これは夢か、幻か……。超複雑時計に囲まれた部屋|GIRARD-PERREGAUX
WATCH & JEWELRY / WATCH NEWS
2016年12月19日

これは夢か、幻か……。超複雑時計に囲まれた部屋|GIRARD-PERREGAUX

GIRARD-PERREGAUX|ジラール・ペルゴ

芸術作品と過ごす珠玉の時間。この扉を
開けることが叶ったのは、ひと握りの時計愛好家たち。(1)

ジラール・ペルゴが、新たなイベントの開催に取り組んだ。トゥールビヨンやミニッツリピーター、もしくはその複合モデルなど、同ブランドが誇る「ハイ・コンプリケーションウオッチ」だけを集め、日本で披露する機会を設けたのだ。合わせて数億円にものぼる希少性の高いモデルたちに囲まれ、愛好家たちはそれぞれに目星をつけたモデルをじっくりと吟味した。

Photographs by KISHIDA KatsunoriText by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)

完全なる個別対応。そして本社製品
開発部長直々のプレゼンテーション

ついに日本国内でもこのような素晴らしいイベントが開催されるようになった。ラグジュアリーとは何たるものか。その本質に大きく踏み込む内容だったのだ。

ジラール・ペルゴは、スイスで毎年開催されている国際時計展示会BASELWORLD会期中の自社ブースにて「ハイ・コンプリケーションウオッチ」だけを扱う特別室を設けてきた。世界各国のトップバイヤーや、屈指の時計蒐集家だけが入室を許されるその部屋は、ジラール・ペルゴスタッフの間では“HHルーム”と呼ばれている。今回のイベントは、その特別室を日本で再現し、類まれなるハイ・コンプリケーションウオッチを一挙に紹介する機会を作るというものだった。

ジラール・ペルゴは老舗マニュファクチュールのなかでも、超絶技巧を得意とするブランドである。しかし、それら希少性の高い製品の多くは、製造されるや市場に出回ることなく、すぐに購入者のもとへと渡っていく。つまりジラール・ペルゴの繊細にして華麗な機構の数々に囲まれるチャンスは、スイス本国でも決して多くはなく、まして日本では稀である。

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「HHルーム」のふたつのHとは、「HAUTE HORLOGERIE」(オート・オルロジェリー)の頭文字で、高級時計を意味する。「HAUTE COUTULRE」(オート・クチュール)が高級仕立服を意味するなら、オート・オルロジェリーは、その時計版といったところだ。

イベントの趣向は、あくまで上顧客に対する販売を前提としたプレゼンテーションである。したがって誰もが気軽に部屋の中に入れるというわけではない。とはいえ愛好家にとっての夢のような機会となったことは事実である。これこそがラグジュアリーアイテムを扱うブランドのホスピタリティというもの。2016年は、東京と大阪で各1日、計2日間の開催となったが、来年以降も同イベントのさらなる発展を期待したいところだ。

Page02. ジラール・ペルゴが作り続けてきたハイコンプリケーションの数々

GIRARD-PERREGAUX|ジラール・ペルゴ

芸術作品と過ごす珠玉の時間。この扉を
開けることが叶ったのは、ひと握りの時計愛好家たち。(2)

ジラール・ペルゴが作り続けてきた
ハイコンプリケーションの数々

通称“HHルーム”がバーゼル会場を飛び出したのは、今回が世界初である。ソーウインドジャパンが日本のユーザーのためにスイス本社と掛け合い、今年、初めて実現したのだ。下の動画で、左右両側に展示されているのが、すべて「ハイ・コンプリケーションウオッチ」である。そう、製品の前に遮るものはなく、手を伸ばせば触れられる距離にある。もちろん、許可なく素手で触ろうとする無作法な人物は、ここにはいない。

超絶機構の見どころを、余すところなく説明するのが、本社製品開発部門をつかさどるステファノ・マカルーソ氏である。

製品コンセプトをまとめあげた本人が自ら説明するのだから、その口調には自ずと熱が入る。逆に、これから高額アイテムを購入しようとするユーザーにとっては、これほど価値のある体験はないはずだ。彼はプレスリリースには載らない、開発時の細かなポイントを説明していく。「なるほど、だからこうなっているのか」と、膝を打つユーザーの興奮する姿が目に浮かぶ。

ゲストは製品を机上で手に取ることを許され、時にはマカルーソ氏に質問を投げかけながら、話を進めていく。完全なる個室で、他の顧客との同時進行はなく、それぞれにエクスクルーシブな空間が保たれた。

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ジラール・ペルゴ 製品開発部長のステファノ・マカルーソ氏

ちなみに、今回紹介されたモデルとは、こんなモデルだ。

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ハイライトアイテム No.1
ラ・エスメラルダ トゥールビヨン
1889年のパリ万博で金賞を受賞した懐中時計「スリー・ゴールド ブリッジ トゥールビヨン」をオマージュした2016年の新作。当時のデザインを忠実に再現したアロー型のブリッジが存在感を放っている。6時位置にトゥールビヨンを搭載。2145万円(18KPG。税別)。


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ハイライトアイテム No.2
ミニッツリピーター ブリッジ トゥールビヨン
腕に装着した状態で、トゥールビヨンとミニッツリピーター機構の動きと、ミニッツリピーターの奏でる音、視覚と聴覚の両方で楽しめる逸品。ケース素材にはチタンを採用している。3735万円(チタン。税別)。※異なるモデルだが、ジラール・ペルゴ製ミニッツリピーターの音色サンプルはこちら(https://www.youtube.com/user/GPwatchesOfficial)。


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ハイライトアイテム No.3
トライアクシャル トゥールビヨン
3軸のトゥールビヨンの動きを9時位置のドーム型の風防や、ケースサイドの小窓から堪能できる。伝統的な複雑機構を搭載しながらも、タイムレスなデザインに仕上がっている点もポイントである。3977万円(チタン。税別)。


特筆すべきは、上記を含めておよそ20本が、すべて販売できる状態として整えられ、実際に現物を持ち帰ることができるように準備したことだ。保安上、そうした要望はなかったそうだが、リクエストがあればもちろん可能だった。実際に販売されたモデルは公開されていないが、複数のモデルがこの機会に日本のユーザーの手に渡ったと聞く。

時計づくりの奥深さに触れ、その情熱を共有することにおいて、今回、選ばれたユーザーたちは、かけがえのない体験をしたはずだ。そうした感動のひとつひとつが、ブランドを育て、ラグジュアリーに重みを与えるのである。冒頭で記述した“ラグジュアリーの本質に踏み込んだ”というのは、このことだ。

そしてもうひとつ、こうしたハイコンプリケーションの開発で培った技術が、定番モデルにもやがて応用され、そのエッセンスが将来的にブランド全体へと行き渡っていく事実も忘れてはならない。希少性が高く、飛び抜けて高額ゆえに、ごく一部の限られた人たちにしか手に取ることのできない製品だが、その動向が示す情報は大きな意味を持つ。これもまた事実なのである。

問い合わせ先

ソーウインド ジャパン

Tel.03-5211-1791

http://www.girard-perregaux.com/

           
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