TRAVEL|過去と未来を繋ぐマカオは、“カジノ”で大きな夢を見る
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2015年4月2日

TRAVEL|過去と未来を繋ぐマカオは、“カジノ”で大きな夢を見る

TRAVEL|米・ラスベガスの賭博収入を抜いた世界一のカジノ都市“マカオ”

過去と未来を繋ぐマカオは、“カジノ”で大きな夢を見る

16世紀に東西貿易の中継地として、東アジアにおけるキリスト宣教の拠点として繁栄したマカオ。長くポルトガル領として知られるが、1999年に中国に返還され特別行政区となり、売上世界一のカジノを有するエンターテイメントシティとして変貌を遂げた。中国の広東省珠海市と隣り合うマカオは、一攫千金を狙う中国人をはじめとするアジア人と、東洋と西洋が融合した独特の魅力に惹きつけられる観光客が一年中行き交う。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)

中国の富裕層が足繁く通うマカオ

今回のマカオ訪問は、米・カジノ運営大手ラスベガス・サンズのマカオ部門「サンズ・チャイナ(金沙中国)」が運営するホテル&エンターテインメント複合施設「サンズ・マカオ(澳門金沙)」開業10周年セレモニーの取材のため。セレモニーには中国人をはじめ、アジア各地のメディア関係者が招待された。

マカオ=カジノというイメージは大いにあったが、ホテルの中心部を広々と使うカジノルームに集う中国人のカジノ熱を目の当たりにすると、中国の富裕層の広がりを感じずにはいられない。

サンズ・マカオ10周年|マカオ 05

サンズ・マカオ10周年|マカオ 10

というのも、マカオはカジノの売り上げでラスベガスの7倍を誇り、カジノ客の約7割は中国人だという。マカオへの訪問客も中国本土からは前年比10%の増加があり、2013年には1863万人を数えた。670万人の香港人、100万人の台湾人、47万人の韓国人、29万人の日本人に比べて圧倒的だ。中国の旧正月には、マカオのホテルが足りなくなるそうだ。

大人はカジノで遊び、儲けたらショッピングに興じ、子どもはドリームワークスのキャラクターと一緒に食事を楽しみ、ホテルで一夜を過ごす。巨大複合リゾート施設ならではの“お金のかかる”エンターテイメントが、すべて室内で快適に楽しめるのが、マカオ流楽しみ方の王道だ。

サンズ・マカオ10周年|マカオ 12

サンズ・マカオ10周年|マカオ 16

カジノによって恵まれた生活を送るマカオ人

外はうだるような暑さと湿気だが、ホテル(施設)内はじつに過ごしやすい。砂漠地にあるラスベガスと似たような過酷な環境のマカオだが、カジノの恩恵はまさにマカオ人の生活に直結する。

マカオの人口は、今年の統計で61万4500人で、失業率はなんと1.7%。地元のガイドも「働きたい意志があれば仕事はいくらでもあります。ただ1.7%ぐらいの人は、どこの国でも働きたくない人なのでしょう」と笑って解説する。

なにしろ2013年で一年間に2932万人ほどの観光客が訪れるが、それを支えるのが61万人のマカオ人だ。カジノのディーラーは、マカオ人しかなれない決まりがあり、とても安定した仕事で、ディーラーとしてのステップアップもあるそうだ。

ちなみに、客がついてない台のディーラーが手のひらを上にしているのは、監視カメラに対してなにもおこなっていないという証だそうで、観光バスの運転手もかなりいい収入を得ているという。

カジノからの上がり(税収)は、確実にマカオ市民に還元されていて、市民の税金は安く抑えられ、医療費、教育費はすべて無料。さらに年間約10万円ほどの年金も受け取るそうで、ガイドの家族はそのお金で毎年海外旅行へ出かけると話す。また、治安にかんしても、カジノ化以来、市街地には防犯カメラが張り巡らされ、犯罪は減ったそうだ。

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サンズ・マカオ10周年|マカオ 25

マカオで、日本の“カジノ化”を考えた

近年「日本にカジノを!」という声が年々大きくなっていて、自民党など超党派の国会議員がいわゆる「カジノ法案」の実現を目指していることもたびたびニュースで見かける。2020年に東京オリンピックの開催が決まり、政府は20年までに海外から日本を訪れる観光客を2000万人まで増やす目標を掲げているが、その目玉が、カジノ=統合型リゾート(IR)の創出だ。

実際マカオに行って、マカオ人から話を聞いて、カジノ付き複合型リゾートが実現すれば、雇用と税制面でのメリットは大きいと感じた。過疎にあえぐ北海道や、雇用の少ない沖縄などは、そのメリットだけみれば手を挙げているのは当然に感じる。

サンズ・マカオ10周年|マカオ 27

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ただ、カジノ・リゾートの実現は、単純に“カジノ=賭博”の導入というだけでなく、エンターテイメントの充実がカギを握る。家族で出かけ、みなで遊べる健全さが必要で、サンズ・コタイ・セントラルで体験したドリームワークスとのコラボレーションや、ラグジュアリーブランドが揃うショッピングモール、あらゆる料理が食べられるレストラン、さらに映画館やシアターなど、いわゆる富裕層だけではない人びとも満足できる巨大施設が必要となる。さらに、外国人誘致のためには語学サービスも必要だ。

そう考えると、日本のカジノ付き複合型リゾートは、東京・お台場や、大阪・関空周辺などが妥当ではないかと、マカオを見て強く感じた。

実際、世界各地でカジノホテルを展開する米ラスベガス・サンズのオーナー、シェルドン・アデルソン氏も、カジノ解禁に動く日本でのビジネスチャンスを虎視眈々と狙っていると公言する。ラスベガス・サンズは、すでに日本進出のために事務所を開設し、100億ドル(1兆円)規模の投資を用意すると明らかにしている。

サンズ・マカオ10周年|マカオ 37

サンズ・マカオ10周年|マカオ 45

マカオの気候的なベストシーズンは11月中旬頃。「自分の気に入ったホテルで、カジノで儲けて、おいしい食事を食べて、いっぱいお買いものをして、マカオグランプリを楽しんでください!」というガイドの話を聞きながら、マカオ市街の歴史ある古い街並みと、金色に光るサンズ・マカオの対比の面白さに、カジノシティ=マカオの奥深さを見た。

「サンズ・マカオ(澳門金沙)」
http://www.sandsmacao.com.

           
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