新世代エンジン「Drive-E」を搭載したS60/V60に試乗する|Volvo
CAR / IMPRESSION
2015年1月9日

新世代エンジン「Drive-E」を搭載したS60/V60に試乗する|Volvo

Volvo S60 T5 R-DESIGN|ボルボ S60 T5 R-デザイン
Volvo V60 T5 R-DESIGN|ボルボ V60 T5 R-デザイン

新世代エンジン「Drive-E」を搭載したS60/V60に試乗する

ボルボがあたらしく「S60/V60」シリーズに搭載した2リッター直列4気筒直噴ターボユニット「Drive-E(ドライブ・イー)」は、力強い走りと現代に求められる環境性能を両立させた新世代ユニットである。この両60シリーズを皮切りに、順次ラインナップを拡大するという期待の新エンジンなのだ。

Text by SAKURAI KenichiPhotographs by NAITO Takahito

パワーを向上させトータルで燃費を23%も改善

あたらしく「S60/V60」および「XC60」シリーズに搭載された「B420」と呼ばれる総排気量1,968ccの“Drive-E”は、最高出力180kW(245ps)、最大トルク350Nm(35.7kgm)というスペックを持つ完全な新設計ユニットだ。

8段ATと組み合わせられ、従来比で3kW(5ps)/30Nm(3.1kgm)の出力向上を達成しながら、JC08モード燃費は従来比で23パーセントも向上したリッターあたり13.6kmを実現している。今回紹介する60シリーズを皮切りに、他ラインナップにも拡大採用が見込まれるボルボ期待の新型エンジンである。

ボルボはこの新世代パワートレーンに、「Drive-E(ドライブ・イー)」というネーミングを与えた。「E」の文字からハイブリッドなど、何らかの電化を想像してしまうが、その正体はオーソドックスなガソリンエンジンである。ただし、コンベンショナルなガソリンエンジンとはいえ、その中身は最先端技術を用いた、いまどきのハイテクが満載。

Volvo V60 T5 R-DESIGN

Volvo Skovde Engine Plant

現在もっとも効率が良いとされるガソリン直噴式を採用し、そのなかではもっとも高圧なインジェクターを搭載したほか、エンジン内部における摺動部の摩擦低減、可変制御オイルポンプ、電動ウォーターポンプ、さらにより高性能な新型ターボチャージャーを採用するなど徹底的な効率化を追求している。

日本導入のニュースでも紹介しているが、ボルボはこの新世代ユニットの製造のために、100年以上の歴史を持つスウェーデンのシュブデ工場の大がかりな改修をおこなった。次世代を担うエンジンと言うだけあって、最新のロボットを駆使した専用製造ラインを新設するなど、このパワーユニットのために総額約20億クローネ(約320億円)を投資している。つまり、次世代の中核エンジンとして本気で開発に取り組みリリースした、自慢のエンジンということである。

Volvo S60 T5 R-DESIGN|ボルボ S60 T5 R-デザイン
Volvo V60 T5 R-DESIGN|ボルボ V60 T5 R-デザイン

新世代エンジン「Drive-E」を搭載したS60/V60に試乗する (2)

あらたに8段ATを搭載

従来の6段ATに替え、あらたに8段ATを搭載したS60の「T5 R-DESIGN」は、小気味よい加速を披露。出だしからスポーティな走りをもたらしてくれる。この加速感は、わずか2リッターの排気量しかないとはとうていおもえない十分なトルクだ。スピードの上昇とともにギアが瞬時に切り替わり、不自然な失速感などを感じることはない。

高速道路の料金所通過後の加速では、あっという間に100km/hに達し、最高出力が180kW(245ps)であることを意識させる。すぐさま無駄なく高速巡航にはいれるのも、実燃費の向上には有利だ。8速使用時の100km/hのエンジン回転数は、わずか1,500rpm。確かに、これまでにない低燃費性能をもたらしてくれそうだ。

さらに言えば、高速巡航時のエンジン回転数が充分に低いので、キャビンの高い静粛性にも貢献していると評価できる。静粛性の高いキャビンは、長距離走行常時に疲労を低減してくれるなど、快適性にも直結する性能である。

Volvo S60 T5 R-DESIGN

Volvo S60 T5 R-DESIGN

事実、「Drive-E」を搭載したボルボは、低燃費性能とコンフォート性能に置いて、おなじDセグメントのライバル車よりも頭ひとつ抜け出た存在だ。以前、今回の試乗とは別に、この「Drive-E」を搭載した「XC60 T5 R-DESIGN」で東京から神戸までロングドライブを経験したが、法定速度を守り、エアコンやオーディオも使用し特にエコランを意識せずに走ったにも関わらず、結果14.3km/ℓというコンパクトクラス並の平均燃費を確認済みだ。

500kmを超える長距離走行だったために全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を多用したが、もし、省燃費走行をおこなう「ECO+(エコプラス)モード」で使用できる「ECO COAST(エコ・コースト)」機能(高速巡航時のアクセルオフなどでトランスミッションとエンジンを自動的に切り離すいわゆるコースティングモード)が使用できる通常走行であれば、もっと燃費は向上したと考えられる。残念ながらAACを使用すると、「エコ・コースト」機能は働かない。

