連載|World Luxury Jewelry Report 第1回「上級者のためのダイヤの品質基準ABC」
Watch & Jewelry
2015年11月20日

連載|World Luxury Jewelry Report 第1回「上級者のためのダイヤの品質基準ABC」

世界のハイジュエリー最前線

第1回「上級者のためのダイヤの品質基準ABC」

宝石のなかのトップ・オブ・ザ・トップとでもいうべき存在のダイヤモンドは、いままで「婚約指輪のための宝石」といった視点で語られることが多かった。だがジュエリーに親しみ、その資産価値を知る人びとは、さらに進んだ知識を得て、よりよいダイヤモンドを手に入れている。この3回の連載では、知的にダイヤモンドを楽しむための最新事情をご紹介しよう。

Text by HONMA Keiko

ダイヤモンドという特別な宝石

ダイヤモンドは、ほかの宝石とはっきりと区別されている。

たとえば、いわゆる「鑑定書」。正確にはグレーディングレポートと呼ばれている。この「鑑定書」は、ダイヤモンドだけに添えられているものだ。

ほかの宝石に付いているのは「鑑別書」。

「鑑別書」には宝石が天然のものか、合成か模造かなどが記されているが、グレーディングレポートに書かれているのは、婚約指輪を買うときに誰もが一度は聞くはずの品質基準「4C」が記されている。

カット、カラット、クラリティ、カラー、これら4つの品質基準はカラットを除けば、ほかの宝石にはないダイヤモンドだけのものだ。

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ショパールのゴルコンダの裸石

希少性の高さ=人気の高さ

ダイヤモンドはこのところ値下がり傾向にあるが、一方で白熱しているのは、ハイクオリティな大粒のダイヤモンドの需要だ。

供給量が少なく希少性が高いため、値崩れしにくいことから、まるで美術品を買うように10カラットものダイヤモンドを買う人びとがいる。そうした資産としての視点から見たときのダイヤモンドのトレンドで、トップをいくのは「D-FL」(またはD-IF)だろう。

完全に無色であることをあらわすのが「Dカラー」で、なおかつ不純物や傷がまったくない「FL」、もしくはそれに準じる「IF」と鑑定された大粒石が人気だ。D-FLやD-IFだけを収集する目利きもいるくらいなのである。

上級者が好む規格外のクオリティ「タイプ2a」

宝石をよく知るひとは、4Cであらわしきれないダイヤモンドの特質にも注目する。

それが「タイプ2a」と呼ばれるものだ。タイプ2aとは窒素やホウ素などの微量元素をふくまない透明度が高い無色のダイヤモンドのこと。宝飾品用のダイヤモンド全産出量のうち、これに該当するのは2パーセント以下ともいわれる。

いまは枯渇してしまったインド藩王国のダイヤモンド鉱山「ゴルコンダ」で採れた石にタイプ2aがよく見られたため、伝説的な響きもくわわった。無色のほか、ピンクも存在する。ちなみに有名な青いダイヤモンドのホープはタイプ2b。

こうした特別なダイヤモンドの人気は、サザビーズやクリスティーズのオークションでの落札価格上昇にも反映されているし、ハイブランドのジュエリーにも使われるようになってきた。目の肥えたコレクターたちは、最高級品に狙いを定めているのだ。

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ショーメのジョゼフィーヌ リング。ダイヤのグレードは、D-IF

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ショーメのジョゼフィーヌリング。グレードはタイプ2a

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クリスティーズ ジャパン

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ショパール ジャパン プレス

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