特集|パテック フィリップの不変と普遍を探る|PATEK PHILIPPE
Watch & Jewelry
2016年9月28日

特集|パテック フィリップの不変と普遍を探る|PATEK PHILIPPE

PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ

世界最高の時計をつくるために

特集 パテック フィリップの不変と普遍を探る(1)

「PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)」は、世界中の時計愛好家から羨望のまなざしを向けられ続けている。その理由のひとつが1839年の創業から今日に至るまで、製造したすべての時計の修理・修復を受けるというその姿勢にある。そしてもうひとつは意匠の継承である。パテック フィリップの変わることのない企業理念と、継承されるデザインを改めて見てみよう。

Text by KOIZUMI Yoko

創業からのすべての製品を修理・修復

スイス・ジュネーブ市内にパテック フィリップが運営する時計博物館「パテック フィリップ・ミュージアム」がある。同社製品のみならず時計史を俯瞰できる所蔵品を多数揃えており、そのレベルの高さでマニア垂涎の存在となっている。

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その所蔵品のひとつに『顧客台帳』がある。ここには創業以来つくられた時計の、顧客名、販売年、材料費、担当者、価格といった詳細なデータが記されている。なかにはヴィクトリア女王をはじめとするヨーロッパ各国の王族の名前を見ることができる。

この台帳で驚くべきは記載されている人の名前ではない。この台帳と同様のデータがいまなお蓄積され続けているということだ。こうしたデータがあればこそ、パテック フィリップのオーナーは時計がある限り、アフターサービスを受ける“権利”を持ち続けることができる。そして同社はその義務を負い、この責務を全うし続けているのである。

マニュファクチュール(自社一貫生産)を標榜するウォッチメーカーは数あれど、永久に修理・修復し続けることを約束しているメーカーはない。同社から生み出される時計が最高峰であることと同時に、アフターサービスもまた最高峰なのである。

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不変のデザインを継承する

パテック フィリップが腕時計をつくり始めたのは1910年代のこと。当初はトノーやレクタングル、クッション型などのケースデザインが存在した。そんななかで1932年、ひとつの傑作が登場する。ドイツ建築・装飾芸術運動バウハウスの理念に基づいた意匠による「カラトラバ」が創作されたのである。

時計の基本形といえるラウンドケース、シャープかつ力強いフォルムのドフィーヌ型針と立体的な植字インデックスを組み合わせた文字盤は、高い視認性と同時にエレンガントな雰囲気を醸し出す。その後のラウンド型ドレスウォッチの模範となっただけでなく、パテック フィリップにとっても“永遠のクラシック”を手に入れたことでもあった。“誕生したときにすでに完成を見ていた”カラトラバは、80年以上を経てなおロングセラーとして君臨し続けている。

ただしカラトラバだけが、デザインの不変性を具現しているのではない。たとえば「クロノグラフ」や「ワールドタイム」でも同様だ。いまなお続くクロノグラフは1946年、ワールドタイムは1940年に発表されたものであり、マイナーチェンジはあるものの、現行モデルと比較しても基本的なデザインが変わっていないことはおわかりになるだろう。

1-●cala_ori_Ref96_P0410_a_200

1932年発表
カラトラバ Ref.96
イエローゴールド

2-●chiro_ori_(130)-P0845_a_200

1946年発表
クロノグラフ Ref.130
ステンレススチール

3-●world_ori_ref_1415-1HU_de-1940_a

1940年発表

ワールドタイム Ref.1415-1HU
イエローゴールド

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PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ

世界最高の時計をつくるために

特集 パテック フィリップの不変と普遍を探る(2)

世界最高の時計をつくるために

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一方で、過去のモデルを昇華してエッセンスを封じ込める――そんなデザインワークで、変わらぬ美意識を継承しているモデルもある。それが「Twenty〜4®」であり、カラトラバに新たにラインナップした「カラトラバ<<タイムレス・ホワイト>>7122/200」だ。

ともに独創的なアイデアが採用された意匠となっているが、ミュージアムピースからもパテック フィリップがオリジナリティを創出する力を持ち続けているウォッチメーカーであるとわかる。

