特集|もつ喜びのあるカメラ 「X-T10」など最新モデルのレトロデザインに注目
DESIGN / DIGITAL
2015年6月9日

特集|もつ喜びのあるカメラ 「X-T10」など最新モデルのレトロデザインに注目

デジタルカメラに転生したレトロフェイス

銀塩カメラのようなデザインが撮る喜びもかき立てる(1)

銀塩カメラのような手道具としての機能美に溢れるクラシカルなデザインは、ファッションアイコンとしても抜群の存在感がある。ただ、クラシカルなデザインの最新カメラが目指すスタイリングは、もちろんただのファッションアイテムではない。手道具だからこそ重要な上質な手ざわりやチューニングが、さらにもつ喜びをかき立てる。そしてフィルムカメラを彷彿とさせるダイヤル操作やファインダー越しに見える世界が、撮影をルーチンな作業から作品づくりへと昇華させる。

Photographs by JAMANDFIXText by TSUCHIYA Motohiro (OPENERS)

クラシカルなデザインがいっそう深いもつ喜びを喚起する

銀塩カメラから受け継いだクラシカルなデザインのデジタルカメラが増えている。それらの懐かしさを感じさせるレトロフェイスは、決してかつての名機のデザインを真似ただけのものではない。見ための存在感のみならず、クラシカルなデザインだからこそ撮影の喜びを知り、カメラとの付き合いがいっそう深くなり、もつ喜びも味わい深くなるのだ。

設計者の想いがつまったシンプルデザイン
富士フイルム「FUJIFILM X-T10」

6月に発売される「FUJIFILM X-T10」は、富士フイルムが放つ最新のミラーレス一眼だ。ひとつ上位のモデルにあたる「X-T1」と同様に、かつてのレンジファインダーカメラのようなレトロなデザインで見る者を魅了する。この最新モデルでは、さらに小型・軽量設計を徹底し、シンプルな操作性を求めた。

6月25日に発売する「FUJIFILM X-T10」

この「X-T10」のデザインは、富士フイルムの製品担当デザイナー・酒井真之氏自身が、最初に購入したフィルムカメラのようなカメラを提供したいという想いからはじまった。酒井氏が最初に手にした「FUJICA AX5」というフィルムカメラは、手になじみがよく、気軽にもち歩くことができる小ささと、小型ながらも本格的な撮影性能をもったモデルで、「X-T10」ではこのモデルの使い勝手を再現したという。

手のなかに気持ち良く収まるちょうど良いサイズと、手軽にもち運ぶことができる軽さを重視したというフォルムは、箱のようにフラットで中央にレンズを備える。

撮りたい衝動を高めるレトロなディテール

ボディーは小型で軽量であるいっぽうで、撮影時のホールド性を確保するため、フロントとリアの凹凸のグリップ形状や、ボディにほどこされた高硬度のしぼ加工のラバーは、いずれもこのモデルのためにあたらしく設計されたという。

また、誰にでも操作しやすく、道具として理にかなったロジカルな配置「Xシリーズ」のダイヤル類は、いっそう撮影への衝動を加速するようデザインされている。ダイヤルパーツはアルミの切削素材を採用。すべてのダイヤルにクリックボールを二つずつ入れクリック感を高めた。

「X-T10」がまとうクラシカルで上質のディテールは、眺めるだけでも十分に魅力的なものだが、手にもったときのホールド感やダイヤル操作時の心地良いレスポンスが、さらに撮影への意欲をかき立ててる。もつ喜びから、撮る喜び、そしてもっと強いもつ喜びが喚起されるカメラだ。

しぼ加工をほどこした硬質ラバー

各々のダイヤルに二つのクリックボール

FUJIFILM X-T10 18-55mm レンズキット
予価|オープン価格(実勢価格12万円前後)
発売予定|2015年6月25日
本体サイズ|約W118×H83×D41mm
重量|約381g(バッテリー、メモリカード含む)
マウント|FUJIFILM X マウント
撮像素子| APS-Cサイズ
X-Trans CMOS IIセンサー
有効画素数|1630万画素
ISO感度|200~6400(拡張時100〜51200まで)
キットレンズ|
フジノンレンズ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS

富士フイルム FinePixサポートセンター
Tel. 050-3786-1060
http://fujifilm.jp/

デジタルカメラに転生したレトロフェイス

銀塩カメラのようなデザインが撮る喜びもかき立てる(2)

