『esthète』ディレクター 吉田十紀人インタビュー
メンズ・ジュエリー・ブランド『esthète』
ディレクター 吉田十紀人インタビュー
自社オリジナルブランド『ヴァンドーム青山』や、海外ライセンスブランド『アナ スイ』、『ジル スチュアート』などを展開するヴァンドームヤマダが、はじめて取り組むメンズ・ジュエリー・ブランド『esthète(エステット)』。
「男の装いのなかのジュエリー」を提案するディレクター 吉田十紀人さんにブランドのコンセプトをうかがった。
写真=北原 薫
英国のシティで働くジェントルマンたちはあまりゴールドで飾らない
『esthète(エステット)』とは、19世紀に興った『耽美主義』をあらわす言葉です。それは芸術のための芸術を求め、美しいものを愛し尽くそうとした精神性をもった時代で、そんな美意識への憧れから生まれたメンズ・ジュエリー・ブランドです。
着こなしにおけるいわゆるTPOなど、装いはその人の教養の一部といわれて久しいですが、男性のジュエリーやアクセサリーの身につけ方に関してはマニュアルもないし、そもそも美しくスマートに身につける習慣もあまり一般的ではありません。
とくに日本では、装いにマッチさせて装飾品をつけ替えるということにまだまだ関心が薄いように感じます。
たとえば、オーセンティックなダークスーツのときには、ゴールドがいいのか、シルバー(ホワイト)がいいのか。
ホワイトといっても、シルバー、ホワイトゴールド、プラチナとあって、やはりそれぞれに輝きや重量感などがちがいます。
あるいは、ダークスーツにルビーやサファイヤなど色石はどう飾れば美しいのか。
このメンズジュエリー・ブランド『esthète(エステット)』では、「なんのために飾るのか?」「どう飾れば賢くスマートなのか?」を、私の冷静な俯瞰的な目で見て、装いのほうからディレクションしています。
男の装いの代表的な3つのカテゴリー
たとえば、ヒースカラーのツィードのスーツを着たときにはゴールドやグリーンの石が似合うし、逆に男には、ロックやピースマークなど流行とは関係なく好きなものがあります。
そういう装いのコーディネート性や趣味趣向を、スタイリスト的な発想でとらえると、装いと装飾性の整合性がみえてきます。
『esthète(エステット)』では、それを「NOBLE」、「MODERNIST」、「HOBBY」という3つのカテゴリーに分類。
「NOBLE」は、オーセンティックなエレガントスタイルで、クロージングのための上品なアイテムをピックアップ。
「MODERNIST」は、メンズジュエリーのいまを感じさせるUP TO DATEな着こなしにフィットするパーソナリティの高いアイテムをピックアップ。
「HOBBY」は、男のこだわりや趣味、道楽、マインドなどをテーマに、デニムなどデイリーなスタイリングに似合うアイテムをピックアップ。
いまのメンズジュエリー界の“なんでもあり”という混沌状態を、装いという逆からの発想で整理して、男のモダニズムを楽しんでほしいと思います。
2009年にはクラブリングのシリーズを発表します
メンズのコレクションには、欠かすことのできないのがクラブリング。『esthète(エステット)』ではクラブリングをテーマに、ベースの地金の種類やイニシャル、ストーンの色などを自分の好みにしつらえられる「カスタム・オーダー」を2009年新春からスタートします。
これらリングの原型製作は、本場アメリカでも数少なくなった金型職人Mr.HANSへ依頼。氏はこれまでにPGA,NFLのチャンピオンリング、アメリカ海軍、空軍,陸軍等のリング等などや一流大学のカレッジリングを手がけてきたアメリカでも数少ない造形職人の第一人者です。そんな氏に私たちのデザインを一年以上の時間をかけて納得のいくスタイルに仕上げてもらいました。
ぜひご期待ください。
ジュエリーの世界は、ひとつひとつが美術工芸品であり装飾品でもあります。
このコーナーでは、カフリンクスやタイバー、リングなど、装いとしてのアクセサリーを上手に取り入れている洒落者の方々との談義をとおして、メンズ・ジュエリーの魅力をお伝えしていきたいと思います。