Diary-T 206 サイズ。
帽子に穴があいた。
ここ数年coeurの帽子の虜になっている。
肌触りの柔らかいウサギの毛の黒いハットだ。
ウサギの毛だから触り心地が実に気持ちがいい。
で同じスポットを日々無意識に触っていると
帽子にも穴が空くのだね。
想像もしていなかったので驚いたが、間、
これも愛着の印だろう。
で、気がつけば鼻毛ほどではないものの、
ここ一二年で、自分でもハッとするほど、
髪の毛に白いものが溶け込むようになった。
もちろん精神的なものもないわけはないだろうが、
年齢はつまり容赦ないのだ。
その結果、帽子との相性もしっくりくる訳だから
まったく歳を重ねるのはいいことだらけだ。
それにしても、
未だに私は自分の年齢とのしがらみに折り合いがつかない。
いつまでもジタバタと諦めが悪いぞ…と言い聞かせてみても、
相変わらず聞く耳をもたないから始末に困る。
だから話は、帽子に穴が開いたのだ。
縁あって、こうして暫くcoeurの帽子と暮らしているが、
ま、秋冬は黒いウサギでいいのだが、
春夏の頭が落ちつかない。
もちろん、試してはいるのだよ、いくつかね、
が、黒いウサギの帽子との符号のようにはいかない。
肌が合うというのはどうやら避けられないものなのだろう。
で、先日、兼ねてから一緒に暮らしたいと申し込んでいた濃紺のハリソン・ツィードのスーツを引き取りにいったところ、
たまたまそこに居たイタリア産の美しいグレーのクラッシックなボルサリーノに一目惚れしてしまいそのまま家に連れて帰ったのだが、
サイズが合わない。これはもうどうすることもできない。
店のハンサムな若い衆が英字新聞をきれいに細く畳んで裏からこっそり仕込んで試してみて下さいといわれたが、
そんな固いものを挟んだら気持ちが悪いだろう…
で、その一目惚れとの対処を思いあぐねるうちに、
もう春夏が来る。イタリアンは秋冬のお相手のつもりだったから、このまま国に返した方がいいのかもしれない。
が、それはいくらなんでもまずいだろう。
出戻りというのは世間体も悪いしバツが悪いから
このまま家で暮らしてもらうことにする、か。
だから、穴の話だ。
塞がったんだよ。これが。親切な人はいるもんだね。
驚いたことに二十分ほどで、開いた穴を埋めてくれた。
見た目では分からないね。うまいもんだ。まさにプロだね。
穴埋めのね。で、待ってる間に、また一目惚れだ。
今度はきれいな濃いネイビー色のハットだ。
ちょっと見ただけなら黒だと見間違うほどの濃いエレガントなネイビー色のハットだ。
で前回のイタリアンの失敗があるから、
今度は丁重になんどもサイズを試した。
ピッタリだ。
早速、明日は私のお熱の濃いネイビーのツィードの
スーツに併せるつもりだ。
一目惚れ、いくつになっても止められない。
coeur
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