Roger Dubuis|CEOインタビュー
ロジェ・デュブイCEO
マティアス・シュラー氏インタビュー
ロジェ・デュブイは1995年の創業以来、ほかにはない個性をもってラグジュアリーウォッチの分野を先駆けてきたブランドだ。2008年にリシュモングループの傘下になってからは着々と製作体制を強化。2010年の今年はあらたなムーブメントを発表し、同社のフラグシップコレクションともいえる「エクスカリバー」の再ローンチをはかった。ラウンド型のエクスカリバーから発表されたニューモデルのなかでも注目を浴びたのが、文字盤の表側からも機構を楽しむことのできる「エクスカリバー トゥールビヨン・オープンダイヤル」だろう。フライングトゥールビヨンとマイクロローター自動巻き機構、これらふたつのメカニズムを文字盤から楽しむことのできる斬新な発想の時計には、新型ムーブメントである「RD520」を搭載。この力のこもった最新作について、「ロジェ・デュブイ」CEOであるマティアス・シュラー氏は次のように語ってくれた。
写真=下川 順司文=野上亜紀
“エンジン”を見せる コンテンポラリーなデザイン
「ダブルトゥールヨンの刷新をはじめ、今年は『エクスカリバー』のリニューアルを発表しましたが、ことにこの『エクスカリバー トゥールビヨン・オープンダイヤル』は、ロジェ・デュブイが提案するトゥールビヨンの新しい形です。フライングトゥールビヨンとマイクロローターを表から楽しめる多層構造のダイヤルにマザーオブパールをあしらったデザインは、とてもコンテンポラリーでモダンでしょう。
マイクロローターを採用したモデルにはほかにコラムホイール式クロノグラフの『エクスカリバー クロノグラフ』もありますが、こちらはトゥールビヨンとは趣の違う、よりエッジーなデザイン。自分たちの“誇り”でもあるムーブメントを見せたいと願っていた結果、このトゥールビヨンのデザインが生まれたんです」
今年提案されたミニッツリピーターもまた、風防のサファイアガラスを通して機構を覗き見ることができるデザインだ。これもまたロジェ・デュブイが掲げる“大胆”さへの挑戦である、とシュラー氏は語る。
「ハイエンドモデルのプレゼンとしてはユニークなものですよね。どのブランドもミニッツリピーターを出していますが、ほかのクラシカルな見せ方とちがってロジェ・デュブイはやはりデザイン面でも一歩リードしている、ということを見せたかったんです。ハイエンドモデルでいま求められているのは、ほかとの差別化やレアであること、そして個性です。私たちはメカニズム見せることも、コンテンポラリーなスタイルのひとつだととらえています。たとえばフェラーリはエンジンの一部がガラスになっていて、なかを覗けるようになっていますよね。時計もそれと同じ。コンテンツという魅力的な部分をこそ、積極的に見せるべきではないでしょうか」
C.O.S.C.認定のさらなる価値、エクスクルージブへの挑戦
同様に“エンジン部分”への新たなる方針として、同社は今年発表したすべてのムーブメントにC.O.S.C.認定を進めるなど、よりユーザーへと訴えかけるような姿勢を見せてくれた。
「ロジェ・デュブイのムーブメントにはすべてジュネーブ・シールの刻印がついていおりますが、さらなる追加要素としてこれから数年でコレクションのすべてに公認クロノメーター、C.O.S.C.の認定を得たいと思っています。公的機関でもある第3者の認定を得るということはユーザーにとっても重要なことと考え、昨年からこの計画を進めてきました。ニュームーブメント「RD821」を搭載してリニューアルを行った「イージーダイバー オートマティック」など、同社では低価格となる150万円以下のモデルも提案しています。