ウルベルク|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|URWERK
WATCH & JEWELRY / SIHH&BASEL
2016年2月23日

ウルベルク|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|URWERK

URWERK|ウルベルク

プロダクトデザインとメカニズムの面白さ(1)

扇型のミニッツトラックによって、時刻を表示する機構が印象的なウルベルクがSIHHに初参加。ウルベルクといえば、得意なメカニズムとデザインだが、新たに考案された精度の自動測定機構や女性のために開発された新作が会場でも話題となった。

Text by KAWADA Akinori

独特の計時方式、新しい自動測定装置に目を見開かされる

ウルベルクは、時計師フェリックス・バウムガルトナー氏とデザイナーのマーティン・フレイ氏が設立。特にひと目見たら忘れられないユニークな時刻表示「アワーサテライト機構」は世界各国の時計愛好家の間で注目を集め、支持が広がるブランドだ。

昨年発表された「UR-105TA」のプロモーション映像

 この「アワーサテライト機構」は、バウムガルトナー氏が開発。世界でも希な回転ディスクによる時刻表示方法で、世界で高く評価された。その最新作では、4つの回転ディスクを使用した機構が登場。フレイ氏の製作にも手間がかかっており、熱心な支持者が生まれるのも当然の仕上がりだ。そんなメンズモデルのほかに、存在感のある宝飾仕様のレディースも今回は用意されている。

それと同時に、これまでにない、精度自動測定機能を持つ、“発明”と称するにふさわしい腕時計も登場した。電子デバイスによって機械式時計の測定を行うというのは、これまでにないエポックメイキングな仕組みだ。ウルベルグは、こうした新しい時計機構の発展を期待させる技術力を持ったブランドといえる。

爬虫類の皮膚や樹木の表面を思わせる迫力の外装

「UR105 T-REX」のT-REXとは、ご存知「ティラノサウルスの分類名(ティラノサウルス・レックス)」のこと。そのモデル名のとおり、外装を多う装飾は、まるで恐竜の皮膚のようだ。

外装だけでなく、12時位置にある大型リューズも爬虫類の表皮のように仕上げられている。それらはスイス時計の伝統的な金属の装飾方法「クル・ド・パリ」と呼ばれる手法が採用されている。この模様は緩やかに曲線を描きながら、6時方向にかけて模様が次第に大きくダイナミックになっていく。これらの工程を経て、さらに細かな砂を吹き付けて光沢を抑えるサンドブラスト加工、そして酸化処理を施されると、素材のブロンズの質感と相まって見事なマットブラックが現れる。ひとつひとつの緻密な職人技が「UR105 T-REX」を形作っている。

327_1-3

327_1-3

計時機構は、アワーサテライトと呼ばれる4つの回転する円盤を使用したものだ。この回転する円盤には、それぞれ3つの時刻を表示するための数字が刻まれている。腕時計の6時位置で“時”を示し、ケースの外周に沿って刻まれた目盛りで“分”を示す。

ゼンマイを巻き上げるための機械式自動巻き機構もユニークな機構を採用している。自動タービン制御と呼ばれるこの機構は、腕時計のどんな動きもローターが敏感に反応して巻き上げる“フル”モードと、自動巻き機構を停止させ、手巻きだけで巻き上げを行う“ストップ”モード、ローターの巻き上げ効率を下げてゼンマイの巻き過ぎを防止する中間モードを選択できる。ゼンマイ残量や着用者の活動に応じた巻き上げ方式を選べる秀逸な機構だ。

独創的なメカニズムが気になる時計ファンに、ぜひ出会ってほしい1本だ。

327_1-3

UR-105 T-REX
ケース|ブラックでコートしたブロンズ、ケースバックはブラックPVD加工チタン
サイズ|縦53×横39.5mm
厚さ|16.8mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.UR 5.02)
機能|4つの回転する円盤で時刻を表示するアワーサテライト機構
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定数|22本
発売時期|2016年4月
価格|880万円(税別)

Page02. フェミニンな香りを発する「UR-106」

問い合わせ先

イースト・ジャパン

Tel. 03-3836-3522

http://www.urwerk.com

URWERK|ウルベルク

プロダクトデザインとメカニズムの面白さ(2)

フェミニンな香りを発する「UR-106」

バウムガルトナー氏が作り上げる精緻なメカニズムの世界と、フレイ氏によるジュエリーとともに女性に向けてたデザイン。両者を持ち合わせた上質な腕時計が「UR-106」のロータスとブラックロータスである。

サファイアクリスタルで覆われた時計機構には3つのディスクが搭載されている。これらが時分の“時”を表示する。そしてベゼルの6時付近には、“分”を表示するための目盛りが刻まれている。

