「バックス&ストラウス」、ダイヤモンドに特化した時計作り
「バックス&ストラウス」、ダイヤモンドに特化した時計作り
ジュエリーウォッチの筆頭を飾る宝石、それはダイヤモンドということができるだろう。女性仕様はもちろん、男性向けのダイヤモンドウォッチも昨今そのバリエーションを増やしている。なかでも「バックス&ストラウス」は、ダイヤモンドをテーマに時計を製作している会社だ。長年にわたりダイヤモンドに特化してきた同社が贈るダイヤモンドのための腕時計、その魅力をひも解く。
文=野上亜紀Photo by Jamandfix
男性を魅了するダイヤモンドウォッチ
ジュエリーウォッチをさりげなく身に着けている男性を、以前目にしたことがある。装いの妙ということもあったが、さらりとつけこなしたそれはひときわ粋な姿として目に映った。デザインで主張するジュエリーの様とは少しちがい、その人自身の一部をどこかのぞき見たような気がしたのを覚えている。
男女を問わず、ジュエリーウォッチといえば、やはりダイヤモンドをあしらったタイプが筆頭にあげられることだろう。光り輝くダイヤモンドはロマンティック、かつその希少性を問われることが多いが、未研磨の石が重用されていた時代からこの宝石は、ときにはお守りとして、ときには忠誠心や身分、そして権威を記す証として、多くの男性の身を飾ってきた。
昨今では女性のものという意識が強いためか、ウォッチであればこそ躊躇なく身に着けることのできる男性も多いようで、そのデザインもより豊富なものとなってきた。今回紹介する時計はそのなかでも、「ダイヤモンド」という石そのものの魅力を追求したダイヤモンドウォッチだ。
「バックス&ストラウス」のダイヤモンドウォッチを手に取ると、ケースがひときわ大きく湾曲している点に気がつく。ダイヤル中央部に向かって盛り上がるように設計されたこのデザインは、ベゼルをとりまくダイヤモンドすべてに光が行きわたるように計算されたもの。時計の産みの親である「バックス&ストラウス」は、もとよりフランク・ミュラーが自身のジュエリーウォッチのために宝石を買い入れていたロンドンのサプライヤーだ。1789年に創設され、第一回万国博覧会に出品した作品が今でも大英博物館に所蔵されている老舗であるが、一昨年からFRANCK MULLER WATCHLANDとの共同事業を開始し、それを機に自らの社名を冠した時計製作をはじめるようになった。
「宝石」を根幹とした独自の製作指針
そもそもがダイヤモンドを専門としていたということもあり、ウォッチの分野においても製作の軸はやはり「ダイヤモンド」にある。時計のためのダイヤモンドではなく“ダイヤモンドのための時計”が同社の掲げる製作テーマだ。先のケースデザインもその結果であるが、時計に施されたダイヤモンドのカッティングひとつにも同社のこだわりが見てとれる。58面体にカットされた「ハート&アロー(ハートと矢)」と銘打たれたアイデアルカット(理想的なカッティング)は、顔となる上部のクラウン面からは8本の矢、土台となる底部のパビリオン面からは8個のハートを映し出し、そのひとつひとつがまるで万華鏡のようなきらめきを見せる。このコントラストを活かした光の反射を逃さないよう、石留めも上部を際立たせる形でセッティングされており、いずれもがなめらかな手触りでひっかかることもない。
クオリティ、カッティングそしてセッティング。ダイヤモンドの光を活かすための時計づくりをつづける「バックス&ストラウス」の顧客には男女ともに時計愛好家ならず、“ダイヤモンド愛好家”の名が連なるという。ジュエリーにたがわないその輝きは確かにみずみずしく、宝石本来の魂をも謳うものであるからだ。身を守るお守り、そして自らの証として多くの人びとの心を惹きつけてきたダイヤモンド。その魅力をいま一度、日々をともに過ごすウォッチというかたちで味わってみてはいかがだろう。
フランク・ミュラー ウオッチランド東京
東京都中央区銀座 5-11-14-B1 POSCO東京ビル
Tel. 03-3549-1949
営業時間|12:00~19:00
定休日|月曜