アーティスティックな世界をより親しみやすく

創業者のピエール-ジャケ・ドローは時計師としてだけでなく、オートマタ＝からくり人形師として世界的に知られた偉人である。

2015年はもっとブランドを広くアピールし、ファン層の裾野を広げるための製品が発表された。

なかでも、ステップ運針を行う「デッドビート」の装備モデルやレトログラードを応用したムーンフェイズ機構を備えたカレンダーモデルは、メカニズムの面白さが伝わりやすく、注目の集まるモデルだ。

またレディスモデルにおいても、魅力的なオートマタ「レディ8 フラワー」がリリースされた。

機械式腕時計ではユニークな運針方法

この「グラン・セコンド デッドビート」は、実にユニークな機構を備えている。

時分針を12時位置に配し、6時位置のポインター式の日付表示は、扇形に運針をするレトログラードタイプだ。日付表示が末日まで進むと、瞬時に針が1日へ戻る。

センターに配された秒針も一風変わっている。通常の機械式時計の秒針は、流れるように運針するが、この時計の秒針は、1秒ごとに正確にジャンプする。このメカニズムは、クォーツ時計の秒針のような動きをする“デッドビートセコンド”と呼ばれるメカニズムで、18世紀に創業者ジャケ・ドローが作った懐中時計にもこの機構が搭載されており、古典的な機構の復活となる。

文字盤はツヤやかなアイボリーで、高温で焼成されたエナメル製。一見シンプルなようでいて、ユニークずくめのこの時計は、世界限定カラー88本の貴重なタイムピースだ。

グラン・セコンド デッドビート
ケース｜18Kレッドゴールド
直径｜43mm
ムーブメント｜自動巻き（Cal.JD 2695 SMR）
機能｜ポインター式日付表示（扇形に針が動くレトログラード式）
ストラップ｜アリゲーター
防水｜3気圧
限定数｜88本
発売時期｜10月以降予定
予価｜357万4800円

JAQUET DROZ｜ジャケ・ドロー

機械式機構で動く蓮の花（2）

月の満ち欠けをレトログラードディスクで表現

「エクリプス」は極めてシンプルに文字盤を仕上げたトリプルカレンダー＋ムーンフェイズモデルだ。日付表示は、文字盤外周の数字によって指し示され、月・曜日表示は文字盤12時位置の並んだ小窓で表示。

時間を示す立体的な目盛りを敢えて配さず、日付のさらに外周に配した、5分刻みのマーカーを手がかりに時刻を読む。こうすることで文字盤を広く見せ、大変にスッキリした印象のフェイスデザインとなっている。

その中で目を引くのが、6時位置に配されたムーンフェイズである。左右に星々を従え、ユーモラスなフェイスを描いた月にディスクが重なることで、月の満ち欠けを表現する方法は非常に特徴的だ。しかも、ディスクは扇形に動き、月が満月を迎えると、ディスクが最初の位置にジャンプするように戻るレトログラード方式。文字盤は簡素に見せながら、なかなかのコンプリケーションモデルであり、ジャケ・ドローの実力が伝わってくる1本である。

エクリプス シルバー
ケース｜ステンレススチール
直径｜43mm
ムーブメント｜手巻き（JD 6553L2）
機能｜月表示、曜日表示、日付表示（センターの指針で表示）、月齢表示（彫金された月にディスクが被さって月の満ち欠けを表示）
ストラップ｜アリゲーター
防水｜3気圧
発売時期｜8月以降予定
予価｜179万2800円

蓮の花が開きダイヤモンドが姿を現すオートマタ

ジャケ・ドローがブランドの象徴としている“8”の字をモチーフとしたケースは、それだけでも独創的なデザインだ。大きな円の側に時分表示が配され、写実的な蝶の姿が描かれる。その翅（はね）はていねいにエングレーブされ、半透明のレッドエナメルで塗装され、美しい発色を見せる。

そして、12時方向の小さな円の側には蓮のつぼみ。実は、これがオートマタ（からくり）である。ケース2時位置のプッシュボタンを押すと、蓮の花のつぼみはゆっりと開き、中からダイヤモンドが姿を現す。そして、またゆっくりと花びらを閉じる。オリエンタルで、自然主義的な芸術性にあふれた世界観が展開され、思わず魅入ってしまう。機械式時計の奥深さを巧みに盛り込んだ世界限定28本の希少なタイムピースである。

レディ8 フラワー
ケース｜ダイヤモンド付き18Kレッドゴールド
直径｜35mm
ムーブメント｜自動巻き（Cal.JD 615）
機能｜オートマタ（プッシュボタン操作で12時位置の花びらが開閉）
ストラップ｜アリゲーター
防水｜3気圧
限定数｜28本
発売時期｜10月以降予定
予価｜1848万9600円

ジャケ・ドロー /スウォッチ グループ ジャパン
Tel. 03-6254-7288

http://www.jaquet-droz.com/ja