TOYOTA iQ|トヨタ IQ|第26回 (後編)|もっともエコ・コンシャスなクルマの1台
第26回 TOYOTA iQ(後編)
もっともエコ・コンシャスなクルマの1台
「脱・石油」「離・石油」の時代に、トヨタがリリースしたマイクロカーiQ。新世代のプレミアムカーを謳う同車の走りやいかに。
文=下野康史写真=トヨタ自動車
高速道路でのすぐれたスタビリティ
短いノーズに収まるエンジンは、ヴィッツやパッソに使われている1リッター3気筒DOHC。変速機もおなじみのCVTだ。停車していると、3気筒特有のかすかな振動はあるが、パワーは必要にして十分だ。遮音性の高いフロントガラスを採用するなどして、静粛性にも留意している。
乗り心地はスマートより快適だ。ホイールベースが短いクルマにありがちな、ピョコピョコした揺れはない。寸詰まりでも、全幅はしっかり広くとられているので、操縦性は安定してる。横風に対する抵抗力など、高速道路でのスタビリティはリアエンジンのスマートよりすぐれる。狭い道でUターンしてみると、小回りもスマートよりきくので驚いた。
CO2排出量はプリウスを上まわる
燃費に直結するCO2排出量は99g/km。つまり、1km走行あたり平均99gの二酸化炭素を出す。これは日本仕様のスマートやハイブリッドのプリウスをしのぐ好データである。200キロほど走って燃費を測ったら、14km/ℓ弱だった。プリウスには歯が立たないが、スマートよりはいい。1000ccのヴィッツより車重は約100kg軽いから、それだけ燃費もいいはずだ。いずれにしても、もっともエコ・コンシャスなクルマの1台にはちがいない。
ぼくが初代スマートを乗り継いできたのは、小さいからでも、燃費がいいからでもない。いや、もちろんそれらは大きな魅力だが、それだけではない。いちばんのチャームポイントは“楽しいから”である。最初のカブリオは、オープン2シーターそのものだった。いまのブラバスは、2シータースポーツカーである。そういう点で、iQはちょっと物足りないと思った。まあ、ファン・トゥ・ドライブより“プレミアム”なのだから仕方ないか。
ひとつ気になったのは、せっかくの超コンパクトサイズなのに、視界があまりよくないことである。最近のクルマとしてはウエストラインが高く、ウィンドウの天地が低い。ダッシュボードも高めだから、室内にいると、開放感はいまひとつだ。だから、スマートのようにオープンモデルを出してもらいたい。こまっしゃくれた高性能モデルなんかもおもしろそうだ。ぼくはプレミアムよりファン・トゥ・ドライブを応援したい。
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