時代を築いた名機から受け継いだ小型・軽量の系譜「OM-D E-M5 MarkⅡ」

世界最小・最軽量のフィルム一眼レフカメラとして、いち時代を築いたオリンパスの名機「OMシリーズ」。1974年に生まれ、フィルム時代の小型一眼レフの分野で、オリンパスの名を世界に轟かせた。この「OMシリーズ」の意匠を色濃く受け継いだデジタルカメラが、ミラーレス一眼「OM-Dシリーズ」だ。

最新の「OM-D E-M5 MarkⅡ」は、一眼レフの高画質と撮影スタイル、世界初の5軸手ブレ補正を小型ボディーに搭載し、ファインダーから目を離すことなく撮影に没頭できるカメラ「OM-D E-M5」の後継機だ。ボディー内蔵の手ブレ補正は従来モデルから進化し、シャッタースピード5段分の手ブレ補正を搭載する。

OM-D E-M5 Mark II 12-150mm EZレンズキット
価格|オープン価格(実勢価格16万円前後)
本体サイズ|W123.7×H85×D44.5mm
重量|約469g(バッテリー、メモリーカード含む)
マウント|マイクロフォーサーズ
撮像素子| 4/3型 Live MOS センサー
有効画素数|1605万画素
ISO感度|100~12800(拡張時25600まで)
キットレンズ|
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II

オリンパスのミラーレス一眼カメラのなかでは、とりわけ幅広い層のファンをもつ「PENシリーズ」もレトロな面もちの人気モデルだが、「OM-Dシリーズ」は別のアプローチで、撮影者の欲求を満たすために誕生したという。なかでも、電子ビューファインダーの設計がとくに重視され、開発されている。

スマートフォンや液晶画面付きのデジタルカメラが主流となり、背面液晶を見ながら撮影することが増え、ファインダーそのものがレトロな存在になりつつあるが、撮影に没入したいならファインダーは欠かせない。

「OM-Dシリーズ」のファインダーは、「OMシリーズ」を参考に開発された。のぞく感覚はそのままに、航空機のコックピットに映し出される画面のような精緻な映像をファインダー越しに見ることができる。ファインダーをのぞいたまま、パラメーター情報まで確認でき、クラシッックなスタイルのなかにデジタルならではのメリットを備える。

オリンパスカスタマーサポートセンター
0120‐084215
http://olympus-imaging.jp/

デジタルカメラに転生したレトロフェイス

銀塩カメラのようなデザインが撮る喜びもかき立てる(2)

Nikon 1 Jシリーズのイメージを一新した「Nikon 1 J5」

これまでの「Nikon 1 Jシリーズ」では、フラットでコンテンポラリーなデザインのモデルが多かったが、外観を一新し、レトロなイメージでまとめられた「Nikon 1 J5」が登場した。

撮影性能では、チルト式液晶モニターを搭載し、ローアングルからのポートレート撮影や自撮りにも適した撮る楽しさが広がった「Nikon 1 Jシリーズ」のカメラだ。新開発のセンサーと画像処理エンジンを内蔵するなど、内部設計も一新。また、F値1.8の明るい単焦点レンズが付くレンズキットなら、レンズ交換式ならではの美しいボケ味を楽しむこともできる。

Nikon 1 J5 ダブルレンズキット
価格|オープン(実勢価格7万3000円前後)
本体サイズ|約W93×H59.7×D31.5mm
重量|約265g(バッテリー、メモリーカード含む)
マウント|ニコン1マウント
撮像素子| 1インチ CMOSセンサー
(ニコンCXフォーマット)
有効画素数|2081万画素
ISO感度|160~12800
記録形式(静止画)|JPEG、RAW
レンズキット|1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM、1 NIKKOR 18.5mm f/1.8

メカニカルなダイヤルや、高級感のあるメタル素材、コマンドダイヤルやグリップが採用されるなど、デザイン面でもあたらしいアプローチで、もつ喜びが広がる。いっぽうで、カジュアルさ・軽快な使い勝手を優先するシリーズの設計思想が貫かれ、レトロな意匠とコンテンポラリーな機能美が融合している。

発売から1年半を経ても、ますます人気を集めているデジタル一眼レフカメラ「Df」とともに、あたらしい系譜のレトロデザインをニコンのカメラ史に刻む一台だ。

ニコンカスタマーサポートセンター ナビダイヤル
Tel. 0570-02-8000
www.nikon-image.com/

           
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