キャデラックのフルサイズクーペ コンセプト|Cadillac
Cadillac Elmiraj Concept|キャデラック エルミラージ コンセプト
伝統的なアメリカンフルサイズクーペの登場を予告?
キャデラックのフルサイズクーペ コンセプト
オープンカー コンセプトの「シエル」につづく、フルサイズ パーソナルモデルのシリーズ第2弾ともいえるキャデラックのクーペ コンセプトが、ペブルビーチ コンクール デレガンスに登場した。
Text by SAKURAI Kenichi
1967年のエルドラドにインスパイアされた作品
ゼネラルモーターズ(GM)は、アメリカ・カリフォルニア州モントレーで開催されているペブルビーチ コンクール デレガンスで、フルサイズクーペのコンセプトカー、キャデラック「エルミラージ」を発表した。
キャデラック ディビジョンの副社長ボブ・ファーガソンは、「キャデラック エルミラージは、ラグジュアリークーペの次世代モデルコンセプトで、キャデラックが有するパフォーマンスやラグジュアリーとはどのようなものかを考えながら開発した、あたらしいクーペモデルである」と、このコンセプトカーを紹介している。
デザインは、カリフォルニア州ノース・ハリウッドにある、キャデラックのアドバンスド デザイン スタジオが担当。フランク・サウセドがチーフデザイナーとして腕をふるった。
キャデラック エルミラージは、「XLR」以降途切れている、キャデラックのフルサイズクーペの登場を予告するコンセプトカーと見られている。これは2011年に同じペブルビーチ コンクール デレガンスで公開されたオープンモデルのコンセプトカー、キャデラック「シエル」につづく、フルサイズ パーソナルモデルのシリーズ第2弾と解釈することもできる。これにより、クーペとオープンのラインナップが完成し、今回のイベントでの反応如何によっては、少々気は早いが、プロダクションモデルの登場がリアルに期待できると見る向きもおおい。
デザインこそ純粋なクーペスタイルを採用するキャデラック エルミラージではあるが、ポジショニングはフラッグシップクーペとして折りたたみ式のメタルルーフを採用したクーペ・カブリオレのXLRの後継モデルを示唆しているのは明白で、さらに遡れば、「エルドラド」や「ドゥビル クーペ」といったかつてのフルサイズクーペにまでそのルーツを見いだすことができる。
その証拠におなじペブルビーチ コンクール デレガンスの会場では、このエルミラージのワールドプレミアに合わせ、1967年の「エルドラド」、1965年「ドゥビル クーペ」、さらに1937年の「シリーズ90 V16」を同時に展示。
これは、キャデラックの次世代を担うエルミラージが、125年以上の歴史をもつキャデラックの、正当なフルサイズクーペの後継モデルあることをうかがわせる。
事実、キャデラック アドバンスド デザインのエグゼクティブ ディレクターであるクレイ・ディーンは、「1967年のキャデラック エルドラドは、その時代の他のクルマとくらべ、非常に対照的であたらしい方向性を示したクルマであった。われわれはデザインやコンセプトにおいて、とても大きな影響を受けた」とコメントしている。
クーペのシルエットを、現代風にアレンジ
注目のキャデラック エルミラージは、キャデラックのデザインコンセプトであるアート&サイエンスのデザイン言語を採用しながら、優雅でクラッシックな2ドアクーペのシルエットを、現代風の流麗なフォルムにアレンジ。先に登場した新型「CTS」や「ATS」で採用されているフロントマスクを、さらに進化させたシンプルで力強いデザインで表現した。
全長は205インチ(5,207 mm)。堂々とした存在感をもつ4人乗りクーペで、有機的なデザインを採用するインテリアも、本革やリアルウッドを多用するなど、フラッグシップに相応しい贅沢な空間に仕上げられている。長いホイールベースがもたらすキャビンは完全に4分割され、後部シートにもリクライニングが可能なフロントシートと同様のデザインがあたえられている。
さらにこの後部シートは、乗り降りを容易にするための、バレット機能を持ち合わせている。シートは4インチ(約100 mm)前方にスライドし、またフロントシートもこれに合わせて同時に前方に10インチ(約250 mm)前方にスライドすることができる。
コクピットの前方には、透明なアナログメーターがひろがる。このアナログゲージの後ろに、ドライバー情報とフロントマウントカメラの出力が、ワイドスクリーンの高解像度ディスプレイに映し出される未来的なシステムだ。これとは別に、ナビゲーション用の10インチのタッチスクリーンがあり、使用しない場合にはインストルメントパネルの内部に収容が可能。
キャデラックでは、動力性能やメカニズムなど、詳しいデータを公開していないが、エルミラージは、CTSやXTSと同様の後輪駆動シャシーを採用し、500psの4.5リッター V8ツインターボ エンジンを搭載すると発表されている。伝統的なアメリカン ラグジュアリーを体現したフルサイズクーペの復活として、プロダクションモデルの発表が期待される1台である。
Cadillac Elmiraj Concept|キャデラック エルミラージ コンセプト
ボディサイズ|全長 5,207 × 全幅 1,930 × 全高1,397 mm
重量|1,814 kg
エンジン|4.5リッター V型8気筒 ツインターボ
最高出力|373 kW(500 ps)
最大トルク|678 Nm