VOLVO XC60 T5 SE|“世界でもっとも売れているボルボ”に4気筒モデル(1)
CAR / IMPRESSION
2015年3月16日

VOLVO XC60 T5 SE|“世界でもっとも売れているボルボ”に4気筒モデル(1)

VOLVO XC60 T5 SE|ボルボ XC60 T5 SE

“世界でもっとも売れているボルボ”に4気筒モデル(1)

クロスオーバータイプのボルボXC60に、経済性にすぐれる2リッター・ターボエンジン搭載「 T5 SE」が追加される。輸入元のボルボ・カーズ・ジャパンが、2010年8月6日に発表をおこなった。価格は499万円。発売は8月下旬という。

文=小川フミオ写真=荒川正幸

エンジンのダウンサイジング+FF化

XC60は2008年秋に発表されたモデルで、ボルボ・カーズ・ジャパンによると「世界でもっとも売れているボルボ」という。その特徴は、ボディ下半分はSUV(スポーツ多目的車)のタフさ、一方、上半分はクーペの優雅さというふたつのイメージを合体させたクロスオーバーコンセプトにある。

日本ではこれまで3リッター車のみだったが、ボルボのラインナップではV50、V70につぐ販売成績を上げており、ライバルと比較すると「BNW X3を上まわり、アウディQ5販売台数の約6割以上にあたる台数」という。

追加されたXC60 T5 SEの特徴は、エンジンのダウンサイジング化と、前輪駆動化にある。エンジンは従来のユニットを使いながら各所に手をいれた新開発の4気筒。燃料直接噴射システムを備え、これにターボチャージャーが組み合わされる。

VOLVO XC60 T5 SE|ボルボ XC60 T5 SE_05

VOLVO XC60 T5 SE|ボルボ XC60 T5 SE_08

デュアルクラッチシステム採用で燃費が8パーセント向上

最高出力は203ps/6000rpm、最大トルクは30.6kgm/1750~4000rpm。ターボチャージャーのハウジングと一体成型された排気マニフォルドは世界初となり、高いピーク出力と低回転域での余裕あるトルクの両立と、タービンとマニフォルドの熱慣性の減少がメリットとして挙げられている。

トランスミッションはボルボがゲトラクと共同開発した6段のデュアルクラッチシステムを採用。レスポンスと加速性能を向上させつつ、従来のトルコン型ATに対して約8パーセントの低燃費化が図られている。

新世代の安全装備として、すでにXC60 T6 SE AWDに搭載されている低速用衝突回避・軽減オートブレーキシステム「シティセイフティ」がこのモデルにも標準装備される。車両が自動的にブレーキをコントロールし、先行車との速度差が15km/h以下の場合、衝突を回避し、30km/h以下で追突ダメージの軽減をおこなう。

VOLVO XC60 T5 SE|ボルボ XC60 T5 SE

“世界でもっとも売れているボルボ”に4気筒モデル(2)

文=小川フミオ写真=荒川正幸

スノースポーツを趣味とするオーナーにも

操縦感覚は軽快だ。直6に四輪駆動システムを組み合わせたT6 SE AWDより車重が140kgも軽いこともあるだろう。スタートからして、フットワークが軽い。ターボは2500rpmより上で効きはじめ、車両をぐいぐい引っ張るが、それより下の回転域でも実用上充分なトルクがある。ターボラグを感じさせるような不自然さはなく、ていねいな味つけとなっている。

軽くなったメリットはハンドリングにもあらわれている。操舵感覚はよく、ハンドルに合わせて動く車両の身のこなしも軽やかに感じる。6気筒モデルは440Nmものトルクがあったから、多少ボディが重くても苦もなく走るトルキーな運転感覚があったが、4気筒モデルは軽いぶん自然さがある。好ましいドライブフィールだ。

加速性では圧倒的に6気筒に軍配があがるが、マニュアルシフトできる湿式デュアルクラッチシステムを使って、回転数を2500rpmから上に維持するように走れば、大きな車体をものともせず、2リッターエンジンの加速は悪くない。なによりトルクの出方が自然なカーブにもとずいているので、雪道などでも不安感はなさそうだ。

四輪駆動システムを採用していないが、グラウンドクリアランスがある程度あれば、たいていの雪道は前輪駆動で事足りる。なのでスノースポーツを趣味とするオーナーにも、6気筒モデルより100万円価格が低いXC60 T5 SEは現実的な選択だと思う。

VOLVO XC60 T5 SE|ボルボ XC60 T5 SE_16

VOLVO XC60 T5 SE|ボルボ XC60 T5 SE_18

クラフツマンシップを感じさせるインテリア

インテリアのセンスはボルボの面目躍如たるところ。まずシートの立体的なデザインが、英語でいえばインバイティング、日本語だと思わず座ってみたくなる形状だ。そしてオプションだと2色を使った革張りも選択できるので、華やかな演出を好むひとはカタログを検討するといいだろう。

フリーフローティング・センタースタックとよばれる薄い板を曲げたようなセンターコンソールは、XC60では操作性を考えてドライバーのほうに傾斜がつけられた。さらに高価格モデルだけあって、クロームのトリムには「シン・トゥ・シック」、細くから太くへ、というデザインテーマが採用された。これで表情が出て、クラフツマンシップを感じさせる躍動感を上手に醸し出している。

後席にはビルトインタイプの「インテグレーテッド・チャイルドクッション」がオプションで用意される。隠されたヒンジを利用して、座面がもちあがってチャイルドブースターになるというシステムだ。子どもがいる家庭を視野に入れた、ボルボの上手なマーケティングセンスだ。ただしそのぶん、使っていないときに座面が硬くなるため、チャイルドシートやブースターを別に購入するほうがいいかもしれないが。

VOLVO XC60 T5 SE|ボルボ XC60 T5 SE
ボディ|全長4,625×全幅1,890×全高1,715mm
エンジン|2ℓ直列4気筒DOHC+インタークーラー付ターボチャージャー
最高出力|149kW[203ps]/6000rpm
最大トルク|300Nm[30.6kgm]/1750~4000rpm
駆動方式|前輪駆動
トランスミッション|6段DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)
価格| 499万円

ボルボ・カーズ・ジャパン
0120-55-8500

           
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