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FabCafe Globalと株式会社ロフトワークが主催するグローバルクリエイティブアワード「YouFab Global Creative Awards 2021」 の最終審査結果が発表された。
過去最多の335作品(26ヶ国)から選ばれたグランプリは、ラテンアメリカの都市部におけるジェンダーバイオレンスに対する抗議を鮮やかに増幅させる「Public Voice」と、無機物や有機物といった人間以外の存在との関係を結び直すヒントを与えてくれる「the Museum of Edible Earth」の2作品が異例の同時受賞。そのほか、学生賞、特別賞「Panasonic Prize」など全19点の受賞作品が選出された。
2022年3月17日(木)18:00からは、授賞式および審査員と受賞者を交えたトークセッションを開催し、2022年春には都内で受賞上位作品を中心とした展示会を開催する。
■授賞式および審査員と受賞者を交えたトークセッション
日時:2022年3月17日 18:00〜20:00 (予定)
会場:オンライン開催
登壇者:審査員、受賞者、YouFabアワードチェアマン / 福田敏也
詳細URL:https://www.youfab.info/2021/winners_jp.html?lang=ja
グランプリ (2作品)
(左)
作品名:Voz Pública (Public Voice)
作家名:Dora Bartilotti(Mexico city, Mexico)
ラテンアメリカの都市部におけるジェンダー・バイオレンスに対する抗議の声を増幅させようとする参加型アート作品。3つのパートから構成されています。
1つ目はオンライン参加型プラットフォームで、個人によるジェンダー・バイオレンス体験談が匿名テキストで共有されます。2つ目は、音声合成装置によってストーリーに「声を与え、増幅させる」電子テキスタイルで、公共空間における物理的な存在感を示しています。そして最後に、「The Textile Rebellion」と名付けられた一連のラボラトリーでは、街頭でのパフォーマティブなアクションを通じて、これらの電子テキスタイルの集団的な創造と活性化を図るとともに、和気藹々とした体験談への内省を可能とさせます。
https://www.youfab.info/2021/winners/public-voice-jp?lang=ja
(右)
作品名:the Museum of Edible Earth
作家名:masharu studio (Amsterdam, the Netherlands)
土を食べるという伝統の背景には何があるのか?食べられる土はどこから来るのか?土を食べることの利点と危険性は?私たち人間は、環境や非人間に対してどのような関わり方を確立しているのか?the Museum of Edible Earthは、地球上のさまざまな人々がさまざまな理由で食べている土のサンプルのコレクションを中核とする、分野横断的なプロジェクトです。見る者に環境と地球との関係を物理的に問いかけ、食と文化的伝統に関する知識を創造的思考で見直すよう促します。
https://www.youfab.info/2021/winners/the-museum-of-edible-earth?lang=ja
■審査員長 伊藤 亜紗氏による総評
「つくること」は、いまおそらく逆風にさらされています。大量生産大量消費がもたらした環境への影響は深刻であり、製造業にまつわる搾取的な労働の問題も切実です。つくることは悪である。そんなふうに言われる時代が早々に来るかもしれません。
だからこそ、今回のYouFabアワードでは「つくること」の原点に帰りたいと思いました。本来、ものをつくるということは、人間社会の内部と外部の境界に位置する営みです。それを「製品」と呼べば人間的な経済活動の取引の対象になりますが、その素材は、もともとは誰のものでもなかったはずの自然に由来しています。
26の国と地域から集まった335の作品を審査するなかで見えてきたのは、この境界線上にある営みとしての「つくること」の可能性でした。人間社会という「中」の問題を、いかに「外」とともに考えるか。そのためには、私たちの便利な生活が何に依存してきたのかを自覚し、外へと排除してきたものたちの声を聞くことが必要です。それはまぎれもなく民主主義について考えることでしょう。
(*一部抜粋、全文は公式サイトへ https://www.youfab.info/2021/winners_jp.html?lang=ja)
YouFab Global Creative Awards 2021