Audi A5 Cabriolet(後編)|爽快さ、優雅さ、そしてスポーティな走り
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2015年4月13日

Audi A5 Cabriolet(後編)|爽快さ、優雅さ、そしてスポーティな走り

Audi A5 Cabriolet|アウディ A5 カブリオレ(後編)

爽快さ、優雅さ、そしてスポーティな走り

スタイリッシュなスタイリングが目を惹くA5クーペにカブリオレが追加発売された。自動車ジャーナリスト、小川フミオがその魅力に迫る。

文=小川フミオ写真=河野敦樹

クーペに通じるスポーティな運転感覚

アウディA5カブリオレに実際に試乗すると、意外?にも軽快感が強いのにまずうれしい驚きをおぼえた。フルオープン化にあたって、ストラットなどボディ各部に補強をほどこしたにもかかわらず、鈍重な雰囲気スポーツクーペという存在に甘んじておらず、クーペに通じるスポーティな運転感覚を楽しめる。

A5カブリオレの魅力の第1点はステアリング。まさに正確無比で、少ない操舵量で狙ったラインぴったりにクルマが進んでいく。その気持ちのよさは現在トップクラスといってもいい。いまのアウディのラインナップは、「新世代」と呼びたくなるほど、スポーティさが増していて、クルマを楽しみたいドライバーにとって筆頭にあげたくなるブランドになっている。
A5カブリオレも例外ではなく、「クルマを着ている」ように機敏に走らせることができる、まるでスポーツカーのような感覚をもつカブリオレ。なかなかお目にかかれないキャラクターだ。

クワトロシステムの恩恵で直進安定性は高いし、ソフトトップの耐候性は高いので長距離ドライブも苦もなくこなすというカブリオレ。バカンスのために1台持っていられたら、魅力的な生活が送れることは想像に難くない。普段づかいももちろんいいのだけれど、週末のためにこのクルマを車庫に入れておくような楽しみもまた捨てがたい。

A5カブリオレでもうひとつ感銘を受けるのは、やはりスタイリングだ。アウディは以前からセダンをベースにした4シーターカブリオレを得意としてきたメーカーだが、その経験の積み重ねがみごとに結実している。エレガントさとマッシブな力強さが両立していて、独自の個性となっている。フロントのウィンドシールドにアルミのガーニッシュを被せるのもアウディのカブリオレのアイコンともいえるデザイン手法で、太陽の光の下、輝きが美しく、一目でアウディと知れる個性の演出になっている。

ソフトトップの楽しみ方

ソフトトップを選択した理由は、軽量化など理知的な理由もあるだろうが、もうひとつ、トップを上げたときと下げたときの、2通り楽しめるのはオーナーのために用意された楽しみといえる。とくにソフトトップな何色も用意されているし(特別なプログラムでは好みの色を選べる)、それと車体色、あるいは内装色との組み合わせを考えるのは、このカブリオレだから許される楽しみなのだ。ソフトトップは黒、内装は明るい色にして、開けたときに周囲のひとが驚くような劇的な演出を考えるのも一興だと思う。

もうひとつ、スタイリングで特筆すべきは、細部の作り込み。最近のアウディの大きな特長であるLEDを組み込んだヘッドランプはその一例で、アウトバーンを疾走してきたクルマがアウディとわからせるためにたいへん有効なデザインだ。日本でも夜間、遠くからでも白いLEDランプが並んだヘッドランプでひと目でアウディと知れる。かつヘッドランプじたいもたいへん凝ったデザインで、細部にも美が宿ることをアウディはよく知っている。

おとなの楽しみである4シーターカブリオレ。アウディが作ってくれたことで、爽快さ、優雅さにくわえて、スポーティな走りを味わえようになった。こういうエレガントなクルマが増えるのは、クルマ好きにとってはとてもうれしいことだ。

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Audi A5 Cabriolet
ボディ|全長4625×全幅1855×全高1385mm
エンジン|3.2ℓ V型6気筒DOHC
最高出力|195kW[265ps]/6500rpm
最大トルク|330Nm[33.7kgm/3000~5000rpm
駆動方式|フルタイム4WD
トランスミッション|7段DTC(アウディSトロニック)
価格|784万円

アウディコミュニケーションセンター
0120-598-106

BRAND HISTORY
Audi(アウディ)のエンブレムは“フォーリングス”。その輪ひとつひとつが自動車メーカーのアウディ、DKW(デーカーヴェー)、ホルヒ、ヴァンダラーを表しているのはご存じだろう。いずれもザクセン州に本拠を置き、20世紀のはじめ、ドイツの自動車産業を牽引したブランドである。しかし、第一次世界大戦後に起きた世界恐慌の煽りをくらった4社は、生き残りをかけて、1932年にアウトウニオンを結成。DKWがモーターサイクルと小型車、ヴァンダラーが中型車、アウディが高級中型車、そして、ホルヒがラグジュアリーカーに特化する戦略をとることになった。

しかし、第二次世界大戦の敗戦により旧東ドイツのザクセンはロシアの占領下となり、アウトウニオンは消滅。これを見越して、旧西ドイツのバイエルン州インゴルシュタットに新生アウトウニオンが設立される。BMWやメルセデス・ベンツとちがい、工場のない状況からの苦しいスタートをしいられたアウトウニオンであったが、DKWデリバリーバンなどの生産により徐々に体力をつけていった。

1964年末にフォルクスワーゲン傘下に収まったアウトウニオンは、ほどなくしてアウディの名を冠した新型車を世に送り出す。そして1969年には、ネッカースウルムに本拠を置くNSU(“ヴァンケルエンジン”の開発で知られる)を合併し、アウディNSUアウトウニオンとなり、1985年からはアウディとして現在にいたる。クワトロをはじめとするテクノロジーと、モータースポーツ活動に裏付けられたダイナミック性能、エレガントなデザイン、そして、質感の高い仕上がりが、アウディの人気を牽引している。

           
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