たとえば1925年、ブラジルの高級時計宝飾店ゴンドーロ&ラブリオ社に向けて製作されたスペシャルモデル『ゴンドーロ』はいま見ても優れたデザイン性を実感する。少し面長で肉厚の気品を感じさせるケースフォルムは、20世紀初頭の時計デザインにおける傑作であり、こちらもカラトラバ同様、現代の時計に影響を及ぼしたモデルだ。

1925年に発表されたInv.P-1322(イエローゴールド/写真左)は、2007年にプラチナケースモデルRef5098(写真右)が、2009年にローズゴールドモデルRef.5098が発表され、時計愛好家から絶賛をもって迎えられている。

Geneva-Salon

1925年発表
ゴンドーロ Inv.P-1322
イエローゴールド

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2009年発表
ゴンドーロ Ref.5098
ローズゴールド

この3本の共通点は時代に合った最高のエレガンスを形にしていながら、どんな時代にも美しいと思わせる不変を備えていること。ちなみにTwenty〜4®は1999年に発表されたシリーズであり、カラトラ<<タイムレス・ホワイト>>7122/200は今年のモデルである。どうだろう、これらモデルに古さや新しさは感じられるだろうか。

“発表したとき、すでに完成を見たデザインである”ことはカラトラバにだけ当てはまる話ではない。クロノグラフしかり、ワールドタイムしかり。そしてレディスモデルや新作からもその高いデザイン力を納得いただけるはずだ。

パテック フィリップの創業時の社是、それは「世界最高の時計をつくる」――。この社是を守るために、世界最高の時計をつくり、お客様に最高の状態で使用していただくために最高のアフターサービスを用意してきた。そしてこの姿勢を続けることで、“パテック フィリップという不変”をつくりだしたのである。パテック フィリップが受け継ぐのは、時計という製品だけではないのである。

1-●cala_ori_Ref96_P0410_a_200

カラトラバ
Ref.5196

ケース|18Kイエローゴールド、18Kローズゴールド、18Kホワイトゴールド、18Kプラチナ

文字盤|シルバー、ゴールドインデックス

直径|37mm

厚さ|6.8mm

ムーブメント|キャリバー215 PS 手巻ムーブメント

パワーリザーブ|約44時間

ストラップ|アリゲーター・ストラップ

防水|3気圧

価格|18Kイエローゴールド 226万円、18Kローズゴールド 247万円、18Kホワイトゴールド 247万円、18Kプラチナ 416万円(すべて税抜)


1-●cala_ori_Ref96_P0410_a_200

Twenty〜4®
Ref.4910/10A

ケース|36個(約0.45カラット)のダイヤモンドを配したステンレススチールケース

文字盤|カラーはパーフェクト・ブルー、ゴールドインデックス

サイズ|25×30mm

ムーブメント|キャリバーE15クォーツ・ムーブメント

ブレスレット|ステンレススチール

防水|3気圧

価格|137万円(税抜)


1-●cala_ori_Ref96_P0410_a_200

クロノグラフ
Ref.5170

ケース|18Kホワイトゴールド、サファイヤクリスタルバック

直径|39.4mm

厚さ|10.9mm

ムーブメント|キャリバーCH 29-535 PS手巻ムーブメント

パワーリザーブ|約65時間

機能|クロノグラフ、センター・クロノグラフ秒針、30分計、スモールセコンド

ストラップ|ケース素材と同一の折り畳み式バックルを備えたアリゲーター・ストラップ

防水|3気圧

価格|911万円(税抜)


1-●cala_ori_Ref96_P0410_a_200

ワールドタイム
Ref.5230

ケース|18Kローズゴールド、サファイヤクリスタルバック

直径|38.5mm

厚さ|10.23mm

ムーブメント|キャリバー240 HU自動巻ムーブメント

パワーリザーブ|約48時間

機能|24タイムゾーン表示、24時間表示

ストラップ|ケース素材と同一のカラトラバ十字付き折り畳み式バックルを備えたアリゲーター・ストラップ

防水|3気圧

価格|535万円(税抜)

問い合わせ先

パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター

Tel. 03-3255-8109

http://www.patek.com

           
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