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2021年3月5日
高振動かつ長時間駆動の革新キャリバーを搭載。新たなデザインとなったグランドセイコーの金字塔モデル|Grand Seiko
Presented by GRAND SEIKOGrand Seiko|グランドセイコー
「実用時計の最高峰」であることに加え、ニッポン独自の美意識を具現した、メカニカルウオッチの理想形(1)
グランドセイコーの新たな歴史がここからはじまります。ダイアルに表現した森羅万象に対するブランドの思想・信念、代々受け継がれるデザイン理念である“セイコースタイル”を現代の感性で再解釈した美麗なフォルム、さらには飛躍的に改良された最新の機械式ムーブメント。全方位的にレベルアップされたこのモデルが、やがて世界で称賛されることは想像に難くありません。技術も、コンセプトも最高峰。このモデルが、ニッポンのオート・オルロジュリーの“ど真ん中”となり、エポックモデルとして後世に名を残すと確信しています。
Photographs by OKAMURA Masahiro(CROSSOVER)|Edit & Text by TSUCHIDA Takashi
ブランドフィロソフィー「THE NATURE OF TIME」を、新たなデザインプロトコルに
かつてないオリジナリティに溢れたダイアルです。鏡面と筋目が複雑に入り混じり、光と影を生み出して文字盤を有機的に見せています。
澄んだ空気で満たされ、“凛”とした静けさに包まれる森の中の心象風景。これは、グランドセイコーの機械式モデルが製造されているグランドセイコースタジオ 雫石と同じ岩手県内に位置する、平庭高原の白樺林からインスパイアされているそうです。
20世紀はじめに実用化された腕時計は、その当時、ヨーロッパで流行していたアール・デコ様式に影響されながら進化してきました。それゆえスイス勢のギョウシエ文字盤はどれも幾何的で、直線や曲線を人工的に配したものばかり。
それもそれで素晴らしいのですが、Grand Seikoがいま一度、掲げたのは、ニッポンの美学です。つまり八百万に神を見る心であり、自然と人間を隔てるのではなく、自然と共存するこの国の古来スタイルに準拠しています。
「落ち着く」「腑に落ちる」という無意識の感覚。それを人工造形に見るか、それとも四季が移ろう森羅万象に見るのか。優劣を競うものではありませんが、私の答えは後者です。
より見やすく、より着けやすく。“セイコースタイル”をアップデート
“セイコースタイル”とは、グランドセイコーの進化の過程で育まれた、デザイン哲学です。正確で見やすく美しい、そして腕に着けやすいことを主眼とした実用機能のブラッシュアップ、その行き着いた先の機能美を“セイコースタイル”と呼んでいます。
このモデルでは、かつてないボリュームのインデックスと幅広の針が搭載されています。それは時刻の判読性を向上させるためのデザインですが、それだけはなく、威風堂々とした様が自然を讃えたダイアルのテクスチャーと好対照を成しています。見るたびに、誇らしくなる。腕時計の“顔”とは、こうあるべきものです。
“顔”だけではありません。ケースフォルムに無理がなく、伸びやかで自然な立体造形となっています。ケース両サイドにスラリと入った鏡面が平滑で、ケース形状はカン足に向けて緩やかなカーブを描いています。熟練職人が手掛ける高度なザラツ研磨技術の賜物であり、この意気揚々とした迫力は、突出していると感じます。
ケースフォルムは、搭載ムーブメントの薄さにも関係しています。このムーブメントは、5.18mmという薄型化を実現。したがってケースデザインの工夫でフラットな印象を捻り出す必要がなくなり、自然な伸びやかさが出ているのです。
ムーブメント自体が薄いことで、ケース底面からリュウズ芯までの高さが短くなりました。これによりケースが低重心設計となり、腕に載せたときの安定感が抜群に良くなっています。
時計史には、「カーベックス」というケースが腕に沿って大きく曲面を描くモデルもありますが、このモデルのケースラインは、よりナチュラルなカーブで腕上に載り、まるで腕に吸い付くように安定します。
このモデルでブレスレットの設計も一新されました。5連パーツすべてがヘアライン仕上げ。輝きを抑えることでダイアルを引き立たせます。コマは小さく、パーツ数を増やすことで腕に沿わせ、フィット感をこれまで以上に高める工夫も施されています。
デザインのすべては、腕上で時を刻み告げる機能の追求。その完璧な仕上がりが、シャープな印象を作り出しているのです。