プレミアムワイン、海、オリーブ……。マーガレットリバーで自然の恵みを享受する|TRAVEL
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2024年3月11日

プレミアムワイン、海、オリーブ……。マーガレットリバーで自然の恵みを享受する|TRAVEL

TRAVEL|西オーストラリア州

3記事連載。自然と街が共存する楽園、西オーストラリア州へ。その2

パースに行くことが決まり、いちばん楽しみにしていたのは、マーガレットリバーを訪れることでした。そもそも地名からしてステキ感が漂ってくるコチラは、西オーストラリアの州都パースから南へ、クルマで3時間ほどの距離に位置するインド洋と南極海を臨むリゾート地。一年を通じて過ごしやすいのも魅力です。そして、なんといってもオーストラリア屈指のプレミアムワイン産地として世界にその名を馳せていて、イギリス発の世界的な旅行ガイドブック『Lonely planet』誌は、2019年、アジア・パシフィック地域の目的地ベスト10で1位に選出しています。

Text by HASEGAWA Aya

日本のワインラヴァーにとっては、未開の聖地。マーガレットリバー

マーガレットリバーのワインの生産量はオーストラリア全体の5%ほどに過ぎまぜん。なのに、オーストラリアのプレミアムワインの30%ほどがここで生産されている──って、いったいどういうこと? なんかのバグ?
渡航前に調べてみたところ、日照時間が長く雨が少ないマーガレットリバーでは、50年以上前に最初の商業用ブドウ畑が植栽されてきたのだとか。地中海性気候と水はけのよい石灰質の土壌もブドウ栽培に適していて、現在、200軒以上のワイナリーが点在しています。それぞれ個性豊かなワインを作り出しているとのことで、もう期待しかありません。というか1か月くらい滞在したいです(笑)。実際、マーガレットリバーは噂に違わぬご機嫌な場所でした。
ルーウィン・エステート
住所|Stevens Rd, Margaret River WA 6285
Tel.|+61-8-9759-0000
https://leeuwinestate.com.au/
今回、訪れたワイナリーは2軒。なかでも訪れる前から期待がマックスだったのは、「ルーウィン・エステート」。ぜひここのシャルドネを現地で飲みたいと思っていました! 「ルーウィン・エステート」のはじまりは、1972年、カリフォルニアワインを世界に知らしめた、ロバート・モンダヴィが高級ワイン造りに適した土地を探し、たどり着いたことに遡ります。
ルーウィンの創設者であるホーガン夫妻は、週末を過ごすための牧草地だったこの地で、モンダヴィの指導のもと、ワイン造りをスタートさせました。本格的なワインは1979年ヴィンテージからでしたが、1982年には早くもイギリスのデキャンタ誌により、世界最高のシャルドネとして選出されます。また、オーストラリア・ソムリエ・マガジン誌は、同ワイナリーのシャルドネの畑「ブロック20」をオーストラリアトップ25の畑の一つとして紹介しています。
この「ブロック20」のシャルドネを試飲させてもらったのですが、エレガントな香りに飲む前から魅了され、蜂蜜のような、でも上品な果実のすっきりとした甘みもすばらしく、すぐさまショップに走りました(笑)。
また、同ワイナリーには、西オーストラリアの芸術家の絵画を集めたアートギャラリー (入場無料)が併設されています。1981年にはオーストラリアのアート作品をワインラベルにした「アート・シリーズ」を販売。毎ヴィンテージ、ラベルに描かれる作品が変わる同シリーズのコレクターが多いというのも頷けます。
マーガレットリバーの多くのワイナリーは、レストラン施設を併設していて、オーストラリアの恵みを生かした料理と、自社ワイナリーのワインとのペアリングを楽しむことができます。「ルーウィン・エステート」もしかり。どのペアリングも秀逸でしたが、近海で摂れたホタテを使った冷前菜に合わせた、アート・シリーズ「2023 Art Series Riesling」が特に印象に残っています。
スウィングス&ラウンドアバウト セラードア ヤリンガップ ヴィンヤード
住所|2807 Caves Road Yallingup WA 6282
Tel.|+61-8-9756-6640
https://www.swings.com.au/
もうひとつ、マーガレットリバーの北部の街で、グルメスポットが多く集まるヤリンガップの「スウィングス&ラウンドアバウト」にも足を運びました。こちらは2004年に設立された比較的新しいワイナリーです。マーガレットリバーの街中にレストランを構えるほか、2020年にはヤリンガップの畑を見渡せるワイナリーの敷地内にレストランとセラードアをオープンしました。
今回訪れたワイナリーのレストランにはテラス席も設けられていて、なんとも開放的。ガーデンには子ども用の遊具もあり、ファミリーの姿も多く見かけました。酔いが心地よく回りそうなブランコチェアで、ワインとペアリングされたランチをいただくのは至福の時間となるはずです。
