Airが紡ぐカルティエ『Painted Love』への旋律
Watch & Jewelry
2015年3月26日

Airが紡ぐカルティエ『Painted Love』への旋律

Cartier×Air|カルティエ×エール

“HOW FAR WOULD YOU GO FAR FOR LOVE?”

AirによるCartier ”Painted Love”、来日インタビュー

カルティエは2007年より、"Love"コレクションのテーマである”How far would you go for Love?”という問いをさまざまな世界的アーティストに投げかけ、その答えとして作品制作を依頼するというプロジェクトを展開してきた。ルー・リードやフェニックス、坂本龍一らも参加したこのプロジェクトの2011年度のアーティストに選ばれたのは、フランスのミュージシャンAir(エール)と映像制作グループWaverly(ウェイバリー)。両者による音楽と映像のコラボレーション『Painted Love』のお披露目パーティのため来日を果たしたAirのニコラ・ゴダンに話を聞いた。

Photo by ryuji asamotoText by KUWAHARA Ryoko

理想の愛を追い求めても手に届かない。
だからこそ、それを自分でつくっていくんだ

――『Pained Love』、映像も音楽も実験的でありながらエモーショナルですばらしかったです。今回の映像と音楽の融合というプロジェクトはどういう経緯で実現したんでしょうか?

いったい誰が僕たちに依頼しようなんて提案したのかわからないけど、本当にグッドアイデアだよね(笑)。依頼をもらってすごく幸せだったよ。映像とのコラボレーションにかんしては、最初にカルティエからいろんな映像作家の作品を見せてもらい、そのなかで僕らが選んだのがウェイバリーだった。作品を見た瞬間に心を掴まれた。彼らの作る映像に音楽をつけたいという欲求が湧きあがってきたんだ。実際に彼らにお願いしてからもどういう作品が仕上がってくるのか楽しみで仕方なかったよ。

――では作品を制作するにあたって、Waverlyとは初期段階からかなり綿密な打ち合わせをしていたんですね。

映像の演出家(ベン・ディキンソン)とは相当話し合い、あの作品に登場する画家の心情などを事細かに説明してもらった。彼の心のなかにどういう葛藤があるのか――つまり”理想”を絵にしたいという葛藤についての話を聞いたんだ。映像ができあがったときにも1シーンごとに説明をしてもらったよ。ここには不安な気持ちを、ここにはロマンティックなもの、ここには心が落ち着くような音楽を、というような細部にわたるもので、僕たちにとっても制作のヴィジョンが見えるような話を聞けたんだ。

――だからこそこの融合が生まれ得たわけですが、そもそも両者の世界観は共通するものがありますよね。現実と夢、アナログ感とフューチャリスティックなものとが入り混じるような。

そうだよね。ウェイバリーの作品には夢というものが核にあり、一方僕らの音楽には夢と現実がある。なにしろAirというのはAmour(愛)、想像(Imagination)、夢(Rêve)の頭文字から成っているくらいだからね。今回の作品には僕らのもつその3つの性質が的確に表現されているし、彼らの映像ともハマっていると思う。

――あなたちのすべてのアルバムにおいて”愛”はとても重要なテーマですが、今回のカルティエのテーマもまさに”愛”でした。そのカルティエというフィルターをとおした”愛”を具体的にどう作品に落とし込んでいったんですか。

僕らは15年間、つねに愛に突き動かされて音楽をつくっている。『LOVE2』というアルバムを出したのも僕らがつねに愛のことを考えていることのあらわれで、まさに愛のスペシャリストなんだ(笑)。そういう姿勢で表現をつづけているからこそ、いざどこかのブランドのために制作をしなくてはいけなくなったとして、いったい何を作ればいいんだろうと悩むこともあるだろうけれど、カルティエにかんして言えばその心配はなかった。カルティエのジュエリーから受けるインスピレーションはとてもはっきりしていたし、僕らのもつイメージや方向性とぴったりはまっていたんだ。

――そのイメージというと?

ウェイバリーが作ったアニメの部分が象徴的だけれど、“無垢”であるということだよ。理想の愛を追い求めても手に届かない。だからこそ、それを絵のなかで自分で作っていくというあのストーリーは僕らが音楽をつくるときの気持ちとまさにおなじなんだ。その無垢な気持ちというのがヴィジョンとして共通するものだと思う。

――ああ、なるほど。あなたたちの次のアルバムはジョルジュ・メリエス監督の『月世界旅行』にインスピレーションを得たものだそうですが、そこにも”無垢”というキーワードは当てはまりそうですね。

ジョルジュの映画は子ども時代と愛とが入り混じったものなんだ。今回のカルティエの作品にしても、子どもがもつような無垢さがある。僕らにとっても愛と子ども時代というのはとても大切なテーマで、その無垢さをもとに純粋な音楽を作ろうと試みているんだよ。

Cartier×Air|カルティエ×エール 02

――では最後の質問です。あなたは愛のためにどこまで行けますか?

物理的に言うと、どんな遠い国までも行ってしまうよ(笑)。

――絵のなかくらいまで(笑)?

うーん……僕は15世紀、18世紀の伝統的な絵画が好きだから、すごく遠い時代にまで行かなきゃいけないな(笑)。ルネッサンスとかのあのころの古典的な絵画にね。でもさ、そもそも僕の生活すべてが愛のためにあるようなものんだ。フランス人ってみなそうなんだよ。フランスではどこに行ってもみな驚くほど愛と食べ物の話しかしてないからね(笑)。

メイキングのムービーもこちらでチェック
http://www.love.cartier.jp/#/clip/behind_the_scene--

Cartier×Air|カルティエ×エール 03

Nicolas Godin|ニコラ・ゴダン
ミュージシャン。1995年、ジャン=ブノワ・ダンケルとともにパリを拠点とするユニットAir(エール)を結成。ユニット名は愛(Amour)、想像(Imagination)、夢(Rêve)の頭文字。そのオリジナルアルバムはもちろん、ソフィア・コッポラの映画のサウンドトラックになったことでも国際的に知られている。

オフィシャルサイト|http://en.aircheology.com/

カルティエ カスタマー サービスセンター
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