ちなみに省燃費走行モード「ECO+(エコプラス)モード」では、「ECO COAST」機能のほか、トランスミッションのシフトアップポイント、エンジンレスポンスを低燃費性能重視に最適化し、エンジンスタート/ストップ機能を有効にする。

パワートレーンを効率的に制御し、燃料消費量を抑制してくれるのである。

Volvo S60 T5 R-DESIGN

Volvo S60 T5 R-DESIGN|ボルボ S60 T5 R-デザイン
Volvo V60 T5 R-DESIGN|ボルボ V60 T5 R-デザイン

新世代エンジン「Drive-E」を搭載したS60/V60に試乗する (3)

ボルボらしいクリーンでスマートな内装

見た目にもスポーティなデザインの大径18インチホイールや若干ローダウンされたスポーツサスペンション、専用フロントグリルや大型バンパーなど「R-DESIGN」ならではのエアロパーツを標準装備するアグレッシブな外観とは裏腹に、Dセグメントとしては実に優秀な燃費性能をもたらしてくれるのだから、「T5 R-DESIGN」は面白い。

見るからにオラオラ系でヤンチャなルックスの若者が、実は優秀な大学生だった──という例えが適切かどうかは別にしても、良い意味でのギャップがそこにはあるのだ。

Volvo S60 T5 R-DESIGN

Volvo V60 T5 R-DESIGN

いわゆる誰もが想像する緻密で質感の高い、ボルボらしいクリーンでスマートな内装も「T5 R-DESIGN」の魅力だ。本革巻きのステアリングホイールや、本革/パーフォレーテッドシートレザーのコンビネーションシート、アルミニウムパネル、スポーツペダルや「R-DESIGN」のロゴが入ったスカッフプレートなどが専用装備となる。特に適度なホールド感を持つシートは秀逸で、ロングドライブでも疲れを低減させてくれるできの良いものであったことを確認済みだ。

Volvo V60 T5 R-DESIGN

メーターパネルは、いまプレミアムブランドで主流の液晶表示で、「エレガンス」「エコ」「パフォーマンス」という3つのテーマでデザインを変更できる。「パフォーマンス」ではメーターが赤く表示されついついその気にさせられるが、このモードでは速度がデジタル表示され、タコメーターの回転数も見やすいので、通常使用時でもお勧めである。

余談だが、どのモードを選択しても、変更されるのはあくまでもメーター表示のみ。エンジンやギアのプログラムが連動して過激なセッティングに変わる——ようなことはないので、低燃費運転の際でもご安心を。

Volvo S60 T5 R-DESIGN|ボルボ S60 T5 R-デザイン
Volvo V60 T5 R-DESIGN|ボルボ V60 T5 R-デザイン

新世代エンジン「Drive-E」を搭載したS60/V60に試乗する (4)

60シリーズにその定説は当てはまらない

今回、「T5 R-DESIGN」のS60(セダン)とV60(ステーションワゴン)を乗り比べたが、どちらもレスポンスの良いドライバーとの一体感をもたらすハンドリングを確認できた。一般的に開口部の大きなステーションワゴンのボディが乗り心地の面で緩さを感じるなど不利になることが多いが、60シリーズにその定説は当てはまらない。

ステーションワゴンであってもボディ剛性が高く、厚手のラバーがボディと路面の間に入ったようなソリッドでありながら不快感のない乗り心地と、きびきびした走りが楽しめる。走りに何の我慢も必要なく、ユーザーのライフスタイルに合わせてシンプルにボディ形状を選べる数少ない車種なのだ。

Volvo V60 T5 R-DESIGN

Volvo V60 T5 R-DESIGN

オプションでヒューマンセーフティ(歩行者・サイクリスト検知機能付き追突回避・軽減フルオート ブレーキシステム)や全車速追従機能付AAC(アダプティブ クルーズ コントロール)、DAC(ドライバーアラート コントロール)、LKA(レーンキーピングエイド)など10項目の安全デバイスをセットにしたセーフティ パッケージが19万477円で用意されているが、ボルボの先進的な安全性を享受するためにも、こちらはぜひ装着をお薦めする。

080507_eac_spec

Volvo S60 T5 R-DESIGN|ボルボ S60 T5 R-デザイン
ボディサイズ│全長 4,635 × 全幅 1,865 × 全高 1,480 mm
ホイールベース│2,775 mm
トレッド前/後│1,580 / 1,575 mm
最小回転半径│5.8 m
エンジン│1,968cc 直列4気筒直噴ターボ
最高出力│180 kW(245 ps)/5,500 rpm
最大トルク│350 Nm/1,500-4,800 rpm
トランスミッション│8段AT
駆動方式│FF
車両重量|1,600 kg
価格│502万9,714円(税込)

Volvo V60 T5 R-DESIGN|V60 T5 R-デザイン
ボディサイズ│全長 4,635 × 全幅 1,865 × 全高 1,480 mm
ホイールベース│2,775 mm
トレッド前/後│1,580 / 1,575 mm
最小回転半径│5.8 m
エンジン│1,968cc 直列4気筒直噴ターボ
最高出力│180 kW(245 ps)/5,500 rpm
最大トルク│350 Nm/1,500-4,800 rpm
トランスミッション│8段AT
駆動方式│FF
車両重量|1,660 kg
価格│523万5,428円(税込)

ボルボ お客様相談室
free150120-922-662(平日9:00-17:00)

           
Photo Gallery