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日本にはいにしえより使われてきた「三方(三宝)」という神事で神饌を載せるための台がある。一般的には十五夜にお月見団子が載せられる台がお馴染みだろう。「三方」は愛知の伝統工芸品 尾張仏具で、木曽のヒノキ材を使用し、曲げ加工や折加工を職人が一つ一つ手作業で行って作られている。その「三方」を300年作り続けている株式会社 岩田三宝製作所が、技術と職人技を活かしたインテリアブランド【NUSA】をスタートさせる。
ブランドの第一弾として発表する商品は、お弁当箱<BENTO>。料理研究本や弁当研究家として活躍する野上優佳子が監修し、プロダクトデザイナーの島村卓実がデザインを手掛ける。今後はトレイ、ボウルや折り畳みスツール、テーブルなど幅広いアイテムが展開されていく予定だ。
“特別なギフト”の意味をもつ【NUSA】
国の伝統工芸の指定も受けている「三方」は、お月見などでは月に収穫や豊作の祈りをする際に使われ、古代には高貴な人物に物を献上する際に使用されてきた。筒胴(とうどう)と呼ばれる土台の上に折敷(おしき)と呼ばれる皿がのり、筒胴の三方向には眼像(くりかた)と呼ばれる穴があいている。穴の形には意味があり、災難を避け濁水を清めるといわれる珠(たま)の形をしている。
株式会社 岩田三宝製作所は、古くからの「三方」づくりの伝統を守りながらも現代のシーンにあう製品を模索している。新ブランドの名である「NUSA」には、神様に捧げる供え物である"特別なギフト"を意味が込められている。
第一弾商品:抗菌性&軽さを兼ね備えた弁当箱<BENTO>
ヒノキの持つ抗菌性や軽さという特性を生かし、ブランド第一弾として制作したのがお弁当箱。 曲げわっぱと同じく被せ蓋式のケースで、一方に「三方」と同じような穴が開いている。穴は空気が通るので蓋の開閉をしやすくするためだが、付属の防水シールを貼ることで穴から色がのぞき、持ち主や弁当の種類を識別できるような使い方も可能だ。気分に合わせて使えるよう、防水シールは6色展開。
本体と蓋は、国産ヒノキを素材に「三方」の技術を使いながら加工。ヒノキ特有の抗菌性により、安心して使うことができる。また、天然のヒノキ独特の爽やかな香りがご飯とも相性がよく、きっと食欲がそそられるはず。間仕切り付きタイプはおかず入れなどに最適。お弁当箱としての用途以外にも、乾燥菓子やお茶など食品の保存容器としても楽しめそうだ。