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2024年9月24日、国際モーツァルテウム財団が来日し、作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの新たに発見された楽曲が日本で初めて演奏された。今後のモーツァルトの音楽遺産に対する関心が高まることが期待される。
1862年から進化し続ける『ケッヘル目録』
国際モーツァルテウム財団が数十年にわたり研究を進めてきた『ケッヘル目録』の新版が60年ぶりに公開された。『ケッヘル目録』とはオーストリアの音楽学者であるルートヴィヒ・フォン・ケッヘルが1862年に作成したヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品目録だ。作品の成立時期や新曲の発見などでたびたび改訂が行われていることが特徴だ。財団は9月19日にオーストリア・ザルツブルクで『ケッヘル目録』の新版発表を行っており、今回の日本での記者会見はその続きとして位置づけられている。
この度、新たに『ケッヘル目録』に追加された楽譜の発表も行われ、日本初演となる生演奏が披露された。演奏されたのは、バイオリンとチェロで演奏する弦楽三重奏曲で、七つの楽章で構成されている。この楽譜は、ライプツィヒの図書館に保管されていたもので、長い間モーツァルトの作品だと考えられていなかったという。『ケッヘル目録』の新版を作るにあたり、改めて研究が進み、モーツァルトによる作品であることが分かった。
今回の発見をした国際モーツァルテウム財団は、1880年にザルツブルク市の市民によって「国際モーツァルテウム財団」として設立。その起源は1841年の「大聖堂音楽協会およびモーツァルテウム」にまで遡る。モーツァルトの未亡人コンスタンツェと息子たちカール・トーマス、フランツ・クサーヴァー・ヴォルフガングは、個人的な記念品の大部分をこの協会に寄付した。
それから今日に至るまで同財団は、モーツァルト一家の手紙や肖像画、楽器など、オリジナルのコレクションを所蔵・管理している。またコンサートの開催、モーツァルト博物館の運営、科学研究の3つの分野で活動し、伝統を守りながら現代へモーツァルトの魅力や功績の継承を目指している。
日本においては、第一生命がモーツァルトの在家の修復を支援したことがきっかけで国際モーツァルテウム財団との縁が生まれている。第一生命の文化芸術分野の支援の一環として、3年に一度モーツァルトが実際に使用していたヴァイオリンが来日し、貴重なコンサートを開催している。
次回、モーツァルトのヴァイオリンによるコンサートは生誕270年を記念するアニバーサリーイヤーとなる2026年の予定だ。同時にモーツァルトゆかりの貴重なコレクション展示の開催も企画中だ。