特集|パテック フィリップが選ばれる理由|PATEK PHILIPPE
PATEK PHILIPPE|パテック フィリップ
スプリット秒針クロノグラフ 5370Pにみる
特集 パテック フィリップが選ばれる理由
「PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)」が放つ魅力とは、実用性と圧倒的に美しく丁寧なつくり、そして無理のない緻密な設計とデザインなのだろう。「スプリット秒針クロノグラフ5370P」を中心にその魅力に迫る。
Text by OPENERS
高度な信頼性と確かな精度を象徴するクロノグラフ
いの一番にその名が浮かぶラグジュアリーウォッチでありながら、他を凌駕する実用性をもつ「パテック フィリップ」の腕時計たち。「カラトラバ」などのシンプルなコレクションから、同社が世界ではじめて開発した「永久カレンダー」などのグランドコンプリケーション、さらに「ノーチラス」「アクアノート」といったスポーツエレガンスまで貫かれているそのクラフツマンシップは、愛好家からの絶大な信頼につながっている。
パテック フィリップの時計たちは、圧倒的に美しく丁寧なつくりと実用性を兼ね備えている。無理のない綿密な設計により美しく仕上げることができると言ったほうがいいのかもしれない。2015年のバーゼルワールドで発表された「スプリット秒針クロノグラフ 5370P(以下5370P)」にも、このクラフツマンシップが息づいている。
このモデルに搭載されているスプリットセコンドクロノグラフとは、二つのクロノグラフ秒針を同時に駆動させ、ボタン操作で秒針のうち一つ(スプリット秒針)を任意にストップ/スタートさせて、ラップタイムを測ることができる機能。非常に機械に負荷のかかる機構だが、その確かな手腕によってパテック フィリップがとくに得意としてきたコンプリケーションのひとつだ。
「5370P」では、2時位置にスタート/ストップボタンを配し、リューズと同軸にあるスプリットボタンを押すと、スプリット秒針のみが停止する。もう一度スプリットボタンを押すと、先行するクロノグラフ秒針に追いつき、その姿を隠す。その所作は寸分の狂いもなく、整然と躍動する。
本モデルに搭載された手巻きムーブメント、キャリバーCHR 29-535 PSは、従前のムーブメントよりも歯車の伝達効率を向上させ、摩擦を減少させているという。1920年代に最初に手がけたクロノグラフの腕時計よりスプリットセコンドを搭載してきたパテック フィリップ。この伝統をより進化させ、ディテールにこだわるこうした姿勢が、同社の高い信頼性と高精度を育んできたクラフツマンシップそのものだ。
きらめく黒い文字盤
この時計を手に取ると、ケースバックから覗くこのコラムホイールムーブメントに目を奪われることは間違いない。だが、それ以上に惹きつけられる美しさを放っているのが黒い文字盤だ。ブラックの文字盤は本黒七宝焼きという手法で作られるブラックエナメル。ホワイトゴールドのディスクに黒七宝を塗布し、850度の高温で溶解。その後、冷却し手作業で滑らかに磨かれる。均質な表面を得られるように丁寧に作られていく。
パテック フィリップは、ポケットウォッチを中心に彼らが「レアハンド」と呼ぶエナメルや彫金のワンオフモデルを得意としてきたブランドでもある。メカに関して語られることの多い同社だが、エナメル装飾に関しても、他の追随を許さない圧倒的なテクノロジーとクラフツマンシップを育んできたのだ。
いっぽう、他社でも近年は文字盤のエナメル装飾は珍しいものではなく、どこかのラグジュアリーブランドがほとんど毎年のごとく新作を発表している。しかし、それらの文字盤には、小さな気泡の跡やそれらを消した研ぎ跡がどうしても目に付いた。とくにブラックエナメルで生じる輝きの歪みは美観を損ない、愛好家たちの職人たちへの敬意を貶める。本物のラグジュアリーウォッチの顔としては、褒められた出来ではないことがほとんどだった。
スプリット秒針クロノグラフ
Ref.5370P
ケース|プラチナ950
文字盤|ホワイトゴールド、本黒七宝、インデックスにホワイトゴールドの植字ブレゲ数字
直径|41mm
厚さ|13.56mm
ムーブメント|手巻き(Cal.CaHR 29-535 PS)
パワーリザーブ|最大65時間(最小55時間)
機能|スプリットセコンドクロノグラフ(クロノグラフ秒針、スプリット秒針、30分積算計、1000mベースのタキメーター目盛)
ストラップ|アリゲーター(プラチナ950バックル付き)
防水|3気圧防水
価格|2801万円(税抜)
だが、5370Pの文字盤は、こうした腕時計にかかるエナメル装飾のイメージを覆す。ホワイトゴールドの植字とともにツヤやかな光沢感を見せる文字盤は、ガラスやオニキスのような透明感のある輝きが目を奪う。とくべつな誂えではなく、レギュラーモデルとしてこの文字盤をラインアップできるのは、他ブランドには真似できるものではないだろう。パテック フィリップが愛好家たちの尊敬を集める理由はここにある。
常に時計を極めんとするこうしたクラフツマンシップが息づいているのは、このクロノグラフばかりではない。パテック フィリップの時計たちにはさまざまな妙技を凝らしたモデルが揃っている。この季節、新作ウォッチを求めて時計店を訪れる機会があるのなら、この機能美を極めし時計たちもあわせて手に取ってみてほしい。
年次カレンダー搭載クロノグラフ
Ref.5905P
ケース|プラチナ950
直径|42mm
厚さ|14.03mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.CH 28-520 QA 24H)
機能|年次カレンダー(12時位置に日付表示・2時位置に月表示、10位置に曜日表示)、フライバッククロノグラフ、昼夜表示(6時位置のスモールセコンド内の小窓)
ストラップ|アリゲーター(プラチナ950バックル付き)
防水|3気圧防水
価格|879万円(税抜)
年次カレンダー
Ref.5396R
ケース|ローズゴールド
直径|38.5 mm
厚さ|11.2mm
ムーブメント|自動巻き(Cal.324 S QA LU 24H/303)
機能|年次カレンダー(12時位置下の曜日・月表示、6時位置に日付表示)、ムーンフェイズ、24時間表示
ストラップ|アリゲーター(ローズゴールドバックル付き)
防水|3気圧防水
価格|539万円(税抜)
ノーチラス 年次カレンダー
Ref.5726A
ケース|ステンレススチール
直径|40.5mm(10-4時方向)
厚さ|11.3mm
ムーブメント|自動巻き(Cal. 324 S QA LU 24H/303)
機能|年次カレンダー(12時位置下の曜日・月表示、6時位置に日付表示)、ムーンフェイズ、24時間表示
ストラップ|アリゲーター(ノーチラス折り畳み式バックル)
防水|12気圧防水
価格|444万円(税抜)