになったような人間なものだから、いくら世の中の興味が、燃費性能や次世代パワートレイン、便利なテレマティクス、安心の自動運転、なんかに集まったとしても、そこに自身の活動を特化することなど、まったくもってありえない。実際、エコカー記事執筆による収入は3パーセントにも満たなかった(2014年)。
もちろん、スーパーカーにだって、今ではハイブリッドシステムも活用されているし、燃費向上に重要なエアロダイナミクスやマテリアルミックスといった興味深い最新テクノロジーがいっぱいある。なかにはいつしか実用車の領域へ還元される技術もあるだろうから、今から学び取っておくことは大事なのだけれども、そういうことだって、まぁ二の次。
技術は手段でしかない。大切なのは、乗ってわくわくドキドキしたか、そこにスリルはあったか、乗ったあとでも気分が高揚していた、といった気持ちの方だ。古くさいけれども、それが主題でありつづけている。ずーっと。昔から変わらず。
ここに挙げた5台はみな比較的あたらしいモデルで、今年乗ってみて、心から感動し、真にスーパーだと思ったクルマばかり。なかにはもうずいぶん前にデビューしたモデル(ヴェイロン)もあるけれど、それでも21世紀の、エコ全盛の世の中にあえて生まれでてくれた、ボクにとっては頼もしいヒーローのような存在だ。彼らのおかげで、何はともあれボクは失業せずにすんでいるのだから!
2014年は、スーパーカーにくわえて、クラシックカーにもどっぷりとハマった一年だった。念願叶って、あのイタリア・ミッレミリアにも出場することができたし、日本のクラシックカー イベントにもずいぶん参加した。
世界的な“旧車ブーム”。週末ともなれば日本中でギャザリングやラリーが開催されるようになった。今あえて、古いクルマに乗る理由は何かと問われれば、そこに、“機械を操って走る”という、根源的な楽しさ=欲望の達成、があるからだとこたえる。現代のクルマが移動の手段としての性能を発展させたがゆえに徐々に失ってきた、人の本能をゆさぶる“運転の魅力”を、昔のクルマは、たとえ実用車であっても、持っている。だから、苦労や苦痛や苦難を乗り越えて、ただ乗りたいがために乗る、のだ。
運転したいから運転する、なんて贅沢が許される時代も、この先、そう長くはない。であればいっそう、今のうちに楽しんでやろうと思うのが人情というもの。2015年の今年も、クラシックとスーパーの二本立てでドライブするつもりでいる。
西川淳による2014年の5選
Pagani Huayra|パガーニ・ウアイラ
Koenigsegg Agera R|ケーニグセグ アゲーラ R
McLaren P1|マクラーレン P1
Bugatti Veyron 16.4 Grand Sport|ブガッティ ヴェイロン 16.4 グランスポール
Mercedes-Benz G 63 6X6|メルセデス・ベンツ G 63 6×6