クリストフ・クラーレ|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|CHRISTOPHE CLARET
CHRISTOPHE CLARET|クリストフ・クラーレ
機械式腕時計の限界と戦うクリストフ・クラーレ(1)
ジュネーブサロンに新に9つのブランドが加わったが、そのなかでもクリストフ・クラーレは創造を絶する複雑なメカニズムを開発し続けるブランドとして知られている。これまで男性に向けた複雑なモデルを数多く発表してきたが、2014年に初めて女性に向けた「マルゴ」を発表。今回はその第2弾「マルグリット」を披露した。
Text by KAWADA Akinori
すべてメカで動く贅沢な腕時計
前作「マルゴ」はケース2時位置のボタンを押すと、中央の花びらがアトランダムに隠れ、同時に花占いをしているかのように、相手の恋愛レベルが文字盤に表現されるというものだった。
前作「マルゴ」のプロモーションムービー
新作「マルグリット」では2時位置のボタンを押すという点は同じだが、その後の動作が少し異なる。時刻インデックスが消え、「彼は私を熱烈に愛している」というメッセージが表示される。そしてボタンから指を離すと、元の時刻インデックスに戻るのだ。インデックスの部分は、2つのディスクのモザイク加工を施した重ね合わせてあり、アッパーディスクは半透明で、ボタンを押すとかすかな角度で回転する。すると、重なり合ったモザイクのパターンの具合に応じて、メッセージが現れる。そしてボタンを押せば、ディスクの位置は元に戻り、そこにインデックスが現れるように、パターンの具合が工夫されているというわけだ。
このような複雑さを極めるメカニズムに加えて、装飾も女性らしい配慮がされている。細いアーム状をした時分針の先にセットされた蝶、ラグやベゼルのダイヤモンドなどロマンにあふれ、女性の心に訴えかける時計となっている。
マルグリット
ケース|18Kホワイトゴールド、合計100個のダイヤモンド付き
直径|42.5mm
厚さ|12.07mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.MT115)
機能|メッセージとインデックスの切り替え機能(回転ディスクによる)
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定数|30本
発売時期|未定
予価|1300万円(税別)
Page02. イスラムの聖地が文字盤中央に出現する
CHRISTOPHE CLARET|クリストフ・クラーレ
機械式腕時計の限界と戦うクリストフ・クラーレ(2)
イスラムの聖地が文字盤中央に出現する
2015年に登場した「アヴェンティクム」は独創的なコンプリケーションだった。スイスの古代ローマ時代の州都だったアヴァンシェ市(旧アヴェンティクム市)のローマン博物館に敬意を表する時計だった。文字盤の中央には、円筒状のスペースがあり、そこにローマ帝国の賢帝として知られるマルクス・アウレリウスの彫像をセット。像を取り巻くミラースコープという特殊な構造により、文字盤の中央を角度を変えながら覗き込むと、その彫像が浮かび上がるのだ。
文字盤およびムーブメントのセンターにそんな特殊構造を配置して、輪列がどのように配置されているのか、針を動かすための機構はどうなっているのか、気になってしょうがないモデルである。
新作「メッカ」は、時計中央に現れる彫像のモチーフが新しくなった時計だ。
イスラムの聖地である、サウジ・アラビアのメッカ。イスラム教徒が生涯に一度は巡礼に訪れるよう定められており、世界中の敬虔なイスラム教徒がメッカの方向への毎日の拝礼を欠かさない。そのメッカには聖地らしく大モスクがあり、その敷地の中にカアバという立方体の建築物がある。そこには、イスラムの聖なる宝とされているブラックストーンがあり、カアバの一角にハメ込まれているのだ。
この「メッカ」では、時計のセンターに出現するのは、このカアバである。美しく均整の取れた石像建設の姿は、文字盤の紋様と合わせて、幻想的に見え、時計に文化の香りを漂わせる。
昨今、中東情勢が険しくなり、難民問題やテロなどで欧州との関係が難しい状況だが、この腕時計は、本来、平和的な宗教であるイスラムへの敬意が表されている。スイスというお国柄とも合わせて、深く世界への思索を巡らすきっかけになるモデルである。
メッカ
ケース|アントラサイトPVD加工グレード5チタン
直径|44mm
厚さ|18.49mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.AVE15)
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定数|63本
発売時期|未定
予価|900万円(税別)
Page03. 古典的機構のコンプリケーションで宝飾系を強化
CHRISTOPHE CLARET|クリストフ・クラーレ
機械式腕時計の限界と戦うクリストフ・クラーレ(3)
古典的機構のコンプリケーションで宝飾系を強化
2015年に登場した「アレグロ」は、ミニッツリピーター、GMT、ビッグデイトを搭載した多機能なモデルとして知られるが、今回のSIHHでは、その宝飾仕様のスペシャルバージョンも登場した。
任意のタイミングでプッシュボタンを操作すると、現在時刻を音色で知らせてくれるミニッツリピーターは、コンプリケーションの中でも複雑さでは最高峰の機構であり、「アレグロ」は、その音色にまでこだわったモデルとして知られている。
しかも、過去の時計に範を取り、立体的で建築的に輪列をレイアウトするルイ十世様式を採用。ゼンマイが解けてトルクが弱まっても、脱進機にある程度まで一定の動力が供給されるコンスタントフォース機構まで搭載する。それほどの逸品時計に今回はバケットダイヤモンドをベゼルに36個、ラグに12個セットするユニークピースが作られる。その贅沢感は、まさにスペシャルと呼ぶに相応しいものだ。
アレグロ
ケース|18Kホワイトゴールド+アントラサイトPVD加工チタン、ベゼルに36個、ラグに12個のバケットダイヤモンドをセット
直径|45mm
厚さ|14.11mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.ALG89)
機能|ミニッツリピーター、GMT表示(3時位置インダイヤル)、昼夜表示、日付表示(2枚のディスクによるビッグデイト)
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定数|1本
発売時期|未定
予価|未定