山本浩未×渡邉季穂 親友対談 夢中になるものがあると、きれいになれる(3)
山本浩未×渡邉季穂 親友対談
夢中になるものがあると、きれいになれる(3)
「大人の女性の身だしなみとは」
美容誌や女性誌を中心にさまざまなメディアで活躍されている、ヘア・メイクアップアーティストの山本浩未さんを迎えてのビューティ対談、第3回。
きれいの土台となる、しなやかな筋肉をつくる。美容医療に頼らず“自前でどこまでできるか”の追求。今回のお話にはきれいの素がたくさん隠れています。
文=染谷晴美写真=北原 薫
しなやかな筋肉がつくと、こころもからだも強くなれる
――宝塚のほかにも夢中になっているものはありますか?
山本浩未 筋力トレーニングにハマっています。
大人の女性には筋肉が必要です。筋肉がしっかりしていないと、からだもこころもぐらっていっちゃう。以前の私がそうでした。運動もまったくしないし体力がなかった。でも、筋肉をつけたら、からだがとっても元気になって、さらには気持ちまで元気になったんです。
パーソナルトレーナーのもとでのトレーニングは、週1回1時間。それを8年くらい地道につづけてきてなんとか人並みになったので、昨年からはジムにも通いはじめました。
とにかく、筋肉がつくとこころもからだも強くなることを実感しているので、鍛えることに夢中になれる。健康のためにも美容のためにも、これからもつづけますよ。マッチョにならない程度にね(笑)。
渡邉季穂 ほしいのは“しなやかな筋肉”よね。私も加圧トレーニングを2年半くらいつづけているのでわかります。
浩未 季穂ちゃんは、トレーニングの効果が歴然。見た目が劇的に変わりました。
季穂 筋肉の質がぜんぜんちがう気がします。二の腕も引き締まって自信がつきました。
以前はしょっちゅうエステに通っていましたけど、加圧トレーニングをはじめてからはまったく行かなくなりましたね。だって、マッサージだけでそう簡単にボディラインが変わるわけがない。たしかに、やればきれいになるのはわかるんですけど、まずは土台である筋肉をきちんとしておかないとだめですよ。
浩未 同感! まずはしなやかな筋肉です。
――美容についてはどうですか、なにかハマっていることはありますか
浩未 私の美容のポリシーは、“自前でどこまでできるか”ってこと。いまは美容医療だとかいろんなものがありますけど、なるべくそういうものは利用せずに、歳相応の変化をしっかり見届けたいと思っているんです。
もちろん、仕事柄、美容医療が日本に入ってきたばかりのころは自分なりに調べてみたし、すごく興味がありました。でも、まわりの人たちがどんどん試すのを見てさめたというか、ふつうに歳をとったらどうなるのか、ふつうに使う化粧品でどう効果があるかというのを伝えられるひとが、ひとりくらいいてもいいのかなって気がして。
――じゃあ、いろいろな情報が入ってきても、それにはのらない
浩未 のりませんね。ひとがやっているのを見て、なるほどって確認はしますけど、私は私のやり方でいきます。自分の手とふつうの化粧品でどこまでいけるかを見極めるのも、美容家として、ひとつの道。自分の身をとおして、世の中の女性たちに伝えられたらと思っています。
きれいでいることは、自分のためであり、周りに対してのマナーであり
浩未 美容に関して、季穂ちゃんが偉いなと思うのは、人前に出るときはきちんとお化粧をしているところ。それに気づいたのは、はじめて一緒に行ったロサンゼルス旅行でした。
季穂ちゃんが長年お世話になっているというヘアスタイリストさんとお食事をすることになったのですが、約束まであまり時間がなかったんですね。となれば、とりあえずもう行かなきゃって、ふつうは思いますよね。でも、季穂ちゃんは、ちゃんとシャワーを浴びて、お化粧を直して、服を着替えてから行くの。多少遅れてもそうするのよね。
季穂 そのヘアスタイリストさんに教わったんですよ。女性は必ず、シャワーを浴びて、きれいにお化粧を直してから、ディナーに来るものなんだよと。
浩未 私にとっては結構衝撃でした。たしかにそうだよね、礼儀だよねって。
季穂 そう。身だしなみをきれいにしていくってことは、きちんとした場所を用意してくれるひとに対しての、れっきとしたマナーです。
――なるほど。身だしなみは、自分のためだけではなく、相手のためでもある
浩未 メイクアップアーティストの藤原美智子さんは、ずっと私にとってのディーバなんです。トークショーやメイクショーに行くと、いつもすてきな美智子さんがいて、そのお姿を拝見するのが、私はすごく楽しみだったし、うれしかったんですね。
で、いまは自分も人前に立つ機会がだんだんに増えてきたわけですが、そうなってみると気づくわけです、美智子さんが身だしなみに気を遣われていたのは、たぶん、いま言ったようなこと、きれいにすることが相手に対しての礼儀と考えていらしたからではないかって。
だから私も人前に出るときは、そこにいる方々によろこんでいただける身だしなみを心がけているんです。
季穂 その場にふさわしいメイクをする、ヘアスタイルをするっていうのは、とても大切なことです。
浩未 TPOね。よく「メイクがワンパターンになっちゃうんです」って言うひとがいますけど、答えは簡単。少し目線を変えてみればいいんですよ。華やかな席なのか、落ち着いた席なのか、シビアな席なのか、それに合わせてちょっとメイクを変えるだけで、与える印象はおどろくほど変わってきます。ほんのちょっとなんですよ、ほんのちょっと自分や周りを意識するだけで簡単に変われる。
季穂 身だしなみはテンションも左右します。食事をするにしても、相手がきちんとしていてくれたら、雰囲気も楽しくなって、料理もおいしくなるじゃないですか。つくづく、いつもきれいにしていなきゃいけないなって思います。
Profile
山本浩未(ヘア・メイクアップアーティスト)
資生堂美容学校卒業後、化粧品メーカーにて、ヘア・メイクアップアーティストとして、宣伝、広報、商品開発などに従事する。1992年よりフリーランス。
「生活者としてのきれい」をテーマに、美容誌や女性誌を中心にシンプルでわかりやすい美容理論を展開。メイクアップ、コラムの執筆、トークショーへの出演、化粧品の商品開発へのアドバイスなど、幅広く活躍中。