327_1-3

327_1-3

327_1-3

6時位置にはムーンフェイズがセット、ラピズラズリの深いブルーに配した光沢感ある月の像が満ち欠けする姿も美しい。カラーは、ホワイトとブラックを用意し、光と影、陰と陽をイメージさせる。

ウルベルクらしいメカニズムを踏襲しつつ、フェミニンで贅沢なイメージをまとった腕時計として、デザインもまとまっている。これまでのウルベルクの時計とは異なり、ユニークなブランド力と強いインパクトを与える新作だ。

327_1-3

UR-106 ロータス、ブラックロータス
ケース|ダイヤモンド付きステンレススチール(ロータス)、ブラックダイヤモンド付きブラックPVD加工ステンレススチール)
サイズ|縦49.4×横35mm
厚さ|14.45mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.UR 6.01)
機能|3つの回転する円盤で時刻を表示するアワーサテライト機構、ムーンフェイズ
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定数|11本(ロータス)、11本(ブラックロータス)
発売中
価格|各1150万円(税別)

Page03. 精度調整を楽しむ機構搭載

問い合わせ先

イースト・ジャパン

Tel. 03-3836-3522

http://www.urwerk.com

URWERK|ウルベルク

プロダクトデザインとメカニズムの面白さ(3)

精度調整を楽しむ機構搭載

機械式時計の精度調整は、腕時計専門のごく限られた者しかできない繊細な技術職だ。素人では、時計を壊してしまいかねない。しかし、そんな常識を覆すようなレバーを回すだけで気軽に精度調整できるメカニズムを組み込んだのが、この「EMC タイムハンター」である。

近未来の兵器を創造させるデザインで、オフセンターに時分を表示する文字盤という配置だ。文字盤の9時位置から12時位置付近にかけて、見慣れない表示があることにお気づきだろうか。これこそが、この時計の眼目である。

この扇型のインディケーターには、2種類の目盛りが配されている。一方は1日あたりの精度を表示する目盛りで、±15秒のまで検知できる。もう一方はテンプの振幅を表示する目盛りで、脱進機が良好かどうかを知るための目盛りだ。

あらかじめムーブメントの中には、電子デバイスが組み込まれており、光学的にテンプの運動を常に観察している。同時に1日に生じる精度の誤差も計測し、1日当たりにどれだけの時間差(日差)が生じたのか表示するのだ。

電子デバイスを稼働させるための電力は、手動による自己発電機能によって供給される。ケース右側面にあるレバーが、発電させるための操作レバーで、レバーを引き上げてジェネレーターを動かす。稼働させるための供給電力量の過不足は、LEDで表示させることができ、ユーザービリティが高い。ケース8時位置のボタンを押すと、蓄積された電力で内部の電子デバイスやセンサーが稼働し、日差とテンプの振幅の状態を知ることもできる。

インディケーターを見て日差が大きいと思ったら、ケース裏面にある調整ネジを回して精度調整できる。調整ネジによって調整することで、ヒゲゼンマイとテンプの運動のスピードを微調整。専門の技術者に依頼しなくても所有者自身が精度調整が簡単に行える。この仕組みで日差の調整が十分にできずに、表示されるテンプの振幅が、220〜280度の範囲から外れていたら、用心が必要だ。

327_1-3

なにかしらの不調が脱進機に起こっている徴候かもしれず、その際は、素直にメーカーへメンテナンスを依頼すべきである。

機械式時計は、1週間も使用すれば、ユーザーの日常生活の動きの違いによって大きな姿勢差が生じ、精度が損なわれてしまうことがある。このような手軽な調整が行えることは、計時の正確性を保つためにありがたい機能であり、精度にこだわる時計ファンなら、自分の時計の精度を知ることが楽しい経験になるはずだ。時計の好不調を日々定期的に知ることができるということは、致命的な損傷を避けられる可能性も高くなる。ユニークにして、究極の実用性を持った機構である。

327_1-3

EMC タイムハンター
ケース|グレード5チタン+ステンレススチール(グリーンセラミックコーティング)
サイズ|縦51mm×横43mm
厚さ|15.8mm
ムーブメント|手巻き(Cal.UR-EMC02)
機能|手巻き式自己発電機能、光センサーや集積回路による歩度およびテンプの振幅の計測・表示機能、歩度調整ネジ、電力蓄積量表示
ストラップ|ファブリック
防水|3気圧
限定数|15本
発売時期|2016年年内予定
予価|1560万円(税別)

問い合わせ先

イースト・ジャパン

Tel. 03-3833-9602

http://www.urwerk.com

           
Photo Gallery