樹齢40年以上のぶどうの木が植えられたワイルドウッド・ヴィンヤード(Wildwood Vineyard)と、サステイナビリティの認定を受けたブラッシュ・ロード・ヴィンヤード(Brash Road Vineyard)の2つの特徴的な畑のぶどうから造られるワインは、フレッシュ、かつ豊かな風味が特徴。食中酒としてはもちろん、ワイン単体でも存分に楽しめるんじゃないでしょうか。
さて、今回はワイナリーを中心に紹介していますが、マーガレットリバーは、ドラマチックな西オーストラリアの自然を満喫できる、オーストラリア人にも高い人気を誇るリゾート地。見どころ(&食べどころ)は尽きません。
バッセルトン桟橋
https://www.busseltonjetty.com.au/
マーガレットリバーの北部に位置するバッセルトンは、どこまでも続く青く穏やかな海と真っ白な砂浜が美しい、ゆったりと時間が流れる海辺の街。大海原に突き出した全長約2kmの木製桟橋を走るソーラー発電のトロッコ列車は、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場する水上列車のモチーフになったとも噂されています。
ケープ・トゥ・ケープ・エクスプローラー・ツアーズ
https://capetocapetours.com.au/
時間が許せば、先住民アボリジナルたちがかつて歩いていた海沿いの道を巡るトレイルコース「ケープ・トゥ・ケープ トラック」もぜひ歩いてみたいところです。インド洋沿いになだらかな傾斜のある全長約140kmのトレイルで、全行程を歩こうと思うと約1週間かかりますが、一部を歩く、という楽しみ方もできます。
スミスズ・ビーチ・リゾート
住所|67 Smiths Beach Rd, Yallingup WA 6282
Tel.|+61-8-9750 1200
https://www.smithsbeachresort.com.au
今回、ヤリンガップにあるラグジュアリーリゾート施設「スミスズ・ ビーチ・リゾート」を拠点とした、ケープ・トゥ・ケープ・エクスプローラー・ツアーズのツアーに参加。ガイドの案内のもとでの約2時間のトレイル体験は、自然の息吹を体感しながら生命力を得られるような、そんな貴重な時間でした。しかも、ですよ! トレイルのフィナーレでは野生のカンガルーに遭遇。当地では決して珍しくないことだと思うのですが、日本から来た私たちは大興奮(笑)! 
そうそう、野生動物といえば、「ハメリンベイ」では、浅瀬までやってくる好奇心旺盛な野生のアカエイを間近で眺めることができます。
オリオ・ベロ
住所|36 Armstrong Rd, Cowaramup WA 6284
Tel.|+61-8-9755-9771
https://oliobello.com/
ガブリエル・チョコレート
住所|Corner Caves & Quininup Roads, Yallingup WA 6282
Tel.|+61-8-9756-6689
https://gabrielchocolate.com.au/
物欲や食欲を刺激されるスポットもいくつもあります。320エーカーの農場に14種類ものオリーブの木が植えられている有機オリーブ農場「オリオ・ベロ」は宿泊できるグランピングバンガローを併設しています。西オーストラリア初のビーン・トゥー・バー・ショコラトリー「ガブリエル・チョコレート」はお土産選びにもぴったり!
プルマン・バンカー・ベイ・リゾート&スパ
住所|42 Bunker Bay Road Naturaliste WA 6281
Tel.|+61-8-9756-9100
https://www.pullmanbunkerbayresort.com.au/
今回、マーガレットリバーの主な見どころを駆け足で回りましたが、できることなら、時間に縛られることなく、ゆっくりと滞在したいです。そんな感じで、自然に抱かれながらのんびり過ごすための宿泊施設がいくつもあります。今回は、「プルマン・バンカー・ベイ・リゾート」に宿泊。フランスに本拠地を置くアコーグループのホテルブランドで、日本には東京・田町にホテルがあります。で、「プルマン・バンカー・ベイ・リゾート」、バンカー湾のビーチ沿いにあり、立地抜群。バンガロースタイルのヴィラもリゾートムードを盛り上げます。
マーガレットリバーは、その土地の自然と共に生き、その土地の恵みを享受しながら、快適に過ごすことができる場所。気になるワイナリーもまだまだたくさんあります。ちなみにパースからは長距離バスも運行していますが、ワイナリーをめぐるなら観光ツアーに参加するという手もあります(試飲もできるし!)。(つづく)
取材協力:西オーストラリア州政府観光局、ANA
https://nonbiri-perth.com
https://www.ana.co.jp/ja/jp/international/theme/new_journey/
                      
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