世界記録のボートをオマージュする特別なファントム|Rolls-Royce
Rolls-Royce Phantom Drophead Coupe Waterspeed Collection
ロールス・ロイス ファントム ドロップヘッド クーペ ウォータースピード コレクション
世界記録のボートをオマージュする特別なファントム公開へ
ロールス・ロイス モーターカーズは、「ファントム ドロップヘッド クーペ」の最新別注モデル「ウォータースピード コレクション」を発表した。これは、ロールス・ロイスのエンジンを搭載し、水上世界最速の称号を得た「ブルーバード K3」ボートをモチーフとして完成させたもの。5月23-25日にイタリアはコモ湖で開催される「コンコルソ デレガンツァ ヴィラデステ」で、一般公開される予定だ。
Text by SAKURAI Kenichi
各所にマッジョーレブルーのカラーを採用
いまを遡ること1937年の9月1日、5年間もの長きにわたり米国が保有していた水上の世界速度記録を、英国人のマルコム・キャンベル卿が塗り替えた。打ち立てた最高速度記録は208.4km/h。「ロールス・ロイス R型エンジン」を搭載したレース用パワーボート「ブルーバード K3」号での快挙だった。
そうした「ブルーバード K3」号の活躍を称えるべく開発されたのが、この「ファントム ドロップヘッド クーペ ウォーター スピード コレクション」である。すでに開発の第一報は、コンセプトやデザインスケッチとともに2月に報告済みだが、待望の市販モデルが披露された。
ロールス・ロイスのファントム ドロップヘッド クーペ ウォータースピード コレクションは、そのネーミングからもわかるようにオープンモデルの「ファントム ドロップヘッド クーペ」がベースになっている。そこに、マルコム・キャンベル卿のこだわりの工芸品ともいえる「ブルーバード K3」号をモチーフとしたカラーリングやデザインを採用、独特の世界観を表現するとともにオマージュとして誕生した。
ボディカラーは、「ブルーバード K3」号の特徴的なカラーリングにインスパイアされた、特別開発の「マッジョーレブルー」で仕上げられた。ペイントは、熟練工の手による9層から成るもので、特別な下地処理が施されている。見る角度によって色彩や印象が変わる最先端の偏光性粉末ラッカー塗料がもちいられ、これはボディのみならずエンジンにも及ぶ。エンジンまでもが特別色に塗られた例はいままでになく、ロールス・ロイスの歴史で初めてとなる光景がエンジンルームにも広がる。
こうした特別色で塗られたエクステリアは、ロールス・ロイスのペイントマイスターが最後に4時間を費やし、手作業でボディサイドのコーチラインを描き完成するのだという。ホイールは洗練された11本スポークデザインで、ボディカラーとの調和も完璧にコーディネートされている。
Rolls-Royce Phantom Drophead Coupe Waterspeed Collection
ロールス・ロイス ファントム ドロップヘッド クーペ ウォータースピード コレクション
わずか35台のみが生産される特別なファントム (2)
インテリアにもモチーフをふんだんにあしらう
トノカバー部分に用いられる「ファントム ドロップヘッド クーペ」のデッキは、伝統的なチーク材で作られている。ガイドフレームはブラッシュドスチールで、材料の各部分を個別に叩きだし、完成までに70時間を有する。そのうち10時間は、熟練工が手作業で磨き上げる作業に費やされるのだという。
マッジョーレブルーのエクステリアカラーとコーディネートすべく、インテリアにはマッジョーレブルーをアクセントに配したウィンドチリグレーのカラーリングを採用。ダッシュボードの形状や、そしてそこに使用されるパーチウッドやサテン仕上げの表面加工なども特別だ。さらにドアアームレストには、「ブルーバード K3」号が高速で水面を走り抜ける航跡をイメージした手彫りの象嵌細工が埋め込まれている。
ロールス・ロイスならではのパワーリザーブ計は、アクセルを踏み込み残りが少なくなるに従い、つまり通常の回転計であればレッドゾーンに近づくにつれて、その背景がイエロー、ブルーへと変化する。このカラーリングは、タコメーターのレブリミット近辺が青くなっていた、オリジナルのパワーボートからインスピレーションを得たもの。
そのほか、マッジョーレブルーを配した3本スポークデザインのステアリングホイールやアルミビレット製のドリンクホルダー、スペシャルメイドの時計、マルコム・キャンベル卿がマッジョーレ湖とコニストン湖で達成した速度レコードを示す手刺繍のパネルがグローブボックス内に備わっている。
「ファントム ドロップヘッド クーペ ウォータースピード コレクション」は、ロンドンにある1923年に完成したアールデコ様式のブルーバード・モーターカンパニー社ガレージでエクスクルーシブプレビューをおこなったのにつづき、5月23日-25日にイタリアはコモ湖で開催される「コンコルソ デレガンツァ ヴィラデステ」で一般公開される予定だ。